女優チョ・ウンジ長編演出デビュー映画『ジャンルだけロマンス』、絡まる“関係”の中でもがく人々の物語

2021年11月10日

笑い、切なさ、心寂しさが適度な励ましとなる。女優チョ・ウンジの長編演出デビュー作映画『ジャンルだけロマンス(原題:장르만 로맨스)』はロマンティックコメディの中にも、“関係”によって悩む繊細で善良な視線が盛り込まれた。
親しみは湧くが、どこか物足りないような魅力的な人物たちが複雑に絡まった関係の中でしきりにもがくなか、お互い傷つきながら少しずつ成長し、また傷を抱える過程で行き過ぎない笑いとペーソスを作る。
デビュー7年目を迎えるが、スランプに陥っているベストセラー作家であり、大学で文学を教えるヒョン(リュ・スンリョン)は何をやってもうまくいかない。
後輩はいつの間にかブッカー賞の候補として注目されている一方で、自分は出版社の締め切り日が近づいても原稿が真っ白という状況。親しい友人であり猛烈に急かしてくる出版社の代表スンモ(キム・ヒウォン)の小言も避けられない。
留学に行っている娘と現妻、高校3年生の息子と前妻の両方に養育費をどんどん持っていかれ、一人残されたマンションにあるのは、原稿が書けなかった間に飲んだ酒の瓶やがらくた、ほこりだけ。
一足遅れてひどい思春期を迎えた息子のソンギョン(ソン・ユビン)のために、前妻のミエ(オ・ナラ)と頻繁に会っていたところ、束の間の“過ち”を犯しそうになる。その現場をソンギョンに目撃されてしまい、ヒョンとソンギョンの関係改善はさらに遠のいてしまった。
自分の過ちにより、長年の友人との関係はこじれてしまうが、その場で知り合った大学生のユジン(ム・ジンソン)が作品を見てほしいといきなりアプローチしてくる。その上、受け入れられない告白までしてきた彼女は、ヒョンの講義室居座り熱い視線を送る。これにはヒョンも逃げ腰に。
しかし、莫大な違約金と養育費の支払いで崖っぷちに追い込まれたヒョンは、仕方なくユジンの作品を手にするが、彼女の作品は、眠っていたヒョンの感覚を目覚めさせた。ヒョンは、しっかりと一線を引きながら、ユジンに共同執筆を提案する。
ヒョンに隠れて付き合っているスンモとミエが出張という名の休暇に出たすきに、ソンギョンはたびたび顔尾を合わせていた“近所のおばさん”ジョンウォン(イ・ユヨン)と付き合うことに。
関係はこじれているが、基本的に善良でどこか足りない人々がお互いを思いやり、誤解し、傷をつけ合う平凡な人物のため、どのキャラクターにも感情移入できそうだ。
こじれにこじれた関係の真ん中で周りにあたり散らかすヒョンは、がさつで切なく、憎めない。涙も情も深いが愛嬌と嫉妬まで兼ね備えた純情な男スンモは思わず応援したくなる。
前夫には怒りを隠さないくせに、現恋人の過度な几帳面さは十分に理解してあげるミエや、本心を隠さず逃げない勇気で前に進むユジンはしっかりと輝く。
時代劇やジャンル物で活躍してきたリュ・スンリョンは力を抜いて挑戦した日常の演技が難しかったと述べたが、複雑に絡み合った関係の中心となり、それぞれ俳優と相性ぴったりのタッグを披露した。
映画『ジャンルだけロマンス』は17日に韓国で公開され、年齢制限は15歳以上観覧可。

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