映画『野球少女』主演のイ・ジュヨン…「夢見る人の話。目標は違うが、感情は理解できた」
2020年06月11日

「男性選手たちと一緒にトレーニングをしながら、自分でも気づかないうちに、負けず嫌いになっていた。“スイン”が感じていた感情は、このようなものだったのだろうかと思った」(イ・ジュヨン)
男ばかりの高校野球チームにいる唯一の女性選手。プロになりたいが、女性選手はプロになれないという偏見の壁にぶつかる。映画『野球少女(原題:야구소녀)』の主人公チュ・スインの話だ。女優のイ・ジュヨンは、まるで自身がチュ・スインであるかのように、彼女の情熱と悩みを丸ごと表現して見せた。
最近鍾路区(チョンノグ)三清洞(サムチョンドン)で会ったイ・ジュヨンは「この映画をやらない理由がなかった」と強調した。
続けて「女性が主導的に引っ張っていく作品をやりたいと思っていたときに『野球少女』のシナリオをいただいた。実際の年齢は28歳(数え年)なのに、10代のスインを演じなければならなかったが、それも気にならないくらいキャラクターに魅了された。30〜40代の方々が見ても共感することができる話だと思う」と語った。
また、「天才野球少女」という役をこなすため1ヶ月間、男子高校の野球選手と共にトレーニングを受けなければならなかったという。劇中のコーチ“チェ・ジンテ”役を担った俳優イ・ジュニョクもこれに参加した。
彼女は「劇中のスインのように、男性選手ばかりの環境の中で訓練した。“選手たちの姿に近づきたい”という考え自体は、選手たちに失礼かもしれないが、“私もうまくなりたい”、“勝ちたい”と思った。 “どのような部分が私に不足しているのか”、“一生懸命やっていないのではないのだろうか”このような悩みから始まり、トレーニング自体がスインを作り出す土台になった」と明かした。
自身を「野球門外漢」と表現したイ・ジュヨンにとって、投球方法を身に付ける事も、容易ではなかった。
「他の人の投球方法を見て、どのように投げるとフォームが整ってきれいに見えるかまでは理解できたが、私の体がそれに伴わず、悔しかった。実際に私が投げたボールの球速を計ってみたが、60~70㎞を超えるのも大変だった。スインは最高球速が134㎞なのに(笑)」とエピソードを語った。
周りが「ダメだ」と止めても、プロ選手になりたいという夢を捨てないチュ・スイン。彼女の姿は時に共感を、時に羨望を観客に与える。
イ・ジュヨンは「目標は違うが、その感情を十分に理解することができた」と明かした。
そして「周りからは止められるが、スインは自分が1度決めた道を捨てて戻りはしない。他の選択肢を示されても、それを示す理由自体に疑問を抱いている。私も女優をしながら、自ら悩んだし、周りからも“違う道を行ってみてはどうか”と言われたりもした。その過程で、私も“私はこの道を行こうとしているのに、なぜ周りはダメだというのか”と何度も思った」と話した。
彼女は「時々、スインの粘り強さ自体がファンタジーのようだった」とし「観客を理解させなければならないというプレッシャーがあったが、実際演じてみると、彼女を応援するようになった。スインのセリフの中に間違った言葉は1つもなかった」と振り返った。
女性が引っ張っていく映画だが、女性主義映画という枠にとらわれないでほしいという願いも伝えた。
「女子選手だからといって、ダメな事はないという内容なので、(女性主義という)テーマを除いてこの映画を説明することはできない。しかし、映画が伝えるメッセージは、もっと幅広い。誰でも映画の中のいずれかのキャラクターに感情移入できると思う。コーチのジンテは夢を叶えるために努力したが、失敗し、自分のように夢を抱いている人を見ながら力になりたいと思っている人物。彼と似たような感情を持つ観客もいらっしゃるだろう。夢を抱く人と、それを助ける周りの人の話として見てもいいと思う」と述べた。
映画『なまず/Maggie』やドラマ「私だけに見える探偵」(2018)など様々な作品で活躍し、最近出演したドラマでは“トランスジェンダー”という難しい役柄を見事にやってのけたイ・ジュヨン。彼女はチュ・スインのように自身の道を粘り強く歩んでいる。
彼女は最後に「私は常に、今日だけを生きている人。大きな何かを成し遂げていきたいというよりも、演技をしながらこのように生きているのが楽しい。私が持っている小さな力で、誰かが小さな幸せを感じることができたら嬉しい」と笑った。
