映画『私の血まみれの恋人』のユ・ジヨン監督、「私が抱えていた悩みや同世代の姿が込められている」

2023年11月09日

ユ・ジヨン監督は、30代半ば頃になったころから妻であり、ママになることと創作を続けることを両立できるか真剣に悩んだという。

先輩女性監督たちが結婚すると、しばらく創作活動を止めたり、活動を諦めたりする姿を見て抱くようになった悩みだった。当時、結婚まで考えた恋人がいたユ監督にとっては、現実的な問題だった。

結局、恋人との別れを選んだユ監督は、若い女性作家が望まない妊娠をし、経験することを描いた『Birth(原題:버스)』というタイトルの映画シナリオを書き始めた。

普段より尊敬していた故チョン・ミギョン作家の短編小説「私の血まみれの恋人(原題:나의 피투성이 연인)」にもインスピレーションを受けた。ユ監督は、タイトルもこの小説に合わせることにし、作家で夫のキム・ビョンジョン画白の許可を得た。

そうして誕生した映画が、今月15日に公開される『私の血まみれの恋人(原題:나의 피투성이 연인)』だ。結婚はせず同居するカップルの新人作家“ジェイ”(ハン・ヘイン)と塾講師“ゴヌ”(イ・ハンジュ)が、予想外の妊娠で破局を迎えることになる物語だ。

「ジェイの職業を小説家に設定したが、私が当時抱えていた悩みが、ほぼ投影された自伝的な話だと言える」

7日、ソウル・麻浦(マポ)区のカフェで会ったユ監督は、この映画をこう紹介した。

ユ監督がジェイに自分を投影したという点で自伝的だが、だからといって彼女の経験をそのまま移したのではない。

ユ監督は、「ジェイの妊娠からは、ほぼフィクションだ」とし、「(ここから)平凡なカップルが、どこまで行けるかを見るのが目標の一つだった。苦しいほど押しとおしてみようとした」と明かした。

望まない妊娠をすることになったジェイは、創作を続けることができないと心配し、ゴヌは生計のために安定した収入を得ようと塾長(オ・マンソク)の提案を受け入れる。そして2人の関係に、ますますヒビが入っていく。

ここには、ユ監督が韓国社会に投げる問いが込められている。彼女は「三十や四十で子供を産んでも、キャリアが断絶されず、創作でも何でも続けることができる社会ならば、果たしてこのような映画は生まれるだろうか」と問う。

そして「ジェイは、子どもを産んだらこれ以上、文を書くことができないと思い、ゴヌは自分が出世しなければ家庭が崩れるという責任感に押しつぶされた」と説明した。

『私の血まみれの恋人』は、妊娠と出産の問題を扱ったという点で、フェミニズムの視点で見ることもできる。

しかし、ユ監督は「作品を通して何らかのメッセージを掲げ、社会に影響を及ぼすべきだとは一度も考えたことがない」と話した。

そして、「当時私が抱えていた悩みや、同世代の姿が作品に込められているため、そんな(フェミニズムのような)議題が入っているかもしれない」とし「観客に様々な角度で見ていただきたい」と付け加えた。

『私の血まみれの恋人』は、ユ監督が『寿城池(原題:수성못)』(2018)に続いて出した2作目の長編だ。『寿城池』は、ソウルの地方大学の編入を準備していたアルバイト生が、大邱(テグ)寿城池(スソンモッ)で発生した失踪事件に巻き込まれ、繰り広げられる物語だ。

ユ監督は「右往左往し、手探りだった私の20代を振り返りながらできた作品が『寿城池』だったとするなら、『私の血まみれの恋人』は30代を振り返りながら作った作品だ」とした。

ユ監督は、次期作に関する質問には具体的な回答をしなかった。

彼女は、「(次期作について言わないのは)次の作品でご挨拶できるかもまだ分からないからだ」と話した。

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