ユン・ヨジョン、映画『ミナリ』で26冠を獲得してもクールなスタンス「経験がなく実感が湧かない」
2021年03月01日

映画『ミナリ』で、26個の賞を受賞した女優のユン・ヨジョンは「実感が湧いていない」と祝福の言葉をクールにかわした。
カナダのバンクーバーでドラマを撮影中のユン・ヨジョンは、このたびリモートで開かれた『ミナリ』チームの記者懇談会で、改めてトークやユーモアを用いて笑いを届けた。
彼女は、これまでにアメリカでの各種批評家授賞式などで女優助演賞を26個受賞していることについて、「メダルは、ひとつしかもらっていないので実感が湧いていない」とし、「私がハリウッド俳優でもなく、このような経験がないので、ただ国が広いから賞が多いんだなと思っている」と述べた。
彼女は、1980年代にアメリカンドリームを追いかけ、アメリカ南部のアーカンソー州の農場に移住した韓国人家庭の物語を描いた映画『ミナリ』で、娘のモニカ(ハン・イェリ)とジェイコブ(スティーヴン・ユァン)夫婦のために、韓国から渡った祖母スンジャを演じた。
映画に活力と変化をもたらすスンジャを、典型的ではない演技で表現し、好評が相次いでいる。
ユン・ヨジョンはその功労を、自身と家族の経験を基にシナリオを書き、演出したリー・アイザック・チョン監督に捧げた。
彼女は「典型的でない祖母を描いたのは、アイザックがそう書いたため」だとし、「監督のおばあさまを真似しなければならないのかと尋ねた時、決してそんな必要はないと言ったので、自由に監督とともに作り上げたキャラクター」だと述べた。
韓国から持ってきた蒸し栗を口で嚙み砕き、孫のデビッドに渡す場面も、実際にユン・ヨジョンがアメリカで暮らした時に見た場面を思い出し、書き写したシーン。
彼女は「友だちのおばあさんが来て、孫にそうやって栗をあげたのだが、アイルランド出身だった友だちの夫がとても驚いて『君たちの国はそれで肝炎が多い。ドン引きだ』と話したことがある」とし、「アイザックと互いにそうやって記憶や経験を話そうと言った」と伝えた。
スンジャがデビッドと同じ部屋を使うことになり、一緒にベッドに寝ずに床で寝ることや、“wonderful”程度の英語はできるのではないかと提案した「セリ(タイトルのミナリは韓国語でセリを意味する)は、ワンダフルだ」などのセリフは、ユン・ヨジョンの意見で作られた。
ユン・ヨジョンはこの映画を「驚愕を禁じ得ない驚きに包まれた映画」だと定義した。
そして「撮影した時は(とても暑くて)早く終えて涼しいところに行こう、という考えしかなかった。サンダンス映画祭で映画を初めて観た時は、演技が未熟なところがあるのではと思いながら観たので楽しめなかったが、人々が喜び、涙を流すのを見てむしろ驚いた。アイザック監督が舞台に上った時、人々がスタンディングオベーションをするのを見て涙が出てきた。私がもうベテランの俳優なので、若い人たちが何かを成し遂げ、私より優れているのを見た時に『見事だ』と韓国人としての誇らしさが爆発する。このようにたくさんの賞を受賞したということも驚くべきこと。想像して作らなかったので。感激しかない」と語った。
チョン監督はユン・ヨジョンが話をする間ずっと笑みを浮かべていたが、スンジャのモデルになった実際の祖母の話をしながら、もう一度涙をこらえたりもした。
彼は「仁川(インチョン)の松島(ソンド)で教授生活をしていた時、教授室に座り窓の外を眺めながら、貝を掘り出す姿が見えたが、戦争で祖父を失い干潟で貝を獲り母を育てた祖母のことをたくさん思い出した」とし、「祖母の話をするたびに、胸がグッとくる感情に涙が出る」と述べた。
チョン監督は映画撮影を終え、すべてのスタッフを連れてユン・ヨジョンにクンジョル(ひざまずいて深々とお礼をする韓国独特の文化)をし、ユン・ヨジョンはその瞬間を最も“ワンダフル”な瞬間に挙げたりもした。
ユン・ヨジョンは「とても驚き、最も記憶に残る瞬間」だとし、「私以外のみんながクンジョルをしているので、写真が一枚も残っていないが、アイザックの配慮が感じられたその瞬間が一番よかった」と述べた。
『ミナリ』は昨年、サンダンス映画祭の大賞と観客賞を受賞。
ユン・ヨジョンが受賞した26個の女優助演賞を合わせると、これまで74個の賞を獲得した。
加えて、先月28日(現地時間)に開かれた「ゴールデングローブ賞」では、外国語映画賞を受賞し、ポン・ジュノ監督の「パラサイト 半地下の家族」に続いた。
4月に開かれるアカデミー賞の授賞式でも、主要部門にノミネートされるものと期待されている。
チョン監督は「個人的な話を盛り込んでいる映画がこのように好評を博していることに驚き、不思議な気持ちだ」としながらも、「話をするうえで、国や国籍は問題にならない」と述べた。
さらに「移民者の話、僕個人の話だからではなく、普遍的な人間関係をお見せしたためだと思っている。劇中の家族が経験する葛藤や苦痛、困難な状況でも互いに愛し合い、ともに乗り越えていく姿に共感してくださるからだ。オープンマインドで配役に臨み、表情から人間愛がにじみ出るよう、繊細に表現してくれたキャストたちの見事な深みのある演技のおかげ」だと付け加えた。
映画『ミナリ』は、今月3日に韓国で公開される。
