映画『ビニールハウス』のイ・ソルヒ監督、「生きるということは不可能に近いこと」
2023年07月20日

今月26日に公開されるスリラー映画『ビニールハウス(原題:비닐하우스)』は、観客に深い余韻を残す作品だ。
主人公“ムンジョン”(キム・ソヒョン)に起こる度重なる不幸と悲劇的な展開は、見る人に苦痛さえ与えるほどだ。
今月14日、ソウル・鍾路(チョンノ)区のカフェで会ったイ・ソルヒ監督は、「思ったより観客の好き嫌いがはっきり分かれた。“映画を見るのがつらかった”と言う観客に対しては申し訳ない思いだ」と笑った。
「しかし、極端に表現しなければメッセージを正確に伝えることは難しいと思った。映画が終わったからといって、そこで全てが終わるのではなく、長い間、観客の心に残ることを願った。“胸ぐらをつかんで引きずる”という言葉があるが、シナリオを書いていた時から、それが私の思いだった」
イ監督の初の長編作『ビニールハウス』は、誤って自分が世話をしていた認知症の患者を殺害してしまったムンジョンが、この事実がバレないように演技を繰り返す物語を描く。ムンジョンは、家がなくビニールハウスに住んでいる。認知症を患う自身の母は、病院に預け、他人の親の世話をしながら生計を立てる。
彼女は、ひょんなことから殺人を犯すことになるが、全力で認知症患者たちの世話をし、他人に迷惑をかけたことすらない優しい人物だ。望むのは息子と一緒に暮らせる小さな家だけ。
「生きるということは、不可能に近いことだと思う。しかし人々は、その仕事(生きること)をやり遂げている。ムンジョンは、丈夫な家で家族と暮らすこと、世話ができる人の世話をすること、真実の愛、安定した仕事を夢見ている。多くの人がやっているように。このような何てことないことをするのが、実はとてもつらいということを語りたかった。だから極端だが、激しい映画になることを望みながら作った」
イ監督は、劇の後半部で初めてムンジョンに自由をプレゼントする。ムンジョンが自分を縛っていた現実から抜け出し、新しい人生を始めるということを暗示しながらだ。
「ムンジョンは、自分のために生きるキャラクターではない。反面、彼女が世話するおじいさん“テガン”は、死までも自分で決める主体的な人物だ。ムンジョンが、もうこんなふうに生きるのはやめて、むしろテガンのように生きてほしいという気持ちで結末を作った。 しかし、見方によっては 『ビニールハウス』の結末は、開かれていると思う。結局は、観客の心で完成されるのだ」
ムンジョンを演じたキム・ソヒョンも最近、記者懇談会で「シナリオを見て、この作品が終わる頃にはどれくらい感情が疲弊しているのだろうと心配になった」としながらも、「これから進むべき私の人生について、改めて考えさせられた映画だった」と打ち明けた。
「SKYキャッスル」、「Mine」、「紙の月(原題:종이달)」などに出演した彼女が、低予算の独立映画で、新人監督のデビュー作に出演するというのは多少意外かもしれない。
イ監督は「運がとても良かった。キム・ソヒョンさんがシナリオを楽しく読んでくださった」とし「俳優にとって、この役が新鮮に感じられたのだと思う」と話した。
「実際にお会いしたキム・ソヒョンさんは、これまでどうしてそんなに強い役ばかりをしたのかと思うほど、純粋で子供のような面があった。いつものしゃべり方でムンジョンを演じてほしいとオーダーしたのだが、耳を傾けてくださって、そのようにしてくださった。“キム・ソヒョンの新しい姿を発見した”という評価が、私にとっては最大の褒め言葉だ」
昨年、釜山国際映画祭で先行公開された『ビニールハウス』は、CGV賞、WATCHA賞、オーロラメディア賞を受賞し、新人監督作品としては異例の3冠を達成した。
映画界に従事する父親を見ながら「私は死んでもこんなことはしない」と誓ったイ監督は、忠武路で注目される新鋭になった。今の彼女の夢は、「次の作品を見てみたいと思われる監督になること」だ。
「次期作でコメディージャンルをやってみたいのだが、私が書いたものを周りに見せえると全然笑えないという反応だった(笑)。“私は笑いに関してセンスがないのだ”と思い、自分自身を納得させているところだ。温かく明るい映画を作る方はたくさんいる。私は人生を考えさせる映画、省察し、覚醒し、悩んでみる映画を作り続けたい」
主人公“ムンジョン”(キム・ソヒョン)に起こる度重なる不幸と悲劇的な展開は、見る人に苦痛さえ与えるほどだ。
今月14日、ソウル・鍾路(チョンノ)区のカフェで会ったイ・ソルヒ監督は、「思ったより観客の好き嫌いがはっきり分かれた。“映画を見るのがつらかった”と言う観客に対しては申し訳ない思いだ」と笑った。
「しかし、極端に表現しなければメッセージを正確に伝えることは難しいと思った。映画が終わったからといって、そこで全てが終わるのではなく、長い間、観客の心に残ることを願った。“胸ぐらをつかんで引きずる”という言葉があるが、シナリオを書いていた時から、それが私の思いだった」
イ監督の初の長編作『ビニールハウス』は、誤って自分が世話をしていた認知症の患者を殺害してしまったムンジョンが、この事実がバレないように演技を繰り返す物語を描く。ムンジョンは、家がなくビニールハウスに住んでいる。認知症を患う自身の母は、病院に預け、他人の親の世話をしながら生計を立てる。
彼女は、ひょんなことから殺人を犯すことになるが、全力で認知症患者たちの世話をし、他人に迷惑をかけたことすらない優しい人物だ。望むのは息子と一緒に暮らせる小さな家だけ。
「生きるということは、不可能に近いことだと思う。しかし人々は、その仕事(生きること)をやり遂げている。ムンジョンは、丈夫な家で家族と暮らすこと、世話ができる人の世話をすること、真実の愛、安定した仕事を夢見ている。多くの人がやっているように。このような何てことないことをするのが、実はとてもつらいということを語りたかった。だから極端だが、激しい映画になることを望みながら作った」
イ監督は、劇の後半部で初めてムンジョンに自由をプレゼントする。ムンジョンが自分を縛っていた現実から抜け出し、新しい人生を始めるということを暗示しながらだ。
「ムンジョンは、自分のために生きるキャラクターではない。反面、彼女が世話するおじいさん“テガン”は、死までも自分で決める主体的な人物だ。ムンジョンが、もうこんなふうに生きるのはやめて、むしろテガンのように生きてほしいという気持ちで結末を作った。 しかし、見方によっては 『ビニールハウス』の結末は、開かれていると思う。結局は、観客の心で完成されるのだ」
ムンジョンを演じたキム・ソヒョンも最近、記者懇談会で「シナリオを見て、この作品が終わる頃にはどれくらい感情が疲弊しているのだろうと心配になった」としながらも、「これから進むべき私の人生について、改めて考えさせられた映画だった」と打ち明けた。
「SKYキャッスル」、「Mine」、「紙の月(原題:종이달)」などに出演した彼女が、低予算の独立映画で、新人監督のデビュー作に出演するというのは多少意外かもしれない。
イ監督は「運がとても良かった。キム・ソヒョンさんがシナリオを楽しく読んでくださった」とし「俳優にとって、この役が新鮮に感じられたのだと思う」と話した。
「実際にお会いしたキム・ソヒョンさんは、これまでどうしてそんなに強い役ばかりをしたのかと思うほど、純粋で子供のような面があった。いつものしゃべり方でムンジョンを演じてほしいとオーダーしたのだが、耳を傾けてくださって、そのようにしてくださった。“キム・ソヒョンの新しい姿を発見した”という評価が、私にとっては最大の褒め言葉だ」
昨年、釜山国際映画祭で先行公開された『ビニールハウス』は、CGV賞、WATCHA賞、オーロラメディア賞を受賞し、新人監督作品としては異例の3冠を達成した。
映画界に従事する父親を見ながら「私は死んでもこんなことはしない」と誓ったイ監督は、忠武路で注目される新鋭になった。今の彼女の夢は、「次の作品を見てみたいと思われる監督になること」だ。
「次期作でコメディージャンルをやってみたいのだが、私が書いたものを周りに見せえると全然笑えないという反応だった(笑)。“私は笑いに関してセンスがないのだ”と思い、自分自身を納得させているところだ。温かく明るい映画を作る方はたくさんいる。私は人生を考えさせる映画、省察し、覚醒し、悩んでみる映画を作り続けたい」
