映画『3日の休暇』のキム・ヘスク、「世の全ての母親を代表するという思いで演技」
2023年11月30日

キム・ヘスクはベテラン俳優の中でも、最も多様な顔で観客と視聴者に会ってきた。
スリ、詐欺師、王后、企業のリーダー、スーパーヒーローまで、同年代の女性俳優がこなしにくい役も難なくやり遂げた。
それでも俳優キム・ヘスクといえば真っ先に思い浮かぶ役は、「母親」だ。特に映画『マイ・ブラザー』(2004)、『ひまわり』(2006)、『実家の母親(原題:친정엄마)』(2010)などでは、子どものために犠牲になる母親を演じ、映画館を涙の海にした。彼女に「国民の母」というニックネームがついたのはこのためだ。
キム・ヘスクは来月6日に公開される映画『3日の休暇(原題:3일의 휴가)』で、久しぶりに優しくて温かい母親になる。心臓発作でこの世を去り3年になる日、地上に降りてきて一人娘の“チンジュ”(シン・ミナ)に会う“ボクジャ”を演じた。
29日、鍾路(チョンノ)区のカフェで出会ったキム・ヘスクは「今まで母親役を本当にたくさんやってきたが、『3日の休暇』はその中でも最も意味のある作品として残るだろう」としながら「この世のすべての母親を代表するという思いで演技に臨んだ」 述べた。
ボクジャは娘を見ることはできるが、触ったり話したりすることはできない。親不孝をしてしまったという思いに苦しむチンジュは、ボクジャが横にいるのに彼女の存在を感じることができない。
キム・ヘスクも9年前に亡くなった母親に温かい言葉をきちんと伝えられなかったことが、後悔として残っていると述べた。彼女がボクジャ役を引き受けた理由もやはり、自分のように後悔する娘や息子がいないことを望む思いからだった。
「大切さに時間が経ってから気づくというのが、とても胸が痛かった。母親に“ありがとう”、“愛してる”、“ごめんね”と言えなかった。その時は言わなくても当然分かると、いつでも言えると思っていた。この映画を通して多くの人が母親と家族の大切さを悟ることを願う」
キム・ヘスクは、幼い頃は自分がチンジュのようで、母親になってからは、娘たちがチンジュのようだと話した。彼女の娘は、試写会で『3日の休暇』を見て「チンジュは私みたい」というメッセージを送ってきたという。
この映画は設定だけでも胸をいっぱいにさせるが、無理に泣かせようとはしてこない。キム・ヘスクは「泣かせようとする映画」には見えないよう、トーンをつかむことに演技の焦点を絞ったと話した。
ボクジャは、アメリカの名門大学の教授職を辞め、故郷で定食屋を営むチンジュを見て「バカ娘」と何度も文句を言う。チンジュにはボクジャの声が聞こえないにも関わらず、あれこれと口を挟む姿も笑いを誘う。
コミカルに始まった映画は、母娘の過去の話を見せ、いつの間にか観客の心を痛める。キム・ヘスクは、観客がボクジャとチンジュの物語から自身の姿を発見するためではないかと述べた。
「親子は、日常的には非常に近い関係だが、よく見てみると、その関係にはたくさんの物語が詰まっている。だからこの映画を見て、涙を流すシーンが人によって違う。自分と重なる話が出ると、それが思い出のように浮かんでくるようだ」
彼女は、淡白ながらも共感できる母親の物語を伝えるため、わざと感情を隠して演技したと打ち明けた。『3日の休暇』の観客は泣くが、演技する俳優たちはほとんど涙を流さない。
「最も重要な最後のシーンのために、たくさん感情を取っておいた。ミナさんも、とても悲しいのに耐えたと言っていた。私も涙だけは、私の右に出る者はいないと思っているが、演技しながら涙が出てくるのを我慢した。おかげで、そのシーンは一発で“オーケー”をもらった」
1974年にデビューしたキム・ヘスクは、若い時代を「ワーママ」として送った。昔は、“家でどんなお母さんか”と質問されるたびに、子どもたちに申し訳ない気持ちになったという。しかし一番好きなことが演技だったので、これを手放すことはできなかった。
彼女は、「“なぜ私は仕事ばかりするのか”と考えたことがあるが、最も幸せな瞬間が新しいキャラクターで作品活動をする時だったからだ」と話した。
「撮影現場にいる時が、最も幸せだという自分を発見し、“仕方ない”と思った。来年はデビュー50周年だが、まだやりたい役がある。本当にありとあらゆるキャラクターをやってきたが、欲を出すなら組織のボスになって、本格的なアクションをしてみたい」
