映画『1勝』主演のソン・ガンホ、「大げさなコミカル演技はしようと思わなかった」

2024年12月03日

「どこか押さえつけられて、絞り取られるような人物ばかりを演じてきたので、ペパーミントキャンディーのような明るい感じの作品をやりたいと思った。その時出会った映画が『1勝(原題:1승)』だった」
2日、ソウル・鍾路(チョンノ)区のあるカフェで会った映画『1勝』の主演俳優ソン・ガンホは、『パラサイト 半地下の家族』(2019/ポン・ジュノ監督)の次回作を悩んだ時のことを振り返りながら、この作品を選択した理由を述べた。
シン・ヨンシク監督が演出した『1勝』は、万年最下位の女子バレーボールチーム「ピンクストーム」が、ただ一度の勝利のために奮闘する話を描いたスポーツドラマだ。『復習者に憐れみを』(2002)、『殺人の追憶』(2003)、『渇き』(2009)、『弁護人』(2013)、『王の運命 -歴史を変えた八日間』(2015)、『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017)など、重く真剣な雰囲気を漂わせるソン・ガンホの代表作たちと対比される。
ソン・ガンホは、「ピンクストーム」を率いることになった新任監督ウジンを演じた。無能で情熱もなかったが、次第に“1勝”に向けた思いが大きくなり、戦術家に変貌する人物だ。これまでの韓国スポーツ映画によく出てきたような名将とは異なり、選手たちに絶えず小言を言い、苛立ちをぶつける姿が笑いを誘う。
ソン・ガンホは、「『反則王』(2000)以降、24年ぶりにこのようなキャラクターをした」としながら、「観客たちも久しぶりにこのような姿を見て、喜ぶのではないかと思う」と笑った。
「(これまで他の映画で)カッコよくカリスマがあり、監督らしい監督のキャラクターを見ながら、『実際にいる監督たちは皆そうなのか?』という思いが湧いた。監督も人間なのだから、選手よりも悪いことを考える時もあるだろうし、世俗的な欲も出すのではないかと思った。そんなウジンが選手たちと共にし、一丸となって成長する姿を見せようとした」
しかし『1勝』はコメディーすぎたり、普通のスポーツ映画のように涙を誘う物語を詰め込んだりしない。笑いと感動、迫力をバランスよく配置し、すっきりとした後味を与える。
ソン・ガンホはウジンを演じながら、滑稽な側面に重点を置くことにしたとしながらも、「わざとらしいコミカルな演技をしたり、感動させようというアプローチをしたりはしなかった」と説明した。
「そんなことをしていたら、ありきたりで面白くない、魅力のない映画になっていたと思う。自然な笑いと少しじんとするほどの感動で十分だと思った。『1勝』は、バレーボールが素材という独特さがある。バレーボールのメカニズム自体を披露するだけでも、きっと差別性を持っているはずだと判断した」
ソン・ガンホは、バレーボールのシーズン中はほぼ毎日、中継を見るほどのファンだという。彼が『1勝』のキャスティングを受けた理由のひとつも、大衆にバレーボールの魅力を知らせたいという思いからだった。
彼は、「バレーボールを素材に映画を作るのは難しいが、うまく映画化すれば、新しい映画を一つお見せできるのではと思い、『一度、力を合わせてやってみよう』と挑戦することにした」と振り返った。
この作品の見どころもまた、バレーボールのシーケンスにある。計16人の俳優が、数か月間訓練してリハーサルを経た末に、スピード感あふれるラリーシーンが誕生した。キャストは、「ピンクストーム」の主将スジ役のチャン・ユンジュ、助っ人選手ユキ役のイ・ミンジをはじめ、バレーボール選手やモデル、元舞踊家など多彩なメンバーで構成された。
ソン・ガンホは、「こういったカラーの違うキャラクターが絡み合い、作品に立体感が出た」とし、「初々しくて爽やかで、個性が強い有機野菜を見る感じ」と述べた。
彼は、『1勝』というタイトルにも心が惹かれたという。バレーボールでの1勝だけでなく、“人生での1勝”について考えさせられたからだ。
「生きていると仕事がうまくいかない時もあり、自信を失ってしなって萎縮する時もある。誰もがそんな瞬間を味わう。この映画を通して観客が励まされ、『私だけの1勝は何だろう』と考えてみることができれば、それこそ小さな価値ではないだろうか」
ソン・ガンホは、“俳優人生で最初の1勝は何だったか”という質問に、「イ・チャンドン監督の『グリーンフィッシュ』(1997)を撮影した時だ」と答えた。
彼は、「演出家の配慮のおかげで、やっていた演劇を辞めて、『グリーンフィッシュ』に出演した」とし、「そのように1つのことに焦点を当てて頑張った最初の映画なので、私にとっては1勝を収めた感じだ」と述べた。

前の記事 エンタメ情報一覧へ 次の記事