"希代の就業詐欺"、投票操作論議に巻き込まれたオーディション番組の表と裏

2019年11月29日

マイクを握った司会者は視聴者に対して「国民プロデューサー」と呼びかけた。
平凡な視聴者もアイドルグループの選定に直々に参加できるよう企画されたMnetのオーディション番組はその斬新さで韓国を飛び越え世界中のK-POPファンから注目された。
まさしく"土の中の真珠をスーパースターにすることができる"夢のようなシステムに視聴者は時間を割いてでも、本放送を見守り、有料メールを送り、ネット投票を行いながら、"推し"の練習生たちにエールを送った。
番組は「あなたの少年に今、投票してください」と呼びかけ、それに対していわゆる「国民プロデューサー」たちは使命感を持ち、アイドルグループの誕生に参加していた。
このような反応に支えられ、この番組はシーズン4まで放送された。
視聴者がシーズン4に投票した数は実に1363万票、韓国全体国民の27%に上る数値である。
しかし今年7月、視聴者たちは異様な状況に気付き始めた。
最新シーズンで1位と2位の票差が29,978票で、3位と4位の差も、6位と7位の差も同じ数字だったのだ。この票差は20位圏内で数回繰り返されていた。
また、1位から20位まですべての得票数が特定数の倍数になっていることも明らかになった。
まさしくこの時から、"投票操作疑惑"が提起され始めた。
ファンたちは真相究明委員会を設置し、番組の担当プロデューサーらを告発し、制作会社も自社のスタッフに対する警察捜査を依頼し、論争は「事件」に発展した。
それから3か月にわたる警察捜査の結果、キムCP(チーフプロデューサー)とアンPD(プロデューサー)が投票操作の疑いで逮捕された。
これにより投票操作はシーズン1から4までほぼすべての部分で行われていたことが明らかになった。
スタッフは順位操作の見返りとして、練習生を出演させた芸能プロダクションから数千万ウォン(日本円で数百万円)相当の接待を受けていた。
最終ラウンドに上がる20人をまとめる過程で、お互いに競演する楽曲をあらかじめ教えていたという事実も明るみになった。
この番組が輩出したあるアイドルグループは、新曲の発表を急遽キャンセルするなど、K-POP市場全般に波紋が広がっている。
警察はテレビ局の制作プロデューサーだけでなく、親会社側にも芸能プロダクションへの接待などがあったとみて捜査を拡大している。
真相調査委員会の担当弁護士であるキム・テファン氏は「親会社がすべての責任を負って当然だ。番組からデビューしたアイドルグループを通じて、今最大の利益を上げているのはテレビ局だ」と主張した。
リアリティさを追求したオーディション番組の核心は、平凡な人々が出演することで、驚くほどの感動を伝えることである。
2010年10月22日、この日も多くの視聴者がテレビの前に集まった。渦中のテレビ局が制作したオーディション番組の最終回が放送される日だった。
最終回の優勝者は当時、換気扇の修理工として働いていたホ・ガクでが、この日を境に"歌手ホ・ガク"としてスーパースターになり、その後の飛躍的な活躍へとつながっていくのだった。
その後、同局で現在議論が起きている番組がスタートすることになった。こう述べると"成功神話"のようなストーリーに見えるが、結局、投票操作疑惑に巻き込まれ、過去の感動は色あせてしまった。
多くのネットユーザーは今回の事件を"希代の就業詐欺"と呼び、怒りと虚脱感を表している。
デビュー組に入ることができず脱落した歌手志望生たちがどれほど衝撃を受けたか想像もできない。
今、この時間にも練習生たちは夢を叶えるために努力していることだろう。
今後も続く捜査を通じて疑惑が明らかになるのか、数多くの「国民プロデューサー」たちが見守っている。

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