映画『クモの巣』主演のソン・ガンホ、「『これこそ映画』と撮影の間ずっと考えた」

2023年09月20日

「撮影の間ずっと、映画の大切さと映画だけが持つ魅力を改めて考えるようになった。『ああ、そうだ。これが映画だ!』と思った」
27日に韓国で公開されたキム・ジウン監督の『クモの巣(原題:거미집)』は、キャリア33年の俳優ソン・ガンホに映画の意味を再確認させた作品として残った。
彼は『クモの巣』で、俳優陣やスタッフを率いて撮影を終えた映画を撮り直す1970年代の映画監督“キム・ヨル”を演じた。ひとつの映画が誕生するまでどれほど至難な過程を経なければならないのか、どれだけ熾烈な現場とプレッシャーを乗り越えなければならないのか、演技を通じて自ら体験した。
最近、ソウル・鍾路(チョンノ)区のあるカフェで会ったソン・ガンホは、「今は映画だけが持つ、映画の味を感じるのが本当に貴重な時代だ」としながら、「観客がこんなメッセージをうれしく思うのではないかと思う」と述べた。
「映画には、われわれが話そうとすることを効果的に盛り込むため、すべてが2時間程度に凝縮されなければならない。カタルシスや喜びもいっぱいだ。それが爆発したとき、映画だけが持つ力が確かにあると思う。今は劇場に行かなくても見られるコンテンツが本当に多いが、映画がまた観客と劇場で疎通し、一緒に笑って泣いて感動するその空間とメカニズム自体が恋しかった」
『クモの巣』は、ソン・ガンホにとっていわゆる韓国映画のルネサンス期である2000年代序盤の撮影現場の郷愁も感じさせた。
ひとつの空間で多くの俳優とセリフをやり取りする場面が多いうえ、俳優たちの間の親睦もまた厚いためだった。彼がキム・ヨル役をこなしながら、最も重点を置いた部分も他の俳優との“リズム感”だったという。
「『反則王』、『JSA』、『殺人の追憶』を撮った20年から25年前のことをとても思い出した。休み時間にチャン・ヨンナムさん、チョ・ヨビンさんとコーヒーを飲みながらその話をした。俳優同士でアンサンブルを合わせながら情熱的に撮影していたあの時の感じを受けた。最近は私ひとりで演じたり、2人で演技をしたりする作品をたくさんしたから」
ソン・ガンホが務めた役が監督であるため、映画監督たちが現場内外で感じる気持ちも理解できるようになったという。
劇中のキム・ヨルは、製作者の反対と俳優のスケジュールの問題、独裁政権の検閲などの障害物にも、映画の再撮影を強行するほど情熱的な人物だ。傑作を作ろうとする欲が夢と歓迎として現れるほど、芸術家的な執着も強い。しかしそれだけ背負わなければならない責任感も莫大だ。
ソン・ガンホは「(演技を通じて)監督が簡単な職業や地位ではないということに気づいた」とし、「カメラの後ろにただ座っている、気楽な人ではまったくなかった」と強調した。
「監督は、キム・ヨルのように誰でも責任を負えない苦痛の中で決めなければならず、苦悩の中で創作活動をしなければならない。一介の俳優が担えるような仕事ではないのだ、ものすごい世界なのだと間接的に感じた。時々、“演出するつもりはないのか”と聞かれるが、私にそんな才能と情熱はない。俳優だけやっていても大変だ(笑)」
彼は、キム・ヨルを演じながらキム・ジウン監督の以前の姿が思い浮かんだという。2人は『クワイエット・ファミリー』(1997)、『反則王』(1000)、『グッド・バッド・ウィアード』(2004)、『密偵』(2016)などさまざまな作品を共にした。
「キム・ヨルが混沌の中で最後のシーンを撮る時の姿を『グッド・バッド・ウィアード』の撮影現場で見た。中国の砂漠で100日間滞在した時だったが、翌日すぐに韓国に帰らなければならなかった。キム・ジウン監督が撮り直したいシーンがあり、時間は制限されていて、本当に大変な中で撮影した。その姿がオーバーラップした。おそらくすべての映画監督の気持ちではないかと思う」
ソン・ガンホは、キム監督について「ジャンルの演奏があまりにも上手な方」としながら、「キム・ジウン監督の映画に参加すれば『今度はどんな旅行に出かけることになるのか』とわくわくするし、『今度はまたどれだけ人を苦しめるのだろうか』と怖い気持ちにもなる」と笑った。
しかしこのような新しさと挑戦は、ソン・ガンホが作品を選ぶ時に最優先で見る要素でもある。
彼は『クモの巣」を選択したのは、韓国映画の歩みは滞っておらず、一歩でも進まなければならないと考えたため」と述べた。
「興行に失敗しても、このような試みがなければ型にはまった映画だけを繰り返し見続けるしかないと思う。たまった水になってはいけない。『クモの巣』はこれまで見たことのない形式。ありふれたパターンの映画ばかりを見ている観客なら、ちょっと不慣れで破格的な面もある。しかし新しい映画としてご覧になれば、楽しくきっと楽しく鑑賞できると思う」

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