映画『パイロット』、チョ・ジョンソクの詰めが甘い女装が与える笑い

2024年07月17日

男性が何日も女性として生活し、反対に女性も男性の人生を経験してみたらどうだろうか。 つまらない想像のようだが、一度は異性として生きてみれば、男性は女性を、女性は男性をもっと理解することができ、男女間の葛藤も大きく緩和できるのではないだろうかと思う。
キム・ハンギョル監督の新作映画『パイロット(原題:파일럿)』は、自分中心の男性が、人生の袋小路から抜け出そうと女性に変身し、新しい出発を試みながら起きる出来事を描いたコメディーだ。
主人公のジョンウ(チョ・ジョンソク)は、空軍司令学校を首席で卒業した旅客機の操縦士で、優れた飛行実力だけでなく、秀でたルックスまで兼ね備えSNSで人気を集める有名人だ。 この世にうらやましいものなど何一つなかったジョンウは、会社の飲み会で女性乗務員に侮辱的な発言をし、仕事を失う。この事実がSNSにも公開されたことにより、あっという間に奈落の底に落ちる。
業界でブラックリストに上がり、再就職が不可能になったジョンウは、ハンエアーという格安航空会社で女性操縦士を募集していることを知り、妹のジョンミ(ハン・ソナ)になりすますことにする。美容専門YouTuberのジョンミの助けで、それらしい女装もして完全に新しい人生を始める。 ハンエアーに操縦士として就職したジョンウは、かつてはライバルにもならなかった空軍士官学校の後輩ヒョンソク(シン・スンホ)の嫌みに戸惑い、女性操縦士である同僚スルギ(イ・ジュミョン)と深い対話も交わすようになる。
ジョンウが女性のふりをして起こる騒動が笑いを呼び起こす。ジョンウの女装は、かなり完成度が高いが、時々無意識に男性をあらわにする時、笑いがあふれ出る。
男性が一夜にして女性となって身分を隠しながら、就職に成功し、堂々と職場生活をするという設定で物語が流れていく『パイロット』。 笑いながら楽しむのが主な目的である夏場の“ポップコーンムービー”として人気を集めそうだ。
映画は、ジョンウが女性として職場生活の困難に直面する姿を描きながら、まだ韓国社会に残っている性差別の問題に触れたりもするが、真剣で重い主題に陥ることはなく、軽快な雰囲気を最後までつなぐ。 ジョンウは女性の同僚を理解することを越え、自分の人生を振り返ることになり、家族に対する愛にも目覚める。そうしてこの映画は、温かな家族映画の性格も帯びるようになる。
『建築学概論』(2012)から千万映画の入り口まで行った『EXIT イグジット』(2019)に至るまで、個性的でコミカルな演技を披露したチョ・ジョンソクは、今回もその格別な能力を見せる。 ハン・ソナ、イ・ジュミョン、シン・スンホはそれぞれ、ジョンミ、スルギ、ヒョンソクを個性が明確なキャラクターとして描き出しながら、チョ・ジョンソクとよいアンサンブルをなす。
『パイロット』は、キム監督がデビュー作であるロマンティックコメディー『最も普通の恋愛』(2019)以来、5年ぶりに出す新作だ。 キム監督は、『パイロット』について、「いつも自分のための選択だけをしてきた人が、特別な経験の後、初めて自分と家族を振り返ることになる過程を描いた話だ」と紹介した。
映画『パイロット』は31日に韓国で公開され、上映時間は110分、12歳以上観覧可だ。

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