歌手キム・ドンリュルが跳んだ光と音の“トリプルアクセル”…「ささいなすべてのことに感謝」
2023年10月17日

「みんなとご飯を食べに行くこと、思い切り歓声を上げること、そしてこうして今公演すること…。最近、このすべてのささいなことに感謝する気持ちが生まれたようだ」
シンガーソングライターのキム・ドンリュルは7日、ソウル・オリンピック公園KSPO DONE(体操競技場)で開かれた4年ぶりの単独コンサート「Melody」で「当然、今享受しているものを少しずつさらに延長するためにいつも最善を尽くして、感謝する気持ちで生きていく」と、新型コロナウイルス感染症という長いトンネルを抜け出した感想をこのように明らかにした。
キム・ドンリュルは、1993年にソ・ドンウクと結成した「展覧会(Exhibition)」として大学歌謡祭で大賞を受賞し、大衆音楽会に足を踏み入れた。翌年、展覧会の1stアルバムで歌謡界にデビューして以来、魅力的な重低音、繊細な歌詞、完成度の高いライブ、洗練されたメロディーなどで30年間韓国を代表するシンガーソングライターとして活躍してきた。今年は大学歌謡祭以降、活動30年を迎える意味深い年でもあるわけだ。
彼は「僕はこれまで、本当に多くの愛を受けた。僕が立派な人だからではなく、周りによい人たちが多くて、運もよかったたからだ」としながらも、「僕の努力に対する称賛は受ける」と、笑いながら謙虚な感想も伝えた。
キム・ドンリュルは壮大な弦楽オーケストラとライブバンドの演奏に合わせて、ヒット曲「Saying I love you」や「もう一度愛してると言おうか?(原題:다시 사랑한다 말할까)」で公演の幕を開けた。サウンドに厳しいことで定評のある彼らしく、オーケストラとバンドのハーモニーはきれいで、これに乗せた声はさらにきれいだった。キム・ドンリュルは丁寧に直筆の手紙を書くように、マイクの前で一音一音をきちんと書き下ろした。
この日、何より座中を圧倒したのは色とりどりの照明だった。キム・ドンリュルは「照明が重要なので暗転は必須。携帯電話は必ず消してほしい」と自ら観客に頼んだほど、光に気を使った。
「もう一度愛してると言おうか?」のクライマックスの部分では稲妻のようなまぶしい光がピカピカと照らした。タンゴ風に編曲された「Oblivion」のステージでの真っ赤な照明では、妙な扇情性と官能美が感じられた。
キム・ドンリュルの頭の上に“光のアーチ”が描かれたかと思えば、天井から降りてきたミラーポールからは四方に光が噴出したりもした。公演会場はこれに音と拍子が踊る“ルミナリエ”(人工照明の祭り)に変貌した。
キム・ドンリュルは、今回の公演で5月に発売した4年ぶりの新曲「Golden Mask」もライブで初めて披露した。「Golden Mask」はディスコ、レトロポップ、クラシック、ロックを組み合わせた楽曲で、われわれが夢見る英雄を歌った楽曲だ。キム・ドンリュルがデビュー以来、発売した最も速い楽曲としても話題を集めた。ライブバンドとコーラスは、この楽曲をよりいっそう生き生きと壮大に飾った。
彼は今回の公演で「Good Ol' Days」、「Drunken Truth」、「Draft Of A Memory」、「Where My Heart Is」を含め、全国民に長く愛されたヒット曲中心の公演リストを作った。名盤のタイトル曲を次々と歌う中、彼の首の血筋が立った。これにキム・ドンリュルは「無理して“トリプルアクセル”を跳んでみた」と冗談を言った。
キム・ドンリュルが漂わすダンディーで知的なイメージとは正反対に、「もう一度愛してると言おうか?」、「Drunken Truth」、「Draft Of A Memory」のような名曲が持つ情緒は(愛の前の)“愚かさ”だ。彼は描き出したこのような微妙な隙間は、依然として面白く迫ってきた。血気盛んな20代の時に感じたはずのこれらの楽曲の感情を、活動30年目にもさびないように再現したという点も、「さすがキム・ドンリュル」という名声に力を加えた。
キム・ドンリュルの今回のコンサートは、観客1万人規模の大型公演会場であるKSPO DOMEで6日間開かれたが、彼を待っていたファンたちの声援に早くも6万席全席が売り切れとなった。
初日の公演では、アンコール曲が終わり舞台の上の幕も下りているのに、しばらく拍手の音は止まらなかった。それだけキム・ドンリュルが伝えた余韻が大きかったためだった。
ソウル・江南(カンナム)区から公演会場を訪れた長年のファン・ソン某氏(38)は、「キム・ドンリュルはもともと完ぺきさを求めるほうだが、4年ぶりの公演だからかさらに情熱を注いでいるのが分かった」とし、「公演の間ずっと“トリプルアクセル”を跳び、(アンコールを除いた)エンディング曲『Draft Of A Memory』で金メダルにくぎを刺した感じだった」と述べた。
キム・ドンリュルは公演を通じて、来月新曲を発売する予定だという“電撃発表”もした。
「この年でヒット曲を期待したり、BTS(防弾少年団)のような反応まで望んだりしていないが、それでも反応を残してくれれば大きな力になる」と明かした。
「長く音楽をする人として、時々“昔の自分”に勝てるのかという思いにもなる。やっぱり一番大きなライバルは過去の僕みたいだ(笑)」
