映画『移葬』、5人のきょうだいが父の墓をめぐり繰り広げる社会派作品…差別や育児環境などを訴える
2020年02月26日

4人の姉妹と末っ子の弟。そんな5人のきょうだいが父の墓を移葬するために久しぶりに集まる。
どんな家族にもありがちなこの話に韓国の家長父的な社会の実態がすべて盛り込まれたような映画『移葬(原題:이장)』が来月5日に公開される。
長女ヘヨン(チャン・リウ)は夫と別れ息子を1人で育てながら暮らしている。育児休暇を取ろうとするものの会社は退職を勧告する。
次女のクムオク(イ・ソニ)は金持ちの夫と結婚したが、その夫は現在浮気をしている。
三女のクムヒ(コン・ミンジョン)は結婚を控えているが、経済的な経験をしており金には特に敏感だ。四女のヘヨン(ユン・グムソナ)は大学10年生を迎えた。そんなヘヨンは言うべきことを言わないと気が済まない性格だ。
ヘヨンは墓の移葬のためにきょうだいを集め、伯父の家に向かう。しかし末っ子であり長男でもあるスンラク(クァク・ミンギュ)が現れない。スンラクは長女のヘヨンに移葬のメールを送りながら、無責任にも家族たちの連絡を避けていたのだ。
“弱り目に祟り目”で、一緒に出かけた姉妹の間でも移葬の補償金などをめぐって争いが起こり、伯父は「長男もいないのに墓を掘るのか」と怒鳴りつける。姉たちは仕方なくスンラクの行方を探してまた出かけていく。
映画のストーリーはどこの家にでも起こりうるもので、セリフは誰もが一度は聞いたことがありそうだ。
祭祀の前では娘と息子を差別することや、男性と女性を差別することが今もなお続いており、ある人ははそれが差別だと感じられないほど根が深い問題だ。
「家の隅で家事をやることの何が大変だ」や「お前のお母さんが息子を産む時に苦労した」などのセリフは聞き慣れた言葉だ。
映画『移葬』は大衆に比較的知られていない俳優たちが出演したため、この話が隣人や自分の家で起きているような感じもする。
長女のヘヨンを通じては離婚した後、育児は専ら母親の役割になり、育児休職が思うようにできない現実…。四女のヘヨンを通じては、現在韓国社会で起きている男女間の対立と嫌悪を、クムヒを通じてはお金がなければ結婚さえ難関にぶつかる現実を見せてくれる。
そして男性監督の長編デビュー作という点が、この作品の最大の意外性だ。
演出を担当したチョン・スンオ監督は「我が家も祭祀を行うが、誰かを記憶し追慕するセレモニーで家族内の女性たちは差別を受けている」とし、「それを取り巻く正体は何なのか取り上げたかった」と伝えた。
「第35回ワルシャワ国際映画祭」で韓国映画史上初、新人監督のコンペティション部門の大賞、アジア映画振興機構が授与するNETPAC賞などを受賞した。
