キム・ジウン監督の『クモの巣』、カンヌで上映…7分間のスタンディングオベーション

2023年05月29日

「キム・ジウン!キム・ジウン!パチパチパチ!パチパチパチ!」
26日(現地時間)午前1時頃、「第76回カンヌ国際映画祭」の非コンペティション部門進出作『クモの巣(原題:거미집)』の上映が終わると、2000席規模のリュミエール大劇場は拍手の音でいっぱいになった。
映画の上映後に始まった拍手は、エンディングクレジットが流れ始めたら落ち着くかと思いきや、場内が明るくなると観客たちは一斉に立ち上がり、再び大きな拍手や歓呼を送った。
スクリーンにキム・ジウン監督や主演俳優のなどの顔が映ると、劇場の中がわんわんと響くほどに大きな拍手が沸き起こった。
誰かがキム監督の名前を連呼すると、観客たちは拍子に合わせて“パチパチパチ”と相次いで手を叩いた。
観客に手を振りながら一緒に拍手をしていたキム監督は、感激したかのように目頭を赤くした。彼がカンヌ映画祭に招待されたのは、2008年の『グッド・バッド・ウィアード』以来、15年ぶりだ。
スタンディングオベーションは、キム監督がカンヌ映画祭の執行委員長であるティエリー・フレモー監督からマイクを渡されるまで7分以上続いた。
キム監督は「映画を楽しく見ていただき感謝する。カンヌに来るたびに、映画を本当に愛する気持ちを持ってくる」とし、「ソン・ガンホさんなどのすべての俳優やスタッフに、私が今感じている感情を分かち合いたい」と涙ぐみながら述べた。
観客たちは、キム監督と俳優陣が劇場を出るまで、再び力強い拍手を送った。先に席を立つ観客はほとんどいなかった。試写会に招待された日本の巨匠、是枝裕和監督も、キム監督のすぐ後ろで彼に祝福を伝えた。
キム監督の隣にいたソン・ガンホは、ずっとキム監督の肩を撫でて激励していた。
『クモの巣』は、パルムドール受賞作『パラサイト 半地下の家族』(2019)で存在感を放ち、昨年『ベイビー・ブローカー』で男優主演賞をさらったソン・ガンホの次回作という点で、映画ファンたちの関心を一身に受けた。
同日の試写会前のレッドカーペットイベントでも、スポットライトは断然、彼に注がれた。
車から降りてレッドカーペットに向かう彼に、ファンたちのカメラのフラッシュやサインの要請が殺到した。ソン・ガンホは彼らに手を振ってあいさつして応えた。
劇場を埋め尽くした観客たちは、レッドカーペットを踏むソン・ガンホの姿がスクリーンに現れると、口笛と歓声を送った。
映画上映中には、彼のセリフ一言一言に笑いと拍手が出た。
劇中、ソン・ガンホは秀逸な作品で華々しいデビューを飾って以来、評論家から“安い痴情物”しか作れないと酷評される1970年代の映画監督“キム・ギヨル”を演じた。
映画は、ギヨルが数日間ずっと見る夢を見せながら始まる。先日、撮影を終えた『クモの巣』の新しい結末を暗示する内容だ。この夢のように、いくつかのシーンだけ変えれば、ついに傑作になるという考えにとらわれた彼は苦心の末、2日間で映画を撮り直すことを決心する。
しかし制作環境は、彼の情熱に合わせて動いてくれない。維新政権の文化公報部は、太刀打ちできないほど厳しく検閲し、俳優たちは一日にいくつかのセット現場を行き来しながら複数の作品に出演し、スケジュールを合わせるのが容易でない。カメラなどの装備は時間を守って返却しなければならず、思う存分、撮影をすることもできない。制作者は、撮り終わった映画をなぜ撮り直すのかと反対する。
何とかして俳優とスタッフを呼び集めた彼は、セット場のドアを鎖で絞めて撮影に入る。しかし、撮影する間にもトラブルは絶えず生じる。文化公報部の職員が突然、撮影現場に乱入してきたり、変更になった役柄が気に食わない俳優はできないと横になったりする。男女の俳優間のスキャンダルが明るみになったかと思えば、暴行も起きる。ギヨルは、彼が見た夢の通り傑作を完成させられるのだろうか。
劇中、主人公はキム・ギヨルという名前はもちろん、メガネをかけてパイプをくわえている外見まで、故キム・ギヨル監督を思い出させる。奇怪なストーリーと破格的な演出スタイルの劇中劇『クモの巣』も、キム・ギヨル監督作品のオマージュと見られる。
ギヨルは、キム・ジウン監督のペルソナでもある。よい映画を作るというギヨルの情熱あるいは執着は、キム・ジウン監督がずっと感じていた感情だ。すべての荷物を背負ったまま、撮影を終えて寂しく座っているギヨルの姿からも、キム・ジウン監督が重なって見える。
この映画は、キム・ジウン監督が韓国映画を開拓した先輩監督たち、ひいてはすべての映画人に捧げる一種の献辞だ。
映画一本が作られるまでにどれだけ多くの人々の血と汗、涙が流れたのかを『クモの巣』で見せる。今は想像すらできない環境の中でも、映画を作っていた監督たちと俳優たち、スタッフをくまなく照らし、感謝の気持ちを伝える。彼のこんな気持ちは、ソン・ガンホのセリフ一言にそのまま表れている。
「映画は作り続けなければならない」
同日、観客たちが送った歓呼と拍手の意味も同じであろう。

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