KBS新ドラマ「椿の花が咲く頃」、絶妙な複合ジャンルの中で引き立つ“ツー・トラック手法”
2019年09月27日

放送開始してから第3話目で視聴率2ケタを記録したKBS 2TV水木ドラマ「椿の花が咲く頃(原題:동백꽃 필 무렵)」は、しっかりとした基本技を備えた多才な者たちによる一本勝負の遊びでもある。
この作品は“複合ジャンル”を試みるには「こうしなければならない」という定石を見せてくれる。最近、目が肥えた視聴者たちのために猫も杓子も複合ジャンルを試みるが、結局一兎もまともに捕えられないまま無駄骨を折る場合が少なくない。
しかし「椿の花が咲く頃」はロマンスを基盤にするものの作品全体にミステリー要素を絶妙に挿入し、物語の風呂敷を豊かに作り上げた。
脚本を務めるイム・サンチュン作家は、経歴は長くないが前作の「ベクヒが帰ってきた」(2016)に続き、「サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~」(2017)で営利な展開と逆転要素の活用、生々しく生きているキャラクター、現実に基づいた味わい深いセリフ能力を見せながら安定された技術を披露した。
「サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~」が都市の若者たちの成長期を描いた作品なら、「椿の花が咲く頃」はそれより高い年齢層で右往左往している人生の歴史を描写している。
海辺の田舎を背景に、なんとか平凡に生き残ろうと日々誠実に生きていくシンングルマザーのトンベク(コン・ヒョジン、椿を意味する単語)、しっかり「田舎者っぷり」を見せながら名前そのものを流行語にしてしまったファン・ヨンシク(カン・ハヌル)は、まさにリアリティー溢れる人物だ。
村で「飲み屋をやっている」という先入観で、嫌がらせという嫌がらせに見舞われるトンベクが、時々隣人に向かって吐き出すセリフは現実をそのまま反映する。新派も過程もなく淡白だ。「夫がいなくても、子供がいたっていいでしょ。そういうこともある。」
“ロマンスコメディ”らしく、いたるところににじみ出るウイットも引き立つ。「大人になってみたので学生よりはゲームセンターで人生を学んだ方が多かった。敗北感ややりがい、作戦概念、連帯意識、カツアゲ、恥ずかしさ…」(ヨンシク)
「アイアンマンとハルクの最も大きな差は何だと思う?ゆとり(融通性)だ。アイアンマンはゆとりがあるからブランドを抜いてハルクはそれがなく裸で歩いている」(ビョン所長)
コン・ヒョジンとカン・ハヌルはしっかりした台本を基に、水を得た魚のように各自の長所を極大化した。コン・ヒョジンは元祖“ラブリー”らしく淡白な現実の魅力を見せ、除隊したばかりのカン・ハヌルは軍の気配は完全に取り除いたまましっかりと田舎臭さを誇示する。
だからといって、この作品にわずかな現実感覚だけがあるのではない。さかんにロマンスドラマにしたくても
一度ずつ登場する“おふざけ”に対する伏線は、ドラマ初盤に写ったトンベクと見られる女性の死を想起させる。作品の主なコードはロマンスでありながらも、大まかなあらすじは犯人を明らかにすること、つまり“ツー・トラック(Two Tracks、2つの道)”でドラマが展開されていく。
このようなさまざまな興味深い要素を備えた「椿の花が咲く頃」は放送業界でも話題となっている。
チョン・ドクヒョン大衆文化評論家は27日に「ブロックバスター(高い制作費を投入した超大作)が多い環境に細々しい感じで劇的な面白さを活かした作品」とし「ディテールの面白さがありセリフもごくありふれたものではなく、前提的に響きがある。カネよりも完成度が重要だということを示している」と好評した。
彼は特にイム作家に対して「疎外された人々も自分の道を歩いていくという『サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~』から見せた独特な色と共感を得る能力がある」とし「一歩間違えれば、とても田舎臭い小説に流れるかもしれない話にミステリーを置き、全体的な緊張感を維持し、男女が近づく構造も確保した」と説明。
ジョン評論家はカン・ハヌルに対しても「カッコイイキャラクターに魅力を感じるのは簡単だが、馬鹿げていて田舎っぽい青年ながらも魅力的なキャラクターを作り上げることは容易ではない。ディテールな演技をうまく消化している」と評価した。
