ハン・ソッキュ×チェ・ミンシク主演映画『天文』、朝鮮の天才世宗とチャン・ヨンシルのブロマンス

2019年12月17日

一国の王として常に民を顧みなければならかかった世宗(セジョン)大王。卑しい奴婢に生まれ、頭を上げることができず地面だけを見て生きてきた発明家のチャン・ヨンシル(蒋英実)。
2人が宮殿の裏庭でともに並んで横たわり、同じ空を見ている。その瞬間だけは身分も貴賤も関係ない。幸せな夢に浸り笑みを浮かべる2人の男がいるだけだ。今月26日に公開する映画『天文:天に問う(原題:천문:하늘에 묻는다)』が描き出した朝鮮の2人の天才、世宗とチャン・ヨンシルの物語だ。
出発は世宗実録に記録された一行の歴史だ。「チャン・ヨンシルが監督した『安輿(王が乗る輿)』が丈夫でなく壊れて、義禁府(大罪人の取り調べを行う官庁)に下ろして鞫問させた」という内容。これに映画的な想像力を重ね「安輿事件」前後の歴史のすき間を埋めていく。
天才は天才を見分けられるとか。世宗は官奴だったチャン・ヨンシルの天性の才能を見抜き、正5品の官職を与えた。チャン・ヨンシルはその後20年間世宗の傍らで朝鮮の空と時間を観測することができる天文儀器を作る。
『8月のクリスマス』や『春の日は過ぎゆく』を制作したホ・ジノ監督は伝統時代劇も気品あふれるメロに変奏できる才能を持っている。『ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女』に続き今回の作品でも自らの特異芸をきちんと発揮する。
映画の密度や温度を高めるのは世宗とチャン・ヨンシルの心温まる切々としたブロマンスだ。「お前の願いは何だ」、「一生殿下のそばにいることです」2人は君臣関係を超え、時には友人のようで、恋人のようだ。ホ・ジノという“メロ職人”とチェ・ミンシクとハン・ソッキュによる“演技職人”が力を合わせ作り出した結果だ。特に2人の俳優は『シュリ』以来20年ぶりに一つの作品で会ったが、その歳月の分、さらに強まったアンサンブルを見せる。チェ・ミンシクは子どものように純真で純粋なチャン・ヨンシルを演じる。
ハン・ソッキュが演じた世宗は馴染みがあるようで、また異なる。チャン・ヨンシルに対するときは限りなく優しい。朝鮮が独り立ちし、誰もが読み書きを学ぶことができる公平な世の中を作ろうとした君主として深い苦悩も見せる。しかし決定的な瞬間にはカリスマを醸し出す。しっかりと感情を積み重ねていた2人が最後にまなざしで会話を交わすシーンは目頭を熱くする人が多いだろう。
天と地のような2人の関係が平坦なはずがない。朝廷の臣下たちは朝鮮の根幹である身分体系を揺るがした2人を絶えず仲違いさせる。中国の明も朝鮮が天文事業を行うことを放っておかない。当時の時代像は最近の姿とオーバーラップされ苦々しさを残す。
この映画には俗にいう“演技の穴”がない。ベテラン俳優のシン・グをはじめにキム・ホンパ、キム・テウ、キム・ウォンへ、イム・ウォニなど中堅俳優たちがさまざまな役を演じ笑いや重みを加える。特にホ・ジュノは短い登場でも圧倒的な存在感を放つ。
フィクション時代劇だが、専門観測器具の簡儀や簡儀台をはじめ自撃漏(水時計)などさまざまな発明品は考証を経て実物のように再現するなど見どころも多い。
ただし世宗とチャン・ヨンシルのブロマンスに主に焦点を当てているため、構想はやや短絡的に感じられる。序盤から2人に感情移入できなければ、132分にわたるロングタイムが多少手に余るかもしれない。12歳以上観覧可作品。今月26日から公開される。

前の記事 エンタメ情報一覧へ 次の記事