チョン・ジヌン主演映画『ブラックマネー』、“「ローン・スター・スキャンダル」はまだ終わっていない…”
2019年10月30日

2003年、アメリカ系プライベート・エクイティ・ファンドの「ローン・スター」は外換銀行を買収し、2012年に「ハナ金融」に外換銀行を売却し韓国を去った。
この過程で「ローン・スター」が外換銀行を経営破たんの金融機関にし、安値で買収して売却したという「食い逃げ」論争が起きた。弱り目に崇り目で、「ローン・スター」は韓国政府の売却手続きの遅れと不当課税のため5兆ウォンを超える損害を被ったとして国際投資紛争解決センターに仲裁を申請した。
来月13日に公開される映画『ブラックマネー(原題:블랙머니)』はこの“ローン・スター事件”をスクリーンに移した。『南部軍 愛と幻想のパルチザン』(1990)、『ホワイト・バッジ』(1992)、『折れた矢』(2011)、『南営洞1985 国家暴力、22日間の記録』(2012)などを演出したチョン・ジヨン監督が7年ぶりに世に送り出す新作だ。
ソウル中央地検刑事3部のヤン・ミンヒョク検事(チョ・ジヌン)は、検察内で猪突猛進な“無謀なプロ”と呼ばれる。彼はある日、自分が担当した事件の被疑者が自殺した事件で「セクハラ検事」として追い込まれる。該当被疑者が弟との携帯メールに「検事からセクハラを受けた」と書き込んだのだ。
濡れ衣を晴らすため乗り出した彼は、被疑者が大韓銀行の安値売却事件の重要証人だったことが分かり、徐々にこの事件の真実に近づいていく。 その過程で、大韓銀行を買収した米・スターファンド側の法律代理人を引き受けたエリート弁護士のキム・ナリ(イ・ハニ)に会うことになる。
敵である2人は協力して事件を暴き出し、その核心には俗称“モフィア(企画財政部+マフィア)”がいることを知る。大統領府ともつながりを持つ“モフィア”は、検察に圧力をかけて捜査を妨害する。
映画は最大限実話をリアルに、そして分かりやすく伝える。映画の開始前に「実話をベースにしたが、人物は映画的に創作された」という字幕があるが、映画は実話のように流れる。「大韓銀行」と「外換銀行」、「スターファンド」と「ローンスター」の名前も似ている。
観客があまり知らない事件を扱っているため、相当部分が説明的に話が進んでいるのも事実だ。
しかし、最大限観客が経済をよく知らない検事であるヤン・ミンヒョクに自分を置き換え、ストーリーに付いていけるようにした。観客は彼と一緒に事件の実体に近づきともに憤りを覚える。その為ドキュメンタリー映画や教育·啓蒙映画のような印象もある。
メッセージはそれだけ直接的だ。「食い逃げ」主体の外資系プライベート・エクイティ・ファンド、さらには“モフィア”を直々に批判する。映画の背景である2011年に起きた「ウォール街を占領せよ(Occupy Wall Street)」運動がテレビに出ると“モフィア”らは「なぜこんなにお金持ちたちを攻撃するのだ」と言い、彼らを非難する。
チョン・ジヨン監督は最近、マスコミ試写会直後に行われた記者懇談会で「難しい経済·社会不正告発映画だ。だから説得力があり楽しく作ろうと努力した。観客がどうすれば容易に理解できるか悩んだ」と強調した。
映画はスピード感を備え、絶え間なく追い込む。説明を加えながらも、迷うことなくヤン・ミンヒョク検事とともに真実に近づけるようにする。
検察首脳部までも「権力に屈服する」という内容は、確かに他の犯罪映画でも見た内容だが、最近の検察改革を求める声を思い浮かばせる。
チョン監督は「偶然一致したもの」とし、「検察の姿がそうしてきたと思い描いただけだ」と一線を引いた。
今年だけで3作目の映画で観客を訪ねるチョ・ジヌンは、事件の真実を明らかにするため大胆に突き進むヤン・ミンヒョクそのものに扮した。イ・ハニは流暢な英語力を披露し、エリート弁護士へ完ペきに変身した。
“モフィア”の中心人物である元首相は、俳優のイ・ギョンヨンが演じたが、彼がこれまで“またギョンヨン”というニックネームまで得て、演じてきた数多くの役柄と重なる部分が大きく感じられる。今回も陰謀を企む役柄になると予想するのはそれほど難しくない。
