イ・ジョンウン、「来るものは拒まず、去る者は追わずに演技する」…新作映画『私が死んだ日』に出演

2020年11月10日

昨年、映画『パラサイト 半地下の家族(以下、パラサイト)』で全世界の注目を集めた女優のイ・ジョンウンは、すぐにテレビでの活動に移った。「椿の花咲く頃」や「一度行ってきました」など話題となった数々のドラマに出演。
今月12日に公開を控えた新作映画『私が死んだ日(原題:내가 죽던 날)』(監督:パク・ジワン)は、イ・ジョンウンとキム・ヘスが初めてタッグを組んだ作品としても、イ・ジョンウンのセリフのない演技でも注目されている。
イ・ジョンウンは、人里離れた島で1人甥を育てながら暮らす順天宅(スンチョンテク)を演じた。証人保護プログラムにより島を訪れたが消えてしまった高校生のセジン(ノ・ジョンウィ)を最後に見た目撃者だ。
あらゆる人生の荒波を経てきた順天宅は、過去に農薬を飲み声を失い、もうひとつの真実を秘密にするために表情まで隠さなければならなかった。
9日に会ったイ・ジョンウンは「言葉が私を抑制した時に出会った、私にとって必要だった映画」だと述べた。
彼女は「授賞式で服を脱ぎたいと思った時があった。服が私をとても締め付けていた。その服のように言葉が私を抑制していた時に出会った映画だ。言葉がなくても理解してくれたらと思う時があるじゃないですか。そういう時だったと思う」と付け加えた。
『パラサイト』以前に、ポン・ジュノ監督の『オクジャ/okja』で、スーパーピッグの声の出演までした彼女だ。
方言や言葉遊びが多いセリフをこなしながら、“言葉の魔術師”のような賞賛をされると「それがなかったら、演技ではないというのか」と悩んでいた時期に、この映画のオファーが来た。
彼女は劇中の順天宅とともに実際の口数も減り、「言葉が前に進まないので、もっとよく耳を傾けるようになった」と述べた。
同い年のキム・ヘスとのタッグもそうだったようだ。
キム・ヘスは試写会終了後に開かれた記者懇談会で、2人が最後に向き合う場面が一番印象的なシーンに挙げた。
イ・ジョンウンは「向かい合うシーンは多くなかったが、その場面で最後の瞬間に目が合った時、お互いの過去を話したことのない同年輩の人生が出会い、衝突する気分になった」と述べた。
演技共演は初めてだが、2人の縁はかなり長い。
イ・ジョンウンが出演した低予算演劇にキム・ヘスが海外から集めたあらゆる小道具や衣装をサポートし、イ・ジョンウンがキム・ヘスの紫色のワンピースを着て出演したという。
イ・ジョンウンは「ヘスさんは何度も友達になろうと言うが、私にとってはいまだにスターで、とても素敵な俳優」だと述べた。
作品と作品の中のキャラクターについて、俳優自身について真剣な話を続けても自分を称賛する言葉が出ると、イ・ジョンウンはすぐに照れくさいと言わんばかりに、飾らない気さくな口ぶりで率直な話を切り出した。
来年放送されるドラマで判事出身の教授を演じる彼女は、「セリフなしで演技するより、教授になるのがもっと大変なようだ。知的な感じを出すのが…」とし、へへっと笑った。
過去に出演したドラマでは娘や娘のような女の子に愛を注ぎ、視聴者の涙を誘った。
順天宅もこの世にたった1人残ったセジンに、自分が与えられるすべてをささげた。
イ・ジョンウンはまた、照れくさい言葉の代わりに「愛を分けてあげる役柄を多く演じたが、私はケチくさくて気楽に暮らしたい人間だ。作品の中の人物からそんな広い心を学んでいる」と述べた。
ミュージカル「パルレ」の大家のおばあさん役など、若い頃から老け役をたくさん演じてきたために、注目される最近の母親役はむしろ若返っているとし「しばらく楽しく遊んでいた」とまたへへっと笑った。
アカデミー賞の授賞式が終わり帰国するや否や、全世界的に急激に悪化した新型コロナウイルス感染症の事態によりアメリカ作品への出演議論も中断された彼女だが「韓国で良いコンテンツをたくさん作っており、むしろそちらの方が私たちを注目している状況なので、それほど残念ではない」と述べた。
自重しなければならない時期を家族と一緒に過ごし、ペットと漢江(ハンガン)の川辺を散歩しながら充電し、週末ドラマへの出演で親孝行をし楽しく過ごしたという。
選択を待たなければならない立場から、作品を選択する立場になったようだと尋ねると彼女は、「まだバブルではないか。私が探し続けるべきではないか」と声を下げて語った。
ただ「長く活動したいのでマネージャーと私の健康のためには、ダブルブッキングはしないことにした」と、また笑った。
1991年の演劇舞台で始まった演技人生は、来年で30周年を迎える。
その事実さえ知らなかったというイ・ジョンウンの来年の望みは素朴だった。シン・スウォン監督と一緒に撮影を終えた映画『オマージュ(原題:오마주)』が劇場で公開されればいいというのだ。
イ・ジョンウンは「機会を逃したからといって、来るものではないので、運命のように来るものは拒まず、去る者は追わずに演技する」と述べた。

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