映画『密輸』に出演の俳優チョ・インソン、「役柄の大きさは重要ではない」
2023年07月25日

「役柄をどのようにやり遂げるかを考えるべきだ。僕がどうすれば魅力的に見えるかを考えてしまったら、この映画が台無しになる。僕は主人公ではないのだから、欲張ってはいけない」
最近、ソウル・鍾路(チョンノ)区のあるカフェで会った俳優チョ・インソンは、リュ・スンワン監督の映画『密輸(原題:밀수)』で、“クォン上士”を演じていた当時を振り返りながらこのように述べた。
26日に韓国で公開される『密輸』は、1970年代を背景に密輸犯罪に巻き込まれた海女たちの話を描いた作品だ。チョ・インソンが演じたクォン上士は、海女である“チュンジャ”(キム・ヘス)と“ジンスク”(ヨム・ジョンア)を大型密輸犯罪に巻き込む人物。チュンジャとジンスクが中心の映画なので、クォン上士の分量は多くない。
しかしチョ・インソンは「役柄が大きいか小さいかは重要ではなかった」と強調した。
「チュンジャとジンスクの話に強力なブリッジ(架け橋)が必要だと思った。リュ監督はキャラクターを使い捨てるような方ではない。むしろ役柄に明確な理由を与えてくれる。キム・ヘス先輩とヨム・ジョンア先輩のような主人公が、“空気”の役割を担ってくださった。そんな強力な空気があったおかげで、コ・ミンシ、パク・ジョンミンのような後輩たちも生きることができた」
『密輸』は、クォン上士が登場しながら物語が本格的に展開していく。数年間、背を向けて暮らしていたチュンジャとジンスクが再会し、2人がまた犯罪のパートナーになるのもクォン上士が現れてからだ。
強力な初登場シーンとアクションシーンまでこなしながら、チョ・インソンは少ない分量でも深い印象を残す。氷の錐を手にした彼は、長い手足を利用してチャン・ドリ(パク・ジョンミン)の仲間を痛快なほどに制圧する。
チョ・インソンは「今回だけは(かっこよく生んでくれた)両親のおかげだと思った」と笑った。
「どうやら年の功もあるようだ。同じ演技をしても、若ければその感じが出ないこともあるので。ハンサムな俳優は多いが、そんな魅力とは違うと思う。『密輸』で僕が魅力的に映っていたとするなら、“年を取った”ためではないかと思う(笑)」
彼は25歳の時に撮った『卑劣な街』(2006)に言及したりもした。この映画でチョ・インソンが演じた“ピョンドゥ”は組織暴力団の中間組長で、『密輸』のクォン上士と重なる面がある。
「あの時は、こんなふうに(演技を)したかったのにできなかった。年を取ることに対する拒否感があったりもしたが、その年のぶん、よい香りのようなものがあると思う。もちろん、まだ年を取ることに対する苦悩はある。でも止められることではないので。今はちゃんと年を取ることが重要なのではないかと思って生きている」
不惑を超えたチョ・インソンが演じた“ヤクザ”クォン上士は、悪役だが魅力的なキャラクターだ。悪辣ながらも義理があり、何より格好を重視する。チュンジャを縛って殺害の威嚇をしても、自分の味方だと判断すれば命をかけてでも守るタイプだ。
「それが“全国区”の品位なのではないだろうか(笑)。町にあるチャン・ドリのレベルではなくて、文字通り親分。リュ監督が明確に注文されていたのは、全国で一番偉い人の品位を失うなということだった。マナーもありながら、少しマヌケな姿まで出しながらキャラクターを完成させた」
チョ・インソンは2021年に公開された『モガディシュ 脱出までの14日間』に続き『密輸』で相次いでリュ監督の作品に参加した。『モガディシュ 脱出までの14日間』のプロモーション日程をこなしながら、『密輸』を撮影したという。ドラマ「ムービング」の撮影直前だったため、唯一休める期間だったにもかかわらず、チョ・インソンは再びリュ監督とタッグを組んだ。
そのためか、リュ監督は出演陣の紹介場面で最後にチョ・インソンの名前を出した。特別出演やベテラン俳優を礼遇するときに使う、“そして”という言葉を名前の前につけたりもした。
チョ・インソンは「少ない分量であるにもかかわらず、出演したことに対する感謝を表現したのではないかと思う」と述べた。
「僕のシーンが多くはなかったが、『密輸』を撮影しながら本当に幸せだった。過程が幸せだったので、それだけもこの映画は完璧だったと思う。だから『密輸』は僕にとって本当にありがたい作品だ」
