イ・ジェフン主演映画『狩りの時間』、ディストピアの中で生き抜く青年たちの人生

2020年04月24日

どん底の生活から抜け出し、ハワイの海辺でのんびりと釣りを楽しむ人生を夢見ていた青年たち。『人間らしく生きたい』というその夢は所詮無理だったのだろうか。彼らが結局直面した現実は青い光がうねる海ではなく、赤く染まった悪夢のような地獄だ。
トラブルの多かった映画『狩りの時間』が今月23日午後、動画配信サービスNetflixを通じて公開された。新型コロナウイルス感染症の影響で劇場公開日が決まらず、ダイレクトにNetflix配信を選んだものの、法廷での攻防に巻き込まれるなど紆余曲折を経た末に視聴者たちと会った。
作品は一儲けを狙った青年4人が正体不明の追撃者に出会い、地獄の奈落に落ちる過程を描く。前作『Bleak Night(原題:파수꾼)』で互いに傷つけあう10代の少年たちを通じて人間の本性に鋭く切り込んだユン・ソンヒョン監督が、今度は青少年たちの人生に注目した。
背景はIMF金融危機で希望が消えた都市。空にはかすんだ煤煙が漂い、街にはリストラを糾弾するデモ隊の叫び声が響く。廃墟と化した裏通りにはホームレスがあふれ、壁は色とりどりのグラフィティでいっぱいだ。物価が高騰しお金の価値は暴落し、麻薬や銃犯罪が日常化された社会、それはまさにディストピアだ。
刑務所から出たばかりのジュンソク(イ・ジェフン)は日頃から夢見ていた人生を生きるため友人のジャンホ(アン・ジェホン)や、ギフン(チェ・ウシク)、サンス(パク・ジョンミン)に不法賭博場を荒らそうと提案する。計画通り事がスムーズに進むかと思いきや、彼らの前に正体不明の追撃者が現れすべてが狂う。追撃者はすぐ目の前まで迫ってきて銃口を突き付けられ、彼らは必死に逃げる。
作品全体を貫通するキーワードは不安感と漠然さだ。自分たちを追う人物は誰なのか、なぜ追われるのか理由も分からないまま逃げる主人公たちの姿は、絶えず未来に対する不安と現実への圧迫に苦しむ最近の若い世代の肖像と重なる。
描写は単調で直線的な方だ。メタファーもストレートだ。1人の少年の死をめぐって周りの人たちの話を縦と横の糸で編み、感情の木目をつないでいった『Bleak Night』とは異なる。
脚本と演出を務めたユン監督は「現在を生きていく若者たちの“生存”に関するメタファーが込められた作品」だと紹介した。
100億ウォン(約10億円)近い純製作費が投入された産業映画として本分を全うする作品だ。廃墟になった都市を舞台に、追いつ追われつの息を呑むアクションとサスペンスが断然目立つ。韓国映画ではめったに見ることができない銃アクションにも力を入れた痕跡が見える。テーマ意識を裏付ける荒廃した都市の姿など、ビジュアルにもかなり気を使った。
繊細な感情演出と、疑問符に対する答えを簡単に出さないミステリー方式のストーリーテリングなど、ユン監督の得意技も光を放つ。
作品は灰色と赤色でいっぱいだ。現実が灰色なら、追撃戦が始まってからは赤色一色。一場の悪夢を見たような印象を与える。
イ・ジェフン、パク・ジョンミン、チョ・ソンハなど『Bleak Night』でユン監督とタッグを組んだキャストたちが再び出演した。そのためだろうか。『Bleak Night』の中の10代が成長して向き合った世の中が『狩りの時間』で描かれたかのようだ。

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