俳優イ・ヒジュン、映画『オー!ムニ』で認知症の母を世話するシングルファザー役に挑戦

2020年09月04日

“モンスタークレーマー”の車をハンマーで壊すほど、上司も顧客も恐れない田舎町の保険会社調査官。しかし家に帰ると、認知症を患った母親と6歳の娘の前で“武装解除”されるシングルファザー。今月2日に公開された映画『オー!ムニ(原題:오! 문희)』の主人公、ドゥウォンの話だ。
こんなドゥウォンが、俳優イ・ヒジュンの日常生活演技と出会い、忠清南道(チュンチョンナムド)錦山(クムサン)に実際にいそうな人物として誕生した。今年初めに公開された『南山の部長たち(原題:남산의 부장들)』で披露していたイ・ヒジュンの姿とは180度異なるキャラクターだ。
今月3日午後、オンラインでインタビューに応じたイ・ヒジュンは、「僕がドゥウォンだったら、逃げたかったはず」だと述べた。
そして「ドゥウォンは認知症の母親の世話をしながら暮らしているが、母親に対する愛を優しく表現するのは現実的ではないと思った。僕の祖母も認知症の患者だが、母が祖母と接する姿を見ると、愛情はあるが、日常ではその表現の仕方が違う。実際にそんな状況で生活に耐えている人々がどうなのかを表現し、共感しようと努力した」と明かした。
イ・ヒジュンは「つらい状況でも辛抱するドゥウォンと共感することが一番難しかった」と打ち明けた。
彼は「母親を世話して娘を1人で育てながら生きるということがどんな気持ちなのか、どんな心情で耐えているのかをたくさん考えようとしたが、それが一番難しかった。“自分なら逃げたいが、逃げたいと言わないんだな”、そんな思いになった。ドゥウォンにもっと近づこうとした」と説明した。
映画『オー!ムニ』はドゥウォンが娘を轢いたひき逃げ犯を捕まえるために、事件の唯一の目撃者である母親のムニ(ナ・ムニ)とともに犯人を追跡していく物語を描いた。物語が2人の母子の葛藤や和解、愛情などの内容で流れていくため、ムニとドゥウォンを演じた2人の俳優の息の合った演技が重要だった。
イ・ヒジュンは「ナ・ムニ先生にいい所を見せたくて、褒められたかった」と振り返った。
そして「先生はリハーサルの時にもっといい考えが浮かんだらすぐにおっしゃってくださった。こんなことを苦難に思う後輩たちも多いが、僕はうれしかった。僕が『母さん』と呼べば、『もう少し“おいしそうに”言ってみて』とおっしゃた。“母さん”だけで30回やり直したこともあった。だからといって居心地が悪いわけでもなく、僕はいつも先生がおっしゃる通りにやり遂げようとした」と述べた。
この作品は“農村捜査劇”を標榜しているが、迫力あふれる捜査過程の代わりに、家族間の感動的な愛がそれを埋める。ドゥウォンも劇中で涙をたくさん流す。
イ・ヒジュンは「涙を流すシーンが多くて、ウイットを見せようとしたが、容易ではなかった」と述べた。
それとともに作品の魅力については「すごい英雄が出てくることもなく、すごく劇的な事件があるわけでもないが、小市民である主人公が認知症にかかった母親を世話し、自分の娘のひき逃げ犯を探す過程がどれだけすごい事なのかを感じることができる」と説明した。
イ・ヒジュンは作品で切実な父性愛を見せる。昨年12月に息子をもうけ、撮影当時にはまだ父親ではなかったという。
そして「明日からまた撮り直したい(笑)当時は最善を尽くしたが、子どもが生まれ、気持ちがすごく変わった。何とも表現できないが…」と心境を明かした。
『オー!ムニ』は新型コロナウイルス感染症により、大部分の映画が公開延期を選んだ中、従来の日程通りに観客と会った。しかしコロナはイ・ヒジュンの暮らしにも影響を及ぼした。海外で撮影中だった映画『ボゴタ(原題:보고타)』の撮影が中断されたのだ。
彼は「こんなに長い間休んだことがなかった。『ボゴタ』の撮影を止めて帰国した後、今まで収入がない。撮影現場がとても恋しい。『南山の部長たち』は最後の食卓で狙撃するシーンだけを1週間ほど撮影したが、その多くのスタッフが入り込む瞬間がカッコよくて楽しかった。そうやってみんなが集まり、共にするということが大切なんだと実感している」と述べた。
彼は今月中旬から、イ・ソンミンたちとともに出演するスポーツバラエティ番組の撮影に突入する。
「『ボゴタ』で帰国した後、僕は育児をつづけているが、ずっと忙しかったら子どもがハイハイをしたり、赤ちゃん言葉を話すのを全く見ることができなかっただろう。今は一番近くで子どもと一緒に過ごす時間を楽しもうとしている」と明かした。

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