『犯罪都市』のカン・ユンソン監督新作…暖かく人間味あふれる映画『Long Live the King』

2019年06月06日

2017年夏、デビュー作『犯罪都市(原題:범죄도시)』で688万名を動員したカン・ユンソン監督が2作品目の映画『 Long Live the King/木浦の英雄(原題:롱 리브 더킹:목포 영)』を持ってやってきた。『犯罪都市』が善悪のはっきりしたキャラクターと痛快な強力アクションを掲げたとするなら、新作はメロと政治、犯罪、アクション、コメディなどをごちゃ混ぜにしたような映画で、前作とは明らかに違う作風を見せてくれる。

 

人気同名デジタルコミックが原作の同作品は、暴力団ボスの“チャン・セチュル”(キム・レウォン)がある事をきっかけに、政界に飛び込み、国会議員に当選するまでの過程をコミカルに描く。木浦(モッポ)を舞台に一人の男の成長と愛に重点を置く分、映画は全般的に人間味と郷土色をぷんぷんと漂わせる。

躍動感あるキャラクターと監督特有のユーモア、ノアール風アクションなど、多様な見どころと面白さを持ち合わせ、産業映画としての役割を果たす。

 

再開発地域に建設解体のため出てきた暴力団のボス、“チャン・セチュル”は、そこで熱血弁護士“カン・ソヒョン”(ウォン・ジナ)に出会い、一目惚れしてしまう。“カン・ソヒョン”の指摘を受け、”チャン・セチュル“は更生しようと決心し、風俗店など、既存の事業から手を引く。その後、彼は偶然バスの墜落事故に遭い、事故現場で危険を冒して市民を救い、一躍木浦の英雄となる。認知度を得た彼は、予期せぬ事件で国会議員の選挙に出馬することになる。これに木浦2選議員を狙う反対派候補”チェ・マンス“(チェ・グィファ)は彼のライバル暴力団のボスである”チョ・グァンチュン“(チン・ソンギュ)と手を組み、彼の当選を阻止しようと企てる。

この作品は、現実にありそうなストーリーだが、ファンタジーにも近い。映画はストレートな暴力団のボスが恋に落ち、一瞬で人生の岐路を180度変えるという設定でスタートする。

 

愛する人によく見られたいという純粋な気持ちと過去の悪事から足を洗い、更生しようとする主人公の情熱にどれほど共感できるかによってこの映画に対する好みも分かれるだろう。一人の男の純情と情熱は胸にジンとくるものがあるが、非現実的で、多少古臭く感じる。

 

陰謀と策略が横行する選挙の泥仕合と暴力団世界の描き方は典型的とも言える。インターネットとSNSを見るだけで、すべての情報が公開される世の中だというのに、暴力団出身の候補が比較的簡単に当選するせいで、結末の痛快さは大きくない。『犯罪都市(原題:범죄도시)』の極悪非道な“チャン・チェン”(ユン・ゲサン)一味とは違い、悪党の存在が多少コミカルで、見掛け倒しになっている点も一つの理由だ。

 

しかし、この映画はファンタジーをもっともらしい現実として描き、新しい英雄の登場を応援させる力がある。世の中と人々にむけた監督の暖かい視線が“チャン・セチュル”というキャラクターにそのまま込められているからだ。俳優に与えられた責任は大きかった。この映画の8割はキム・レウォンが牽引していると言っても過言ではない。一度決心した目標に向かって、ひたすら走っていく“まっすぐな男、チャン・セチュル”役を担ったキム・レウォンは胸の中の熱い情熱を繊細な眼差しで表現しながら、キャラクターに現実感を吹き込んだ。

 

恋人に向けたときめきから情熱、怒り、恨みなど多様な感情が詰められた彼の眼差しに、観客は頷くしかない。全羅道の方言を自然に習得し、メロとアクションはもちろん、暴力団ボスとしてのカリスマや新人政治家の間抜けな姿まで、彩り豊かな魅力を発揮している。

 

“チャン・セチュル”の更生を導く弁護士“カン・ソヒョン”役のウォン・ジナ、木浦のまた別の悪党“チョ・グァンチュン”役のチン・ソンギュ、国会議員“チェ・マンス”役の“チェ・グィファなども、それぞれ違う個性を発揮し、活力を生み出している。

 

最近、急性虫垂炎(盲腸)で入院中だったカン・ユンソン監督は映画制作会社ノートを通して、「組織のボスだが、暖かく、正直な心を持ったキャラクターの話に注目した」と述べた。映画は6月19日公開だ。

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