映画『Jung_E』のヨン・サンホ監督、「カン・スヨンさんの話のようだ」

2023年01月19日

「映画が完成してみると、この話がまるでカン・スヨンさん本人の物語のように感じた。『Jung_E』は、私のフィルモグラフィを埋める一つの作品ではなく、特別な運命のような映画になった」
Netflixのオリジナル映画『Jung_E』のヨン・サンホ監督は、主演俳優の故カン・スヨンさんについてこのように語り、切なさを露わにした。
今月20日に公開を控えた『Jung_E』は、22世紀の未来を舞台に、最高の戦闘人工知能(AI)を開発しようとする人々の死闘を描く。AI開発プロジェクトチーム長“ユン・ソヒョン”を演じたカン・スヨンさんは、この作品で10年ぶりに映画復帰。しかし昨年5月、突然この世を去り、『Jung_E』は彼女の遺作となった。
18日、ソウル・鍾路(チョンノ)区の八判(パルパン)洞のカフェで会ったヨン監督は、「後半の作業をしながらカン・スヨンさんがこの映画を選んだ理由や、私はなぜカン・スヨンという俳優を思い浮かべ、この映画を撮りたいと思ったのかについての理由をたくさん感じた」と振り返った。
「カン・スヨンさんが、アフレコをしに来た時が最後だった。『Jung_E』は、セットがとてもカッコよくて(他の作品とは違い)撮影中にメイキングインタビューも行った。この作品を完成させるための全てのことをやり遂げてからお亡くなりになったというのが、普段から迷惑を掛けることを嫌がる性格が反映されている感じがして、不思議だった」 劇中、ソヒョンがロボット“Jung_E”に吐き捨てる「自由に生きな」というセリフも、偶然だと感じたと話した。
「カン・スヨンさんが、“4歳の時にデビューしたから、自分には平凡な幼少期がなかったのが悔しい”とよく言っていたことを思い出した。カン・スヨンさんが自分自身に言っている言葉のような感じもしたし、残された女性たちに言っている言葉のような感じもした」
現場でのカン・スヨンさんについては、「他の俳優にとっては頼れる先輩だったし、映画を担う俳優としてしっかり演技してくれた」、「振り返ってみると、ご自身が経験してきた現場とは違うタイプの現場だったため、慣れない点が多かったはずなのに、そんな素振りも出さず、大人として現場をうまく支えてくれた」と話した。
「現場が大好きな俳優だった。こんなに現場が好きな俳優が、なぜこれまでこのような作業をしていなかったのか不思議に思うほどだった。韓国であまり試されていないSF作品だったので、多くのチャレンジが必要だったが、個人的にはカン・スヨンさんが後輩(ヨン監督のこと)の挑戦を、最後に手伝ってくれたのではと思っている」
『Jung_E』は、韓国映画ではあまり見かけないサイバーパンク(人間が機械に従属したり、特定の人物によって世界が支配されたりする未来世界を描いたSFジャンル)だ。しかし、SFという外皮を取り払い、娘のために犠牲になる母親と、そのような母親に罪悪感を抱く娘の関係が描かれている。
ヨン監督は、「韓国には珍しいSFというジャンルを受け入れやすくするためには、普遍的なテーマが必要だと考えた」と説明した。
「映画を初めて企画した時から、しばしば私たちが“新派”と呼ぶ韓国の古典的なメロとSFが結合したら面白いのではと思っていた。だから、カン・スヨンさんの演技は、映画を作る強い動力になった。カン・スヨンさんのクラシカルで優雅なトーンの演技は、 私の考える“古典的なメロ”と相乗効果を生み出した」
『Jung_E』で伝説の傭兵(ようへい)“ジョンイ”役を担い、演技変身を試みたキム・ヒョンジュについては「母親であり戦士という二面性を同時に表現できる俳優を見つけた。キム・ヒョンジュさんの姿を見て確信がわいた」、「最も信頼できる俳優だ」と称賛した。
ヨン監督は最近、ドラマ「地獄が呼んでいる」や「怪異(原題:괴이)」、映画『呪呪呪/死者をあやつるもの』や、『プリンセスアヤ(原題:프린세스 아야)』 に続いて『Jung_E』まで手掛け、監督、脚本家、プロデューサーとして休まず活動している。
彼は「公開時期が重なっているので、一気に作業しているように見えるかもしれない」、「周りの人とコミュニケーションを取りながら作業し、(創作物を)作っていくことに対する楽しさを感じている」と話した。
「観客と完璧に呼吸するというのは、アーティストとしては祝福に近いことだと思う。いつもそんな才能がほしいと思うが、私にはないようだ。幸いにも、これまでギリギリでやってきた(笑)。それ以上の何かを欲しがるなら、それは欲だと思うし、このくらいに感謝して作業している」

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