“あなたはいい人ですか”重い質問を投げかける『証人』
2019年01月30日

“あなたはいい人ですか?”誰もが人生で一度くらいは受けたことのある質問だ。
来月13日に公開される映画『証人(原題:증인)』は、この平凡でも答えるのが難しい質問を観客に直球で投げかける。
スンホ(チョン・ウソン)は過去に民衆の‘ファイター’として知られていたが、現実に妥協して大手法律事務所に就職した弁護士だ。自身の出世がかかった殺人事件の容疑者の国選弁護人になり、事件の唯一の目撃者である自閉症の少女ジウ(キム・ヒャンギ)を証人として立てるため奮闘する。
スンホは紆余曲折の末ジウに近づき、結局ジウが自閉症児ということを利用して依頼人の無罪判決を引き出す。しかし、事件の真実が自身の考えていたものとは異なって見えると、既にジウの世界の中に入ってしまったスンホは混乱する。
映画の構成は何だか見覚えがある。現実と妥協し、目的に向かって走っていこうとした弁護士が純粋な魂とのコミュニケーションを通じて最後には初心に帰る内容は、既視感を覚える。スンホとジウがお互いに心を開いていく過程も予想を大きく外れない。
`殺人事件を知っている唯一の目撃者′という素材自体もミステリージャンルになるが、映画はヒューマンドラマだ。映画の中の殺人事件の真実が気になっても、序盤で十分予想できる。
法廷で検察側と弁護人が対立するシーンでは若干の緊張感が感じられる。
しかし、法廷のシーンをクライマックスに使用した点は月並みの印象だ。生理用品の安全性騒動など、実際の社会問題を扱って時事を見逃さないように努力した様子は見える。
映画が伝えようとしていることは明確だ。ジウがスンホに問い掛けた“あなたは良い人ですか?”という質問は観客に向けたものでもある。むしろ観客は、出世に向かって走っていた中、ジウによって立ち止まるスンホほど、自分は良い人間なのかと自問させられる。
純粋な少女と資本が支配する大手事務所側の両極端に置かれ、その間のどこかにいるスンホと観客に直接メッセージを伝える。
スンホが法廷で自身も偏見を持っていたと語り結局正義を選ぶシーンでは、台詞まで決まり文句のように感じられる。スンホが完全に堕落した人物ではないため、彼の悟りもそう劇的ではない。しかし、その分観客がスンホと自身を同一視することが容易になる。
ありきたりで予想できる内容でも、感動が無いわけではない。誰もが持っていて、また、分かっていてもつい忘れやすい’偏見’というポイントを描いている。
ジウが自身の障害に関わらず証人として立ち、“私は、証人になりたい。証人になって真実が何かを教えたい”というシーンは印象的だ。
本作は『ワンドゥギ』(2011)、『優しい嘘』(2013)、『戦場のメロディ』(2015)などのイ・ハン監督が演出を務めた。
