チャン・ヒョク、「映画『江陵』はノワールな中にわびしさを表現した作品。ユ・オソンさんとの信頼は深かった」

2021年11月09日

「ノワールという人々の表面的な行動の裏側の、人間的な心理が色濃く表れた映画だと思う。『江陵(カンヌン、原題:강릉)』は寂しさやわびしさに対する物語なのではないだろうか」
今月10日に韓国で公開される映画『江陵』の主演俳優チャン・ヒョクはインタビューを通じて、映画をこのように紹介した。『江陵』は地方都市江陵最大のリゾート建設の所有権をめぐり、江陵の組織暴力団員キルソク(ユ・オソン)とソウルから来た債権取り立て業者の社長ミンソク(チャン・ヒョク)が対立することによって繰り広げられる物語。
ミンソクは言葉より太刀遣いに長けた、猪突猛進タイプの男。自分が進む道を邪魔する人はとりあえず殺す。しかし、チャン・ヒョクは、こんなあくどいキャラクターに「憐れみを感じた」と述べた。
その理由を知るためには映画の導入部を注意深く見なければならない。2007年、群山(クンサン)の沖合に漂流した船の地下からミンソクが発見されるシーン。血の気がまったくない彼の手にはナイフが握られていて、隣には一体の死体がある。
チャン・ヒョクは「過去の話が、映画にあまり登場しない。ミンソクは、彼の乗った船が難破し、ある理由で友人を殺めるしかない状況に陥るが、その罪悪感に苦しむ人物」だと説明した。
さらに「ミンソクは、野心や野望のためにそのような荒々しい行動をするのではない。トラウマが深く残っているため、まだ船の中に閉じ込められている人。こうして前に進んでいかなければ生きられない人なのではないかと思った」とも明かした。
一方、ユ・オソンが演じたキルソクは組織暴力団にしてはやや純朴でロマンを追い求める人物。江陵の平和を重視し、“家族”同士の連帯や義理を守る。その上ナイフを一度も握ったことがない。しかしミンソクの襲撃が起爆剤となり、だんだんミンソクに似ていく。しまいには破局へと突っ走る。
チャン・ヒョクは「キルソクは組織内に根を下ろしている人物」だとし、「ミンソクはその根を突き刺しながら周りを回る衛星のような人物」だと紹介した。
さらに「そんな状況を観察しながら演じるのが興味深かった。オソンさんとは数年前にドラマ『客主~商売の神~』で共演したので、信頼が非常に深かった。他の俳優の方々もそれぞれ個性が皆違うので、よく調和したのではないかと思う」と付け加えた。
アクション演技で独自の領域を構築してきたチャン・ヒョク。今回の映画では組織暴力団が用いる、いわゆる“刺身包丁”を持って、もみ合いを繰り広げる。映画の後半部ではナイフ1本で15人を制圧したりもする。
彼は「長剣でも短剣でも基本的な技術は似ているので、難しい点はなかった」としながら、「ただ、“ナイフを持つキャラクター”の中でも、どのような差別化を図れば、それぞれの個性を見せることができるのかと悩んだ」と述べた。
チャン・ヒョクはこれまで『純粋の時代』や『依頼人』などで悪役をこなしてきた。しかし、ソシオパス的な姿が多く見られるミンソクは、前作で演じていたキャラクターと比べても“トップクラスの悪役”だった。キャスティングのオファーに二の足を踏んでもおかしくなかったが、チャン・ヒョクは「そんなキャラクターがむしろ魅力的」だと述べた。
彼は「俳優は多様な色彩感を持っていなければならない。あえて毎回悪役をしているのではないが、アクションやメロなどさまざまなジャンルをすべてやってみなければならないと思っている。時々『今まで演じたキャラクターの中で一番思い浮かぶキャラクターは何か?』という質問を受けたりもするが、僕はすべて、記憶に残っている」とも明かした。
俳優でなければ、何をして生きてきたのか想像すらしたことがないという彼。一方で、俳優として生きることがまだ怖いともいう。自分だけのジャンルを開拓し、次の作品にキャスティングされる一連の過程を経ることが非常に怖いと彼は述べた。
しかし彼は24年間、ジャンル、映画、ドラマを問わず、着実に作品活動を行った。チャン・ヒョクはその原動力を“連帯感”だと強調した。
そして「台本のリーディングをする時、運動選手や将帥が出場する前にじりじりしながら待っている、そんな感じがする。同僚たちと現場で合わせていく呼吸や連帯、臨場感が僕を現場に連れて行ってくれる」と付け加えた。

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