eAeonの新譜『Fragile』…「音楽の本質に集中するようになったアルバム」
2021年05月12日

シンガーソングライターのeAeonは、精巧に設計された建築物のような音楽を披露してきた。
彼が音を一つ一つ緻密にひねり築造し出した悲しみの世界は、いつも不慣れな美しさを醸し出したりもした。
彼がリリースした2ndソロアルバム『Fragile』は、その美しさを全く味わう間もなく心に押し寄せてくる。
最初のトラック「Don't」からだ。
“やめて、行かないで/僕たちのすべてを捨てないで…”
eAeonとボーイズグループBTS(防弾少年団)のRMが共に歌を紡ぐ時、聞く者もまた波にのまれるように無防備となる。
「Fragile」は、バンドMotやNight Offなどとも活動してきた彼が、2012年の1stソロアルバム『Guilt-Free』以来9年ぶりに披露したソロフルアルバム。
多くの点で以前とは違うアルバムだ。
最近インタビューに応じたeAeonは、「1stソロアルバムが精巧で身近に聞けそうにないサウンドを作ることに重点を置いたとすれば、今回のアルバムは楽曲のメロディーと歌詞に重点を置き、その周りに他のものを配置した」とし、「相対的に気軽に聞いてほしいという願いもあった」と説明した。
さらに「(以前は)“建築資材”として既製品を使うことをためらっていた。サウンドも一つ一つ全て作らないと気が済まなくなり、他の人が使いそうな音はわざと避けていた。コード進行もできれば人が想像できないものをもっとやってみようと思っていた。今回は“レディメイド(既製品)”的な感じが出るサウンドを積極的に使った。僕たちが様々な音楽で聞いたことがあるような聞き慣れた音や典型的な音を多く使用した」と付け加えた。
新しい音を執拗に追い求めた彼は、精神的な苦痛も味わった。
しかしその経験を重ね、自分を縛り付けていた制約から脱することになった。
彼は2019年にパニック害を経験し、9か月ほど音楽を休んだ。
懐疑心に苦しみながら、音楽ではない別の仕事を探すべきか悩んだという。
しかし“音楽をやらなくては耐えられない時”が訪れた。
知人を通じて依頼された、普段のやり方とは全く異なる作業が“新鮮な刺激”になった。
「以前やっていた気難しくて厳しいやり方ではないが、こんなふうに楽しく音楽を作ることもできるのだと思った。その時から作り始めた音楽が今の2ndアルバムに入っている」と明かした。
彼は「そうやって作業を始めてからは、作業が本当にうまくいっている。自由で楽だ」とし、「音楽の本質にもっと集中するようになったという感じ」と述べた。
その本質は何かと尋ねると、明瞭な定義を出した。
eAeonは「あれこれ長々と説明しなくても、聞いて心地いいのが音楽だと思う。ありふれていない新しさも、もちろんそれなりの価値があるが、それがすなわち“音楽の本質”ではないのではという思いになった」と述べた。
つらい時間を過ごす間、彼の頭から離れなかった話題は“人間の魂”の弱さだった。
"か弱い、軟弱な”という意味の“Fragile”を迷わず曲名にした理由でもある。
彼は「今回のアルバムのテーマはこれでなければいけないと思った」とし、「傷ついた心や弱さに気づいてしまった自分、それと共にこれから生きていかなければならないのが人生だ、という話をしたかった」と述べた。
1曲目でありタイトル曲の「Don't」は、BTSのRMが参加したことでも話題になった。
ワールドワイドiTunesソング・チャートや、iTunesのMVチャートで1位になるなど、世界から好評を得ている。
RMのミックステープ『mono.』の「badbye」にeAeonがフィーチャリングするなど、親交を深めてきた2人のボーカルはこの曲でも印象的な調和を織りなす。
RMのパートの歌詞やメロディー、ハミングへと続くアウトロのメロディーもRMが直接作業した。
eAeonは「この曲は楽器演奏がミニマル」だとし、「ずっと繰り返されると単調になる部分もあったが、RMさんが助けてくれたおかげで、多彩なカラーで退屈せず、楽曲の変化をリードする重要な要素になった」と伝えた。
彼はこの曲が一番好きで、「アルバムを聞いた時、最初に聞き始めて欲しい曲でもあった」と述べた。
さらに「RMさんが完成した曲を聞いてとても喜んでくれた。“これ以上満足できないほど良い”、“良い音楽をする時が一番幸せだ”と。とても心のこもった言葉をかけてくれて僕も嬉しかった」と振り返った。
現在ヒップホップやR&Bシーンで注目を集めているミュージシャンたちも参加し目を引く。
「Null」にはJclef、「Mad Tea Party」にはSwervyがフィーチャリングし、eAeonのボーカルと新鮮なエネルギーを作り出す。
eAeonはSwervyのフィーチャリングについて、「ラップが難しいビートだったのでお願いするのは失礼ではないかと思ったが、Swervyさんに対する全面的な信頼があった」とし、「前後に揺れ続けるビートでも曲芸のようにクールなラップをしてくださった」と述べた。
また「Null」を書いていて、フィーチャリングのパートを入れることができたらと思った時、Jclefが真っ先に思い浮かび、連絡したという。
彼は「フィーチャリングのパートを聞いた時、“どうしたらこんなにステキに仕上がるのか?”と思った」と語った。
今回のアルバムでさらに自由な領域に到達した彼は、「当分の間は今と同じような方法で、引き続き自由に作業をしてみたいと思っている。今までやっていなかった、より大衆的な感じの楽曲も歌ってみたい」と伝えた。
アルバムの雰囲気は10曲目の「Let's Get Lost」、そして最後の11曲目の「Evermore」に向かって徐々に明るくなる。
2曲を貫くキーワードは“私たち”。「弱さを持って生きているが、周りの人たちの助けを借り、励ましや心を分かち合う“連帯”のようなものによって、僕たちの人生が持続できると思った」と明かす。
共感を得るため、今回のアルバムの楽曲の歌詞はできるだけ自らが手掛けるようにしたという彼は、「これらの曲が、心が弱くなったり、揺れたり、壊れたりする多くの瞬間の共感と励ましになれば」と力説した。
