映画『破墓』、墓を掘る時のひんやりとした緊張感がそのまま

2024年02月21日

“破墓”とは棺や遺体を取り出すために墓を掘ることを意味する。遺体を他のところに移す移葬をする時に破墓を行う。
長い歳月、墓に埋まっていたものが姿を現す現場にいるとすれば、おそらく多くの人は得体の知れない恐怖感に顔をそむけながらも、心の中のどこかではそれを見たい好奇心が湧くものだ。 『プリースト 悪魔を葬る者』(2015)や『サバハ』(2019)でオカルト映画の独歩的世界観を構築してきたチャン・ジェヒョン監督の新作『破墓(原題:파묘)』は、タイトルから恐怖感と共に好奇心を刺激する。
神通と認められる若いシャーマンファリム(キム・ゴウン)が、アメリカに住む裕福な韓国人家族の依頼を受けて物語が始まる。まるで呪いのような奇異な病気が受け継がれていることを解決してほしいということだった。 先祖の墓場が禍根であることを知ったファリムは、全国のありとあらゆる名堂を知るベテラン風水師サンドク(チェ・ミンシク)と彼のパートナーである葬儀師のヨングン(ユ・ヘジン)を訪ねる。風水師は伝統的な風水地理によって墓場を含む土の良し悪しを判別する人で、地官ともいわれる。 依頼人の祖先の墓を一緒に移そうというファリムの提案をサンドクとヨングンが受け入れ、ファリムの弟子であり同僚であるボンギル(イ・ドヒョン)まで4人が破墓に乗り出し、恐ろしいことが起きる。
雨に濡れた湿った落ち葉のように涼しさが感じられる晩秋の物悲しい雰囲気が、映画の最初から最後まで続く。ほとんどの話が曇りの日の夕暮れ時が背景となっている。 観客の鳥肌を立たせるには、サウンドも一役買っている。何を言っているのか聞き取れない経文を唱える音、苦痛にわめいているような音、ガラスが割れる時に出る音が観客の耳を刺す。
ファリムが依頼人の祖先の墓を暴く現場で繰り広げられる“動物をいけにえにして神に捧げるお祓い”は一編のスペクタクルと言える。太鼓の音と経文を唱える音でいっぱいの墓の前で、神がかったように刀の踊りを踊るファリムの姿は、観客の記憶に刻み込まれそうだ。 『プリースト 悪魔を葬る者』や『サバハ』でキリスト教と仏教、巫俗信仰を結合して独特なオカルトの話を解きほぐしたチャン監督は、『破墓』では風水地理と巫俗信仰を編む。話の中心にあるキャラクターも風水師のサンドクとシャーマンのファリムだ。
サンドク役のチェ・ミンシクは、冷笑的で俗物的でありながら、心の深いところに専門家の責任感と温かい心を持った初老の男性をスクリーンにリアルに描き出す。35年目のベテラン俳優としてあらゆる人間群像を繰り広げたチェ・ミンシクだが、オカルト映画への出演は初めてだ。 キム・ゴウンは、伝統を受け継ぐシャーマンでありながらも新世代らしい大胆さと洗練美を持ったハリムを印象的に演じた。ファリムが暴かれた墓に一人で立ったまま鋭い目で外を見る場面では、キム・ゴウンに代わる俳優がいないという感じがする。
重い雰囲気に軽快な感じを吹き込むのは、ユ・ヘジンが演じたヨングンだ。ヨングンの突飛で気の利いた言葉がふとした時に笑いをそそる。
ドラマで演技力を認められたイ・ドヒョンにとって『破墓』は、スクリーンデビュー作だ。ボンギル役のイ・ドヒョンは、キム・ゴウンの演技を支える役割を担った。
サンドクとファリム、ヨングン、ボンギルいずれも利益を追求する資本主義的人間という点では同じだという点も面白い。 チャン監督は幼い頃、100年を超えた墓の移葬を見守った記憶を基に『破墓』を企画したという。葬儀指導士の資格証に挑戦し、約10回の移葬にも自ら参加した。ここに実際のシャーマンと風水師、葬儀師の考証で映画の完成度を高めた。
『破墓』は15日に開幕した「第74回ベルリン国際映画祭」で、実験的で独創的な映画を紹介するフォーラムセクションに招待され、作品性を認められた。
『破墓』は22日に韓国で公開され、上映時間は134分、年齢制限は15歳以上観覧可だ。

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