老夫婦がオカルトものを観に劇場へ…映画『破墓』、中高年層も魅了する理由は?

2024年03月05日

ソウル・龍山(ヨンサン)区に住む会社員のキム某氏(29)は先々週末に映画『破墓(原題:파묘)』を観に、劇場に行ったところ、隣の席に70代に見える夫婦が座ったのを見てびっくりした。オカルトジャンルである『破墓』を老年層が観覧するとは思わなかったためだ。

キム氏は「中高生の子どもたちを連れてきた中高年層や同年代たちと来た老人たちをたくさん見て意外だった」としながら、「1年に映画を1、2本観るか観ないかという60代の両親も『破墓』を観たいといって予約してあげた」と述べた。

チャン・ジェヒョン監督の新作『破墓』が全世代を網羅する観客を呼び集め、400万人突破を目の前にしていた。

若い層に観客が集まった既存のオカルトものと異なり、『破墓』は中高年層、さらに老年層の観客まで劇場に呼び込んでいるという点が目につく。

この世代の好奇心を呼び起こすだけの地理風水と巫俗信仰のような素材を全面に掲げたためだという分析が出ている。

CGVがホームページやモバイルアプリを通じて『破墓』を予約した観客の年齢層を分析した結果、50代以上は1日基準で15%を占めていることが分かった。40代は20%で、10代(6%)の3倍を超えた。

50代以上の場合、予約をせずに現場でチケットを買ったり、予約を代わりに頼む場合が多く、実際の50代以上の観客はさらに多いものと推定される。

通常、オカルト・ホラー映画は、既成世代に相対的にあまり注目されないジャンルとみなされてきた。

実際にチャン監督の前作であるオカルトもの『サバハ』の場合、50代以上の観客は9%であり、韓国ミステリー・オカルトの代表作であるナ・ホンジン監督の『哭声/コクソン』は6%に過ぎなかった。

『破墓』が中高年層の心をつかむことができた理由としては素材の力が挙げられる。

この映画は巨額の金を受け取り怪しい墓を移すことになった風水師と葬儀師、シャーマンたちに起こる奇異な出来事を描いた。既成世代になじみのある墓場、移葬、地理風水、巫俗信仰などが話の主要素材。

ある配給会社の関係者は、「悪霊が体に入ってきて神父たちが駆魔儀式を行う西洋的なオカルトものではなく、韓国人の特に中高年層と老年層が関心を持っていそうな破墓に対する話なので、差別点がある」としながら、「オカルト・ホラージャンルを好んで観る人ではなくても、十分に好奇心が行くに値する」と述べた。

また別の配給会社の関係者も、「老年層に『破墓』は現実に密着してアプローチした可能性がある」としながら、「明堂に先祖を祀ったり、仕事がうまくいかなければ移葬をしたりする文化はすでにその世代になじみがあり、ジャンルに対する進入障壁が低いほう」と分析した。

他のオカルト映画に比べて、中高年層の比率が高いが、それでも『破墓』の主な観客層は20代から30代。20代は26%、30代が33%と半分を超える。

映画界では、20代から30代がオンラインに『破墓』に関連するコンテンツを相次ぎアップしながら、口コミが広がり始め、これを中高年層と老年層が接して、シナジー効果を出すことができたと見る。

あるマルチプレックスの関係者は、「キム・ゴウンがお祓いをする場面は、公開前から若い世代が主に使用するSNSなどのオンラインで話題となった。公開後には、映画に出てくる別名“険しいもの”について討論が続いた」としながら、「『ソウルの春(原題:서울의 봄)』がそうだったように、語ることが多い映画」と分析した。

続けて「20代30代の世代が口コミを主導して、中高年層や老年層がこの映画の扱う題材に惹きこまれ、全世代の興行につながったっようだ」と付け加えた。

配給会社のSHOWBOXが映画のコンセプトに合わせて、“損(鬼)がない日”の先月29日、CGVやメガボックスの主要上映館で実施したイベントで、SNSで関心を集めた。

“損がない日”は悪鬼のいない日を意味するが、CGVは同日、『破墓』の観客を対象に、厄払い用の塩を提供するかと思えば、一部の上映館では映画に没頭して観ることができるよう、携帯電話を入れるポーチをプレゼントした。前日夜に映画をはじめ、3月1日に終わるメガボックス“損のない日、ミッドナイト上映会”にも若い観客たちが集まった。

『破墓』が世代を選ばずにヒットできたのは、作品自体が恐怖にだけに偏らず、大衆的な要素を盛り込んだためだという分析も出ている。

映画評論家のチョン・チャンイル氏は、「『サバハ』のような作品に比べて『破墓』はもう少し大衆的」としながら、「オカルトものだとはいえ、ホラー、コミカル、バディー演技、ずっしりと重いメッセージなどがすべて含まれている映画」と評価した。

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