一人世帯からステップファミリーまで、異色の家族映画3本を紹介
2023年05月11日

※この記事は、映画のネタバレを含みます。
韓国で最も多い世帯は、一人世帯だということをご存じだろうか?昨年の統計庁の発表によると、一人世帯は、全体の31. 2%を占めている。2050年になると、1~2人世帯の割合は75%以上となり、夫婦や子どもなどの4人世帯の割合は、一桁にまで落ちるというのが統計庁の計算だ。
既に2年前、政府は「典型的な家族として考えてきた“夫婦+未婚の子ども”の形態が、大幅に減少している」と認めた。家族ではなく友達や恋人と暮らす非親族世帯員は同年、100万人を超えた。このように伝統的な家族像は昔話となり、新しい世帯の形が増えながら最近、国会では生活同伴者法案が発議されたりもした。子どもの日、母の日など記念日が多く、「家庭の月」とされる5月。今日は様々な家族の姿を盛り込んだ映画3本を紹介しようと思う。
■死別した夫の息子が現れた… 『あなたの頼み』(2017)
2年前に事故で夫を失った“ヒョジン” (イム・スジョン)は、小さな個人塾を経営しながら一人暮らす中、死んだ夫と前妻の間に生まれた子ども“ジョンウク” (ユン・チャンヨン)を引き取ることになる。ヒョジンに出会う前に生まれた子だったため、今まで夫の実家で育てられていたが、義母が突然、認知症になってしまう。実母も友人も、32歳のヒョジンが中学生の男の子を育てるのは無理だと反対するが、頑固で意志の固いヒョジンはジョンウクに部屋を与え、ぎこちない同居生活を始める。
接点などないように見えるが、映画の穏やかな流れをたどると、2人がとても似ていることが分かる。2人とも、そばにいない人の愛情を恋しがる。衝動的なヒョジンの決断の根底には、夫に対する恋しさがある。ジョンウクが、亡き夫とつなげてくれる存在になるのではと考えたのだ。人見知りするジョンウクにも会いたい人がいる。ヒョジンは、それがジョンウクの実母だろうと考えるが、映画では小さなどんでん返しがある。
英語のタイトルが『Mothers』であるだけに、映画には様々な母親が登場する。ヒョジンの友人とジョンウクの友人が子どもを産んで母となり、ヒョジンとジョンウクの母親も存在感を放つ。彼らが見せる母性はそれぞれ違うが、映画は彼らのうち一人だけが正解だと主張するのではなく、淡々としたトーンで観客たちに考える時間を与える。
■ステップファミリーを描いた作品、『家族の誕生』(2006)
「優しいのは悪いことなの?」という希代の名セリフで彼氏の“ギョンソク” (ポン・テギュ)を黙らせた “チェヒョン” (チョン・ユミ)は、利他主義者だ。恋人としてチェヒョンの優しさを独り占めしたいギョンソクは、誰にでも優しいチェヒョンが不満だが、チェヒョンの実家を訪ね、彼女の性格にはそれなりの理由があったことを知る。
チェヒョンには父親がおらず、母親が2人いる。コ・ドゥシムとムン・ソリが演じる“ムシン”と“ミラ”だ。3人はこの上なくお互いを思いやるが、初めて会った時は、ぎこちない関係だった。ミラの弟“ヒョンチョル” (オム・テウン)がある日、結婚したと言って連れてきた女性が“ムシン”だ。キャスティングだけ見ても分かるように、2人は夫婦ではなく親子に見える。ただでさえミラは、倍ほどの年齢差がある義妹が気に入らないのに、ムシンの「元夫の元妻の娘」である“チェヒョン”が訪ねてきて、家庭は混乱する。
幼いチェヒョンと大人になったチェヒョン、そしてチェヒョンの恋人ギョンソクの子ども時代の家族史まで、3つのエピソードが集まった『家族の誕生』は、伝統的な家族の概念を越え、お互いを思いやりながら生きていく幸せな人々を見せる。 「こんな家族もあるんだ」という驚きではなく、決まって私たちが「家族映画」に求める優しさや温かさがある。
「婚姻関係や血縁関係がなくても、生活を共にすれば家族だと言える」
2020年の政府調査で、回答者の70%がこの文章に同意した。しかし、これより14年前に公開された『家族の誕生』は、伝統的家族観念が強かった韓国社会に、このような話題を真正面から投げかけた。今では、関連テーマが言及されるたびに話題にのぼる、いわゆる「ステップファミリー」映画の典型となった。
2020年の政府調査で、回答者の70%がこの文章に同意した。しかし、これより14年前に公開された『家族の誕生』は、伝統的家族観念が強かった韓国社会に、このような話題を真正面から投げかけた。今では、関連テーマが言及されるたびに話題にのぼる、いわゆる「ステップファミリー」映画の典型となった。
■時代の肖像、『おひとりさま族』(2021)
カード会社のコールセンターで働く“ジナ” (コン・スンヨン)は、一人が楽だ。食事、睡眠、労働、全てのことにおいて。母親は最近亡くなり、父親とは不仲だ。世の万事は、まったく同じだと思っており、他人のことに興味がない。電話の向こう側から浴びせられる顧客の暴言に無心でいられるのも、他人に関心がないからだ。
ところで“ジナ”は少し変わっている。孤独死した隣の男の幽霊を見たり、亡くなった母親からメールをもらったりする。両親の家のリビングに設置したホームカメラで、父親の生活をのぞき見ると、母親は殺されたのではないかという気がしてくる。
独立映画『おひとりさま族』は、若い作家が書いた短編小説集のような作品だ。殺伐とした時代風景を反映した様々なアイデアが込められている。一人世帯の若者が経験する不安と孤独を扱った新鋭監督の試みは、2020年代の韓国社会の一断面を盛り込んでいるという点が目を引く。
