映画『カシオペア』のシン・ヨンシク監督、「誰かが存在しているだけで影響を受け、生きている」

2022年05月26日

30代という若い年齢でアルツハイマーの診断を受けた娘とその父親を描いた映画『カシオペア (原題:카시오페아)』は、シン・ヨンシク監督の前作とは全く異なる。
作家志望の男が突然、伝説的な小説家となり繰り広げられる映画『ロシアン小説 (原題:러시안 소설)』(2013)、韓国教会の姿を盛り込んだ『ローマ書8:37 (原題:로마서 8:37)』(2016)のような映画より普遍性を帯びているからだ。
シン監督は25日に行われたオンラインでのインタビューで「商業映画という区分を作って始めたわけではない」としながらも「私が独立映画で作った作品よりも、はるかに共感を呼んでいるようだ」と話した。
「The Beatlesの歌に例えるなら、“Yesterday”や “Norwegian Wood”のように、短くて簡潔な作品だ。単純な構造の中で様々な年齢層の物語が感じられる映画を作りたかった。飾りは、できるだけ取り除こうとした」
『カシオペア』は、有能な弁護士であり厳格な母親である“スジン” (ソ・ヒョンジン)が、若年性のアルツハイマーにかかることによって経験する人生の変化と、彼女を取り巻く家族の話を描いた作品だ。
スジンが幼い頃、外国で働いていたため、そばにいてやれなかった父親の“イヌ” (アン・ソンギ)は、だんだん子どものように変わっていく娘をそばで見守り、自立できるよう助ける。
シン監督は「アルツハイマーを素材にした作品なので、実際に患っている方々やその家族の方々が傷ついてしまう描写やシーンがあるのではと、気を使いながら作った」とし「この映画が、彼らにとって慰めになればと思う」という願いを語った。
作品演出においては「リバース育児」に最大の焦点を当てたと説明した。一般的な子育ては、子どもがどんどん成長していく過程を両親がそばで見守るものだが、この映画は成長ではなくその逆を行く。
また、そんな“育児”をイヌとスジンの関係だけに限定しなかったとした。
「この映画にはイヌ、スジン、“ジナ” (チュ・イェリム)の3世代が登場するが、実はイヌの母親まで4世代にわたる話。“人生のどんな瞬間も、誰かが私の借りを返し、私も誰かの借りを返している”というイヌの言葉は、(イヌ)の母親の言葉だ。4世代にわたる育児の中に、様々な形の人生が込められている」
映画『フェアラブ』(2010)以来、アン・ソンギと10年ぶりに再会したシン監督は、今作の構想段階からアン・ソンギの主演を念頭に置き、シナリオを執筆したと明かした。
彼はアン・ソンギについて「(ギタリストの) ジミー・ペイジ (Jimmy Page)のようにとても正確・明瞭で、コツンと落ちるような音を出す俳優」と絶賛し、「今作では、とてもリラックスして、自由に演技されていたという印象を受けた」と振り返った。
ソ・ヒョンジンについても「本当に演技が上手で、一生懸命やる女優だと思ってはいたが、想像以上に立派で素敵な女優だった」と述べた。
シン監督は、「今回の作品を通して、“人間関係はお互いに何かを与えたり、与えられたりするからバランスが取れているのではない。誰かが存在しているというだけで影響を受け、生きているのだ”というメッセージを伝えたかった」とした。
「100%意図したとおりにできたので満足している。観客の方々とコミュニケーションが取れるような作品になればうれしい」

前の記事 エンタメ情報一覧へ 次の記事