映画『クリスマスキャロル』、暴力と復讐で投げかける弱者のための質問

2022年11月30日

『クリスマスキャロル(原題:크리스마스 캐럴)』は、双子の弟“ウォル”がクリスマスの朝、変死体で発見され、その復讐のために兄“イル”(GOTのジニョンが1人2役)が自ら少年院に入り、巻き起こる事件を描いた。
迫力あるアクションとスカっとした復讐劇が繰り広げられると考えるかもしれないが、映画が終わるまで正体の分からない心理的な心地悪さを体験することになる作品だ。
ウォルとの最後の電話で、暴行される音を聞いたイルは、コンビニの防犯カメラの映像などを手がかりに、“ムン・ジャフン”(ソン・ゴンヒ)とその不良仲間が犯人だと推測し、彼らがいる少年院に入る。
しかし復讐は、簡単ではなかった。
ムン・ジャフンは少年院でも仲間を従えている。
イルは入所直後、彼らと衝突。普段から収容者たちに無慈悲な暴力をふるっている矯正講師“ハン・ヒサン”(ホ・ドンウォン)につかまってしまう。
同じ少年院にいるウォルの友だち“ソンファン”(キム・ドンヒ)は、ムン・ジャフンの仲間にいじめられる中で、イルにウォルの死にまつわる隠された話を吐き出す。
弟が生きていた時、よく手土産持って来ていた相談教師“チョ・スヌ”(キム・ヨンミン)に、「お前は今、普通ではない」と言われ、復讐に燃えるイルは思いとどまる。
身の危険を感じたムン・ジャフンは、カネのためなら何でもする元ヤクザの収容者を利用し、イルを殺害する計画を企てる。しかし、イルは復讐を諦めない。
尋常でない空気を察知したチョ・スヌは、「生きてこそ復讐ができる。お前が死んだら、なんの意味があるのか」とイルを説得し、葛藤の末、協力することを選択する。
イルは監視が緩む“最後の40分”を利用した復讐を計画し、ムン・ジャフンと風呂場で最後の対決を繰り広げる。
映画を貫く心地悪さの正体は、キム・ソンス監督の説明で明確になる。
29日にソウルで開かれた試写会直後、取材陣と会ったキム監督は「カッコいいアクションを撮ろうとしたのではなく、ありのままの暴力」を見せようとしたとしながら、「痛快なことを意図したのではなく、不快な感情を与えることが目的だった」と述べた。
映画では、強者が弱者に一方的にふるう暴力が頻繁に登場し、時には性的虐待のシーンも登場したりする。
キム監督は「復讐劇では、いつも被害者が疎外される」とし「この映画でも、イルは殴り倒す力があるので復讐に乗り出すが、力のない“ソンファン”やウォルは、そうはいかない」と述べ、あまりにも弱者に不公平な現実を指摘した。
劇中、チョ・スンウに復讐を止められるイルが「なぜ、やられたヤツが許さなければならないのか」と投げかけるシーンを思い出させる説明だ。
キム監督は、チュ・ウォンギュ作家の原作小説「クリスマスキャロル」を読んだ時、イルとウォルに代弁される人々の顔が思い浮かんだとし、「復讐する力さえない人は、どうやって救われるのかを真剣に語る作品を作ろうと努力した」と付け加えた。
アクションスリラーというにはストーリー展開が遅いという感じがするかもしれないが、弱者を見る温かな視線と意外な結末が映画を引き立てる。
ジニョンが、完全に異なる性格のイルとウォルを1人でどのようにこなすのか観賞する面白みもある。『クリスマスキャロル』は、12月7日に韓国で公開される。上映時間は130分で、青少年は観覧不可だ。

前の記事 エンタメ情報一覧へ 次の記事