残された人々の悲しみ…セウォル号事件、慎重に扱った映画『誕生日』
2019年03月20日

韓国国民のトラウマとして残っている事件を映画として制作するということは諸刃の剣と言わざるを得ない。忘れられない、忘れてはいけない事件に対する関心を再び呼び起こすことは可能だが、一歩間違えれば更に大きな傷を残すことになるからだ。
セウォル号事件を扱った映画2作品が2週間の間隔で公開される。まず初めに公開される『悪質警察(原題:악질경찰)』が犯罪娯楽映画にセウォル号事件を関連づけ、見方によっては不自然な組み合わせと感じるなら、来月4月3日に公開される映画『誕生日(原題:생일)』は遺族の話を扱う「正攻法」を選んだ作品だ。
『誕生日』は崩壊直前のある家族、離婚直前のある夫婦の物語から始まる。数年間の海外生活を終え、家に帰って来たが入れない父親ジョンイル、心を固く閉ざしどこか危うく見える母親スンナム。この映画がセウォル号事件を扱ったということを知らずに観る観客は殆どいないだろうが、もし知らずに観たとしても彼らが大きな傷を負ったということはすぐに理解できる。
今年もスホがいないままスホの誕生日が近付いてくる。ジョンイルとスホの友人らはスホの誕生日会を開こうとするがスンナムは反対する。
何年もの間、片付けられていない息子スホの部屋、着る人はいないのにスホの新しい服を買って来るスンナム、海に入れない妹イェソルなど、映画は淡々と緻密に、残された人々の生活を描く。
作品が一歩下がって残された人々の悲しみを見つめるのは、それだけ慎重に捉えたからだろう。実際に映画は中途半端な解説と理解または慰めが、実際の事件や遺族らの気持ちを傷つけないよう細心の注意を払い、慎重な態度を取っている。
最近、メディア試写会直後に開かれた記者懇談会でイ・ジョンオン監督は「当時、‘セウォル号疲労度’という話が出て心が晴れなかった。ありのままの姿をそのままお見せした場合、果たしてそう思うだろうかと思った」とし「その時制作しようと心に決めた。心配は多かったが、制作への気持ちは固かった」と語った。
更に彼は「出来る限り最善を尽くしたが、また他の傷が生じて欲しくないという願いが大きかった」と打ち明けた。
