24年前の「ナラスーパー事件」で韓国社会を見る…映画『少年たち』
2023年10月24日

1999年2月6日未明、全羅北道(チョルラプクト)完州郡(ウォンジュグン)参礼邑(サムレウプ)の「ナラスーパー」という小さい店に3人組の強盗が侵入した。
彼らは店の中にいたおばあさんを含む3人の目と口をテープで隠し、金品を奪って逃げた。息ができなくなったおばあさんは命を落とした。
事件直後警察は、19歳から20歳の男性3人を容疑者として指名し立件したが、彼らは真犯人ではなかった。捜査過程で暴行や強要を受けた彼らが虚偽自白をしたのだ。
それぞれ懲役3年から6年を言い渡され、満期出所した彼らは2015年に再審事件専門家であるパク・ジュンヨン弁護士の助けを得て再審請求し、翌年無罪を宣告された。
真犯人の1人の良心宣言が決定的な役割を果たした。警察と検察がどれほど手抜き、操作捜査をしたのかも明らかになった。
韓国社会の不条理を映画で再確認してきたチョン・ジヨン監督が「参礼ナラスーパー事件」と呼ばれるこの事件を1本の映画にした。彼の新作『少年たち(原題:소년들)』だ。この映画で「ナラスーパー」は「ウリスーパー」として登場する。
『少年たち』は実話を基にしたが、劇的効果のためにフィクション要素を果敢に導入した。警察内部で「ウリスーパー事件」の再捜査を推し進める主人公のファン・ジュンチョル(ソル・ギョング)の存在が特にそうだ。
「ウリスーパー事件」が終わって1年が経って、完州警察署の捜査班長として赴任したファン・ジュンチョルは、一通の情報提供の電話を受け、この事件の捜査が間違っていることを直感する。
彼は事件を最初から調べ直すが、まもなく難関にぶつかる。手抜き、操作捜査で罪のない少年3人を刑務所に送った警察隊出身のエリート、チェ・ウソン(ユ・ジュンサン)が事あるごとに妨害する。
この映画はファン・ジュンチョルとチェ・ウソンを前面に出し、警察内部の対立構造を設定することで、捜査機関の問題を明らかにする。
ファン・ジュンチョルは正義のためなら手段を選ばないドン・キホーテのような人物だ。内的葛藤もほとんどなく一貫的だという点で非現実的に感じられたりもする。
チェ・ウソンは権力機関の組織論理を代弁する。彼はファン・ジュンチョルに「組織に泥を塗ろうと決心したのでなければ、この辺でやめろ」と警告する。
「ウリスーパー事件」の再審が繰り広げられる映画の後半部は、法廷映画のようだ。ここでファン・ジュンチョルとチェ・ウソンの対立を越えるより、根本的な対立構図が現れる。
法律知識どころか文章も読めないため、警察の強圧捜査に追い込まれ罪を被るしかなかった少年たちと最新に証言で出席したチェ・ウソンの法廷攻防は、われわれ社会の弱者と強者の対立を見せる。
まともに話せない少年たちと流麗な論弁を繰り広げるチェ・ウソンは、お互いに別世界に属した人たちのように見える。結局、少年たちが泣き叫ぶことで心の中の悔しさを爆発させ、深い響きを生む。
この映画は事件の順序に従わず、「ウリスーパー事件」が発生した1999年と、ファン・ジュンチョルが再捜査を試みる2000年、左遷された彼が再び事件を暴く2016年が入り乱れる。
この映画に軽快な雰囲気を与えるのは、ファン・ジュンチョルを信じて従う後輩掲示パク・ジョンギュ(ホ・ソンテ)とファン・ジュンチョルの妻キム・ギョンミ(ヨム・ヘラン)だ。
Netflixドラマ「イカゲーム」などで悪役のイメージを見せてきたホ・ソンテは、この映画では明るく前向きな役柄で笑いを醸し出しながら、ギャップの魅力を披露する。ソル・ギョングとヨム・ヘランの息の合ったやり取りもコミカルなシーンたちを作り出す。
今年でデビュー40周年を迎えたチョン監督は、6・25戦争を背景にした『南部軍(原題:남부군)』(1990)、ベトナム戦争の傷を描いた『白い戦争(原題:하얀 전쟁)』(1992)、2007年の石弓テロ事件を素材にした『折れた矢』(2012)、金融犯罪劇『権力に継ぐ』(2019)など実話を基にした作品で韓国社会の矛盾に注目してきた。
チョン監督は23日、『少年たち』の試写会で「参礼ナラスーパー事件」を映画化したことについて、「われわれによく知られた事件だとしても、大部分が対岸の火事を見るように通り過ぎる」とし、「この事件はそうしてはならない事件だと思った」と述べた。
彼は「われわれは自ら弱者の味方だといいながら、沈黙を守り、その沈黙を利用して力のある者たちは弱者を苦しめる」とし、「これは明らかにわれわれが刻まなければならないこと」だと付け加えた。
映画『少年たち』は11月1日に韓国で公開され、上映時間は123分で、年齢制限は15歳以上観覧可だ。
