俳優ソル・ギョング、「キム・デジュン元大統領がモチーフのキャラクターはプレッシャーだった」

2022年01月21日

「正直、避けたかったキャラクターだった。あまりにもよく知られた近現代史の人物ではないか。もともとは役名も“キム・デジュン”だったが、ピョン・ソンヒョン監督にせがんで、“キム・ウンボム”に変更することになった」
今月26日に韓国で公開される映画『キングメーカー (原題:킹메이커)』で政治家キム・ウンボムを演じた俳優ソル・ギョングは、リモートインタビューで「キム・デジュンという名前から来る重みは相当だった」とこのように述べた。
『キングメーカー』は1960年から1970年代の大韓民国の政界と選挙を素材にした映画で、世の中を変えるために絶え間なく挑戦するキム・ウンボムと彼を後ろから助ける選挙戦略家ソ・チャンデ (イ・シンギュン)の話を描いた。
キム・ウンボムはキム・デジュン (金大中)元大統領がモチーフの人物。フィクションを加味してはいるが、キム元大統領の選挙への挑戦の模様をほぼそのまま置き換えた。
しかしソル・ギョングはキム元大統領の生前の姿をそのまま踏襲せず、自身が解釈したキャラクターを演じようと努力したと強調。
彼は「キャラクターの名前が変わり少し薄れることになったが、しきりに実存の人物が連想されるだろう。しかしその方を模写するやり方でアプローチはしなかった。真似したが生半可だったと作品のキャラクターから外れてしまう可能性もあるので。僕のやり方でやり、実際に重なる姿があれば、その中間あたりで妥協した」という。
ソル・ギョングが見つめたキム・ウンボムは気さくでありながらもリーダーシップとカリスマがあふれる人物。名分を重視する、竹を割ったような人物だが、必要な時は“デマの鬼才”ソ・チャンデを少しずつ利用する。
ソル・ギョングは「彼も人間」だとし、「人間キム・ウンボムに焦点を合わせて演技しようとした」と述べた。
しかし役柄そのものが政治家なため、一部の場面では政治家特有の雰囲気を漂わせ、言葉遣いも演技しなければならなかった。特に数十万人が集まった人波の前で演説するシーンが一番難しかったという。
ソル・ギョングは「演説では扇動的で訴える力がなくてはならないし、声を張り上げなければならない。実は演説のシーンがあれば撮影する1、2か月前からストレスを受けた。しかも練習する場所も特にないので、心の中だけでやって、現場で実際に撮影しながらトーンを調節した」と明かした。
ソル・ギョングがこのように名前だけでもプレッシャーを感じ、演じるのも容易でない役を引き受けることになった理由は何だろうか。
彼はこの作品のシナリオをピョン監督の別の作品である『名もなき野良犬の輪舞』(2016)のシナリオとともに受け入れたという。当時、キム元大統領役をぜひ引き受けてほしいというピョン監督の言葉に、「まず『名もなき野良犬の輪舞』を撮ってから話そう」と言ったソル・ギョングはいつの間にか『キングメーカー』への出演が既成事実となっていたと振り返った。
『名もなき野良犬の輪舞』の撮影過程でピョン監督に対する信頼が築かれたためだ。当時、この映画は大きくヒットはしなかったが、類例のないファンダムが形成され話題となった。
ソル・ギョングはピョン監督について、「どうやってこんな素材を映画として作るのかという疑問を抱かせる監督」だと述べた。
さらに「ピョン監督に僕の年代の役柄は文句なしに僕にくれなければと脅迫までした(笑)。ピョン監督が僕を捨てない限り、これからも新鮮な話でお目にかかれそうだ」と付け加えた。
大学4年の時に演劇舞台を皮切りに、役者の道に入ったソル・ギョングは、来年にはいつの間にかデビュー30周年になる。これまで『ペパーミント・キャンディー 』、『公共の敵』、『シルミド』、『オアシス』、『TSUNAMI -ツナミ-』、『ソウォン/願い』、『茲山魚譜 チャサンオボ』など大規模な映画に出演し、各種映画祭で演技賞を受賞。映画界を代表する俳優として定着した。
彼は自身を「恵まれた人」だとしながら、このポジションに上り詰めるまで彼を助けた“数多くのキングメーカーたち”にも感謝を表した。
そして「いつの間にか撮影現場にいるのが人生になってしまい、その中に喜怒哀楽がすべてある。何かうまくいった時は子どものように喜ぶが、解決しない時は崖の前にいる絶望感にさいなまれる時もある。しかし演技をする時だけは30年経った今も相変わらず幸せ」だと明かした。

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