ドキュメンタリー映画で“異例の記録”のイ・チュンニョル監督、『セミの声』でカムバック

2022年02月08日

年老いた牛と農夫の物語を盛り込んだ映画『牛の鈴音』で、2009年に293万人の累積観客を動員し、ドキュメンタリー史上類を見ない記録したイ・チュンニョル監督が13年ぶりに劇映画『セミの声(原題:매미소리)』で帰ってきた。
全羅南道(チョルラナムド)珍島(チンド)地域の国家無形文化財「珍島(チンド)の多侍乐(タシレギ)」(葬式で喪主を慰め一緒に夜を明かす遊び)を素材にした映画は、2020年の釜山国際映画祭で公開された後、2年ぶりに劇場で公開されることになった。
イ監督は7日の試写会後に開かれた懇談会で、「10年以上、力を入れてきたにも関わらず、不十分で残念な気持ちもある」としながらも、「文芸映画と決めて作った。このようなジャンルの映画もたまにご覧になるにもいいのではと思う」と感想を明らかにした。
イ監督は『牛の鈴音』以後に脳腫瘍と診断され、『セミの声』の制作を一度白紙に戻したことがある。彼は「すぐに公開すべきだったが、紆余曲折があったためそれができなく、今年になってやっと公開することになった」と言及した。
映画は喪中の家を訪れる多侍乐屋の父(イ・ヤンヒ)とセミの声に対するトラウマで自殺中毒になった娘(チュ・ボビ)が20年ぶりに再会し、お互いの深い傷を癒す物語。
イ監督は「ドキュメンタリーの監督として知られているため、次の映画が『セミの声』だというと“また別のドキュメンタリーか”と言われた」とし、「個人的な家族史もあり、家族間の傷に対する話を表現してみたくて劇映画を試みた」と述べた。
家族の話を盛り込んだシナリオを構成する中で、珍島の葬式文化を扱ったドキュメンタリーを作り、そこで初めて接した多侍乐を素材にした。
1980年代半ばから後半のドキュメンタリー作業当時、霊を慰めるお祓いをしていたソン・スンダン名人に初めて出会った。それが縁となり、ソン名人の娘で歌手のソン・ガインの特別出演が決まった。
懇談会に出席したソン・ガインは「珍島にはこれまでドキュメンタリーの撮影しか来なかった。映画の撮影をしに来るというので、とてもうれしかった」とし、「監督の前作『牛の鈴音』を感銘深く拝見し、珍島の広報大使として出演をしない理由がなかった」と述べた。
ソン・ガインは「珍島で育ちながら幼い頃から多侍乐をたくさん見てきた。大学の時は先生たちを迎えて多侍乐を学び、直々に公演をしたこともある」とし、「『セミの声』こそ、韓国の演戯劇(歌と踊りを組み合わせて観客とコミュニケーションをとる劇)」だと紹介したりもした。
ソン・ガインは「演技をしてみたことがなくて、とてもぎこちなく短いセリフも覚えられなかった。これから演技はできそうにないので、歌だけ一生懸命やりたい」と述べたが、イ監督は「2テイクだけで終わり、編集もされなかった。演技に挑戦してもよさそうだ」と称賛した。
『セミの声』は韓国で2月24日に公開される。上映時間は123分で年齢制限は15歳以上観覧可だ。

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