映画『鷺梁:死の海』のキム・ハンミン監督、「海上戦のスペクタクル、ハリウッドに劣らないだろう」
2023年12月20日

20日公開のキム・ハンミン監督の『鷺梁(ノリャン):死の海(原題:노량: 죽음의 바다)』(以下、“鷺梁”)は、壬辰倭乱(文禄・慶長の役)が終盤に入った1598年に、イ・スンシン(李舜臣)将軍が活躍した鷺梁大捷を描いた作品だ。
この映画で100分に達する激しい海上戦の場面は、海で撮影したものではない。製作陣は江陵(カンヌン)のスピードスケート競技場に超大型規模の室内セット場を建てて撮影し、残りは視覚特殊効果(VFX)を活用して、海上戦のスペクタクルを完成させた。
波が打つ海の質感をVFXで出すのは容易ではないが、この映画の海上戦の場面はかなり完成度が高いという評価を受けている。
『鷺梁』の公開を翌日に控えた19日、ソウル・三清(サムチョン)洞のあるカフェであったキム監督は、『鷺梁』のスペクタクルがハリウッド映画にも劣らないと自信をみせた。
「海と船、特に時代劇の船に関しては、どの国の映画にも劣らないだろう。誰もが『ハリウッド映画みたいだ』と言うので、『ハリウッドでこんなふうに作れるか?僕は見たことないが?』と言った」
この映画には、コンピューターグラフィックス(CG)を使っていない場面がほとんどないという。この映画のCG作業だけで関連会社25社の人材800人が参加した。大体の韓国のCG会社はすべて参加したというのがキム監督の説明だ。
『鷺梁』が引き上げたVFX技術が、韓国映画の資産になるだろうという展望も出ている。キム監督は、「(『鷺梁』の成果を)うまく活用して一歩進む映画が出てくるだろう」と期待した。
キム監督がスペクタクルに劣らず力を入れたのはサウンドだ。この映画の荘厳なサウンドは、英雄イ・スンシンを見送る葬送曲のように聞こえたりもする。
キム監督は2時間半のオーケストラ演奏を導く指揮者になった気分だったとし、「CGも大変だったが、監督として最も大変だったのはサウンドデザインだった」と打ち明けた。
同じ場面においても、サウンドをどのように設計するかによって感じが大きく違ったという。最も代表的なものは、ロングテイクで撮影した船上白兵戦のシーンだ。『鷺梁』が繰り広げる海上戦の白眉とも言える。
キム監督は「最初は緊張感のあるサウンドで覆ったが、場面の感じがよく蘇らなかった」とし、「『大変なことになった、演出を間違えたのではないか?』という気がするほどだったが、果敢にミュート(音をなくすこと)でいこうとした。最小限のサウンドから答えを見出した」と振り返った。
この白兵戦の場面について彼は、「イ・スンシンが激しい戦場の中心にいたという時、その熾烈さをどのように表現するか悩んだ結果だ」とし、「金と時間、努力がいくらかかっても完成しなければならないという思いだった」と振り返った。
『鷺梁』がイ・スンシンの最後をどのように描き出すのかも関心事だった。新派に陥ることが懸念されていたりもしたが、イ・スンシンが死を迎える場面は感情が節制されている。
キム監督もイ・スンシンの最後の場面を「淡泊に処理した」という評価をたくさん受けたという。彼は「わざと洗練された演出のためにそのようにしたわけではない」とし、「イ・スンシン将軍の本気さと真実性を確保しようとした結果、そのようにしなければならないという気がした」と述べた。
劇中、イ・スンシンは壬辰倭乱をどのように終結するのか悩む。倭軍に退路を開いて犠牲を最小限に抑えようと主張する明の水軍将軍チンリン(陳璘)にイ・スンシンは「決してこのように戦争を終えてはならない」と一喝する。
このセリフはイ・スンシンが実際に残した言葉ではない。キム監督は「乱中日記のどこにもそんな言葉はないが、イ・スンシンの出征の誓いから端緒を発見した」とし、「乱中日記に投影されたイ・スンシンの精神をそのような文章で僕が抽出したと見ればいい」と説明した。
『鷺梁』でキム監督は『バトル・オーシャン 海上決戦』(2014)と『ハンサン -龍の出現-』(2022)に続いて、イ・スンシン3部作を完成させることになった。彼は「『もう、こんな日が来たんだな』と思う」とし、感慨無量な気持ちを表した。
それと共に「『鷺梁』はイ・スンシン将軍がなぜそんなに熾烈でありながらも執拗に最後の戦闘をしようとしたのかに対する僕なりの確信に満ちた結論だ」と述べた。
『鷺梁』は、千万映画達成を目前にしたキム・ソンス監督の『ソウルの春(原題:서울의 봄)』のバトンを受け継いで年末の劇場街を盛り上げる見通しだ。劇場街でこの作品にかける期待も大きい。
キム監督は『鷺梁』が『ソウルの春』と同じくらいにヒットする可能性について、「(そうなれば)韓国映画監督の立場としては光栄だろう」とし、「ぜひそのようになってほしい」と述べた。
