記憶喪失の上に構築したミステリー…映画『あなたが眠っている間』
2024年03月27日

美術講師のドクヒ(チュ・ジャヒョン)は交通事故で直近数年間の記憶を全て忘れてしまった。医者は選択的記憶喪失だと診断する。
作家である夫のジュンソク(イ・ムセン)は、そんなドクヒが気の毒でいつも優しく接する。この上ない仲むつまじい夫婦だが、ドクヒはいつからかジュンソクが少しずつおかしく見え始める。
チャン・ユンヒョン監督の新作『あなたが眠っている間(原題:당신이 잠든 사이)』は、ジュンソクの理解できない行動によって疑い始めたドクヒが真実にアプローチしていく話だ。
ドクヒとジュンソクの出会いから話は始まる。作家を夢見ていたジュンソクは、障がい者体験をするドクヒと偶然に出会い、恋に落ちる。
ストーリーはジュンソクと結婚したドクヒの交通事故の場面を経て、すぐに現在に移る。ドクヒが結婚後、ある時点から事故が起きるまでの記憶を失ってしまったように、観客もその間に何があったのかは分からない。
映画はドクヒの視線に従う。記憶喪失になったドクヒには、日常の些細なことも疑問が湧き、心に波紋を起こす。その上、ジュンソクをはじめとする周りの人々は何かを隠しているように感じる。
このような経験が一つ二つと重なり、巨大なミステリーがドクヒを取り囲む。ジュンソクは執筆のため、江原道(カンウォンド)を訪問。ドクヒが一人となり、話はクライマックスを迎え、ミステリーは実体を現す。
真夜中にかかってくる電話、ジュンソクの母が何気なく吐く一言、ドクヒの涼しい表情がサスペンスを醸し出す。
記憶喪失という、見方によってはありふれた素材の上に構築した話だが、最初から最後まで緊張感が崩れない。
チェ・ジャヒョンとイ・ムセンの優れた演技が、劇をリードする。特に、チュ・ジャヒョンは理解できないささいなことを疑い、ますます恐ろしい考えに陥るドクヒに没頭するかのように演技を繰り広げる。
Netflixシリーズ「ナルコの神」(2022)など主にドラマで活動してきた彼女が、久しぶりにスクリーンに帰ってきた。
温かい言葉と行動の裏に何か隠しているようなジュンソクをリアルに描き出したイ・ムセンの演技も際立つ。
ハン・ソッキュとチョン・ドヨン主演のロマンス『接続 ザ・コンタクト』(1997)とスリラー『カル』(1999)で注目されたチャン監督が、韓中合作映画『平安道(原題:평안도)』以来、10年ぶりに輩出する作品だ。
チャン監督は最近開かれた試写会で、「われわれには真正性ある疎通が必要だという思いでこの作品を作った」とし、「優しい人が危機を迎えて善良なエネルギーで突き抜けていくことをお見せしたかった」と述べた。
彼は「今後は、予算もジャンルも関係なく、頻繁に映画を作りたいという意志がある」と付け加えた。
『あなたが眠っている間」は韓国で公開されており、上映時間は100分、年齢制限は12歳以上観覧可だ。
