歌手チョン・ジュンイル、「僕は芸能人の運命ではない」
2024年07月24日

「僕はいわゆる芸能人の運命ではないと思う。運よくスターを味わったりもしたが結局、僕が思う理想的な姿は平凡な人だという結論が出た。身の程を知った」
歌手チョン・ジュンイル(40)にとってこれまでの音楽生活は、“平凡な歌手”になりたいという方向を探すために送った時間だった。
生計のために音楽に没頭していた20代と、大衆から愛されるスターを夢見た30代を離れた後、彼は初めて自分は金持ちでもスターでもない音楽家になることを願うのだと悟った。
チョン・ジュンイルが18日に発売したアルバム『Not Anything』には、彼のこのような考えが溶け込んでいる。彼は今回のアルバムで、特定の目標を追ったり、他の歌手の音楽をリファレンス(参考)にしたりすることなく、自分の完全な声を聴かせることに集中した。
チョン・ジュンイルは、ソウル・中(チュン)区のあるカフェで、「新譜は僕だけができる音楽を作りたいという考えを具体化したアルバムだ」とし、「僕の声が持つよい点を浮き彫りにするために熱唱する部分を減らし、楽器演奏とメロディーも最小化した」と述べた。
『Not Anything』は、タイトル曲「Love Again」をはじめ、映画『ミッドサマー』からインスピレーションを得た楽曲「Rune」など、6曲を盛り込んでいる。出会いと別れの中で浮かんだ思いを、特有の感覚的な声で率直に表現した。
タイトル曲は、彼の代表曲「Hug Me」を制作したスタッフとタッグを組み、当時の雰囲気を生かしながら新しい感じを与えた。
チョン・ジュンイルは、「『Hug Me』の構成と似ていないが、ブリッジを除いてミニマムに完成した」とし、「以前の楽曲を踏襲するのではないかと悩んだが、『Hug Me』の雰囲気も結局、僕だけができる音楽だという結論を出した」と説明した。
「Rune」に関しては、「『ミッドサマー』の中の人物たちは、一種の輪廻を信じるために人が死んでも悲しむことなく喜ぶ姿を見せる」として、「他人の視線と関係なく、彼らにはそれが真理のように思われる。もしかしたら誰かを愛することも盲目的な信頼と似ているという思いから曲を書いた」と述べた。
彼のアルバムからは、成熟した人になるために努力した痕跡を見ることができる。「Hug Me」で、「君が遠くなれば、僕がもう一歩近づく」と語っていた彼は、「Love Again」で一歩離れて、「いつ帰ってきてもいいように、光り輝く人になりたい」と歌う。
チョン・ジュンイルは、「誰かを推し量ることができるようになったのは最近のことだ」とし、「20代から30代には、恋愛も仕事も僕しか見えない状態だった。年を取ってもっとうまく別れる方法を悩み始め、歌詞も変わった」と振り返った。
平凡な歌手になりたいという方向性も、数回の試行錯誤を経た末に得た結果だ。
彼は大衆に最も愛されていると感じた時期が、自分にとって最もつらい時期だったと振り返った。特に、2017年に4千席規模の公演会場で大型オーケストラを動員した年末コンサートを開催した後、理由の分からないストレスに苦しめられたりもした。
チョン・ジュンイルは、「大衆の愛だけを望んでいた時期だった」とし、「当時は公演回数を増やし、物理的な成長を成し遂げることだけを考えていたが、なぜそうしなければならないのか気付かなかった」と説明した。
それと共に、「今は音楽に感情的に接するより、徹底的に計算された作業で接している」とし、「音楽で成功するという気持ちを固めたときもあったが、今は音楽をただやっていた通りにしたいという気持ちが大きくなった」と明かした。
チョン・ジュンイルは2009年にバンド「MATE」としてデビューし、今年で活動15周年を迎えた。
10月に行われるコンサートを準備する一方で、新しい音楽を準備しているという彼は、雄大な目標よりは今よりもっとよい音楽を作ることに最善を尽くしたいと述べた。
彼は、「まだ僕だけのマスターピース(傑作)を作れていないと思う」とし、「運とチャンスがあれば満足できる作品ができるまで歌いたい」と述べた。
「僕はある作品でで、特定の人物として記憶されることも望んでない。よいチャンスが来れば、よりよい方式で音楽ができるようになるのでは。それが、僕の身の程を知った結果だと思う」
