キム・サンギョン、来月新作映画『十二番目の容疑者』が公開へ、「セリフ量がラップレベルに多かった」
2019年09月27日

「政治的な性向や歴史的な召命意識から作品を選ぶことは絶対にない。話が面白く、人物の多様性などを見るだけだ」
俳優キム・サンギョンのフィルモグラフィーを見ると、大きく2つの部類に分けられる。『気まぐれな発見』、『映画館の恋』、『ハハハ』などホン・サンス監督の映画がまず目に付く。残りは華城(ファソン)連続殺人事件を扱った『殺人の追憶』、光州(クァンジュ)民主化運動を素材にした『光州5・18』、防衛産業の不正を扱った『一級機密(原題:1급기밀)』など、社会性の濃い映画だ。
来月10日に公開される『十二番目の容疑者(原題:열두 번째 용의자)』(コ・ミョンソン監督)は後者に属する。 ある有名詩人の殺人事件を通じて時代の悲劇にスポットライトを当てる推理劇だ。
1953年の晩秋、ソウル・明洞(ミョンドン)のオリエンタル喫茶店の中にいた客は、同僚の詩人であるペク・ドゥファンが前日夜、南山(ナムサン)で殺害されたという話を聞く。その後、事件捜査官のキム・ギチェ(キム・サンギョン)が喫茶店に押し入り、そこにいる客たちを全員容疑者と目星を付けて捜査を始める。その過程で、各人物の隠された秘密がひとつずつ明らかになっていくといった内容だ。
キム・サンギョンは殺人事件を捜査するキム・ギチェ役を演じた。初めと終わりが違う、最も劇的な変化を見せる人物でもある。きちんとしたスーツに紳士のような態度を見せた彼は、ある瞬間、本性を現わす。
キム・サンギョンは26日、ソウル・龍山(ヨンサン)CGV映画館で開かれた試写会の直後、記者懇談会で「キム・ギチェという人物は悪役であるかもしれないが、その当時に自分の考えが全うで、正義的な仕事をしていると信じて生きてきた人だ」と紹介した。
彼は「個人的に『花様年華』のように1940年から60年代の感性が好きだ」としながら「この作品もとても混乱したその時期を背景に、小さな空間で繰り広げられる出来事を緊張感を持って描いており魅力を感じた」と出演への背景を明らかにした。
キム・サンギョンは作品をリードする話し手であるだけに、かなりのセリフを消化する。彼は「セリフがラップレベルだったので後悔した。朝から晩まで覚えなければならなかった」と振り返った。
この映画は限られた空間の中で、主に人々のセリフで展開され、まるで1本の演劇舞台を見ているようだ。喫茶店の名前からも分かるように、アガサ・クリスティの原作映画「オリエンタル特急殺人事件」を彷彿させる。低予算映画であるだけに展開がやや荒く、粗悪な場面も目立つ。主題意識を表す直接的なセリフも多い方だ。それにも関わらず、時代の空気を圧縮的に見せて、考えるべきことを投げかけることには成功した。それなりに逆転の妙味もある作品だ。
映画『殺人の追憶』でソ・テユン刑事役を演じたキム・ サンギョンは最近、華城連続殺人事件の有力容疑者が特定されたことに関してもコメントしている。
彼は「映画を撮影する時は被害者のために撮ったと思っていたが、あるテレビ番組で被害者家族たちが、なぜ何度も過去のことを暴くのかとつらそうな姿を見た後、非常に混乱した」とし、「私が懸命にしたことがかえって良くないことだったのかと思った」と振り返った。
彼は「容疑者が特定されポン・ジュノ監督に『とてもうれしい』というメッセージを残したが、ポン監督の第一声は、『(映画の中の名前である)テユン、もう終わった』だった」と伝えた。
最後に、キム・サンギョンは「当時、『この映画は何の意味があるのか』という批判的な質問が出た時、『記憶すること自体が報復の始まり』だと答えた」と言いつつも、「映画があったからこそ、容疑者を特定することが可能だったようだ」と締めくくった。
