おばあさんたちが映画を撮ったら変わった…ドキュメンタリー『小さな庭園』

2023年07月10日

「(腰が)曲がった姿を見られるのが、恥ずかしい…」
今年84歳のおばあさんキム・スクリョンさんが、映像の中の自分を見ながら首を横に振る。
映画『小さな庭園(原題:작은 정원)』は、キムさんのように撮られるのも恥ずかしがっていたおばあさんたちが、堂々と映画の主人公として乗り出す過程を収めたドキュメンタリーだ。
イ・マリオ監督が演出したこの映画は、江原道(カンウォンド)江陵(カンヌン)市溟州(ミョンジュ)洞に住むおばあさん8人が、短編映画1本と長編ドキュメンタリー1本を制作する物語を盛り込んだ。おばあさんたちの集まりの名前である“小さな庭園”をそのまま映画のタイトルにした。
2011年、共に畑仕事をしたことがきっかけで作られたこの集まりは、2016年からは地域の映画人たちも合流し、スマートフォンの写真撮影と映画制作を学ぶ集まりに発展した。
おばあさんたちは、短編映画『わが町の郵便配達人(原題:우리동네 우체부)』と長編ドキュメンタリー『私たちが聞かせる話(原題:우리가 들려줄 이야기)』を制作。映画人たちの指導を受け、おばあさんたちが演出、出演、撮影を行った。『わが町の郵便配達人』は、ソウル老人映画祭で観客賞を受賞したりもした。
映画制作に参加したキム・ヒジャ(77)さんは、自分の変化をこのように表現する。「これまでは、相手の顔色をうかがって、相手中心に生き何でも譲ってきた。違うと思うことがあっても我慢していたが、写真を撮るようになって、明るくなり、表現もたくさんするようになった」
キムさんだけではない。家事を優先にし、夫や子どもの心配ばかりをしながら生きてきたおばあさんたちは、映画を撮り変わる。
あるおばあさんは、花壇に咲いた花をスマートフォンで撮影しながら、「愛する花よ、お前はどうしてこんなに美しいのか」と自作の詩を詠む。また別のおばあさんは、家の片隅に置かれた古い尿便を撮りながら、「嫁入りした時からやってきたことなのに…。私はなぜこんなふうに生きているの。私の人生は薄っぺらい」と独白する。
おばあさんたちは、いつでも目に付くものをスマートフォンに収めようと長いスタンドを肩にかけて歩く。おばあさんたちの新しい姿に、町の風景も変わったように見える。
人生を美しくするのは、芸術だとこの映画は言っている。年を取ると病気にならず、けがをしないのがすべてのように考えがちだが、芸術の享受と創造を欠かしてはならないということを示しているようだ。
老後の暮らしを豊かにするためには、共同体も必要だ。映画の中のおばあさんたちは、各自が撮った映像を一緒に見ながら笑ったり泣いたりする。そうやって映画の制作は彼、女たちの人生の話を交わす媒体となる。
イ・マリオ監督は、「老年が当然享受しなければならないのは、彼らが生きてきた人生にふさわしい尊厳」だとし、「(彼女たちが尊厳を享受できるようにすることは)いつかは、“年寄り”になるわれわれの課題だ」と述べた。
映画『小さな庭園』は12月に韓国で公開される。上映時間は86分、年齢制限は全体観覧可だ。

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