アカデミー賞有力映画『ミナリ』、アメリカのポツンと一軒家に移住した家庭の“普通で特別”な夢を描く

2021年02月19日

アメリカの映画会社が製作し、アメリカ国籍の監督が現地で現地の俳優やスタッフと撮影した厳然としたアメリカ映画だが、映画『ミナリ』に注がれた韓国と世界映画界の関心は、その温度が違う。
韓国の観客たちには国内のドラマや映画でおなじみの女優ユン・ヨジョンやハン・イェリが出演した上に、アメリカに移住した韓国人家庭の物語が現地の映画界で好評を得て、快進撃を遂げているのだから関心を注がざるを得ないのだ。
アメリカと世界の映画界では昨年、ポン・ジュノ監督が『パラサイト 半地下の家族』で呼び起こした韓国コンテンツに対する熱狂的な関心とともに、白人一色で批判されていたハリウッドが、多様性を受け入れようと努力する変化も一役果たした。
しかし、アメリカ国内の主要授賞式のひとつであるゴールデングローブ賞が英語より韓国語のセリフが多いという理由で、『ミナリ』を外国語映画賞の候補に挙げながら、批判の対象となり、その反作用で映画に対する関心と好評は高まる動きを見せている。
4月に予定されていたアカデミー賞の授賞式で作品賞と監督賞、脚本賞、男優主演賞、女優助演賞など主要部門候補に上がるものと予測されている『ミナリ』は、昨年秋の釜山(プサン)国際映画祭の招待作として韓国で初めて公開されたことに続き、来月正式公開される。
カルフォルニアでひよこの鑑別士として働いていたジェイコブ(スティーヴン・ユァン)は、肥沃な土地を作るという夢のため、家族を率いて南部アーカンソーの田舎に移住する。
妻のモニカ(ハン・イェリ)は、広々とした野原にぽつんと置かれたトレーラーの家を見て、娘のアン(ノエル・ケイト・チョー)と心臓を患った息子のデヴィッド(アラン・キム)の心配が先走り、竜巻に襲われた夜、不安が高まり、結局、大きな争いにつながる。
夫婦を助けるためにモニカの母スンジャ(ユン・ヨジョン)は唐辛子粉やイワシ、漢方薬をたくさん買ってきてトレーラーの家に来る。
スンジャは孫を座らせ花札を教え、祖母と部屋を使うようになったデヴィッドは、「おばあちゃんはクッキーも焼けないし、においがする」とし、「おばあちゃんは本当のおばあちゃんでないみたい」と不満をもらす。
1980年代にアメリカンドリームを追いかけていた移民者家庭を描いた映画は、リー・アイザック・チョン監督とその家族の自伝的な話で、やはり移民者であるジェイコブ役の俳優スティーヴン・ユァンがそうだったように、アメリカでの韓国人と多くの移民者の共感を得ている。
不慣れな環境で葛藤しながらも、お互いに支え合い希望に向かって進んでいく家庭の話は、移民者に限定しなくても家族を持つ大部分の人々に深くアプローチしている。
デヴィッドが幼い頃のチョン監督だが、今や父親になった監督は、「ジェイコブに自分をもっと投影する」とし、自分の経験と実在の人物である家族からインスピレーションを受けたが、映画の中のキャラクターは俳優たちが再び創造し生み出した新しい人物であることを強調した。
映画は監督の経験を基にした誠実な話と自然光で描いた美しい風景、ここに溶け込んだ音楽で観客の心を響かせながらも予想できなかったドラマチックなどんでん返しの要素が加味され、ジャンル映画に劣らない緊張感を抱かせたりもする。
ジェイコブが育てた土地に植えて育てた韓国の野菜がこの家族に希望と絶望を交互に与えたなら、デヴィッドの目に教養のない気難しい祖母が自ら持ってきて、森の中の日当たりの良い水辺に植えたセリは、強い生命力と適応力ですくすく育ち、この家族をしっかりと束ねてくれている。
「セリ(作品名のミナリはセリを意味する)はどこでもぐんと育つから、お金持ちでも貧しい人でも誰でも引き抜いて食べられる。セリはワンダフルだ」というスンジャのセリフにタイトルの意味がそのまま盛り込まれ、監督は映画の最後に「私たちのすべてのおばあちゃんへ(TO OUR ALL GRANDMA)」いう献辞を残した。
下品な言葉遣いをためらわずにするが、大きくて深い愛を抱いている祖母“スンジャ”を演じた女優のユン・ヨジョンは、アメリカで助演女優賞23冠を獲得し、韓国俳優としては初めてアカデミー演技賞受賞への期待を高めている。
映画『ミナリ』は韓国では12歳以上観覧可で、来月3日に公開される。

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