ソン・ガンホ「22年前丸坊主だったポン・ジュノ…大物の予感あった」
2019年05月30日

「ポン・ジュノ監督と初めて会った時、“大物になりそう”という予感がした」
29日午後、鍾路区のとあるカフェで会った俳優、ソン・ガンホ(52)は、20年以上前のポン監督との初めての出会いを思いだしながら、嬉しそうに笑みを浮かべた。
2人の縁は1997年にさかのぼる。主に舞台活動をしていたソン・ガンホが映画『グリーンフィッシュ(原題:초록물고기)』で名を知られた時期であり、ポン監督は映画『モーテルカクタス(原題:모텔 선인장)』の脚本と助演出を担った時だ。
「ポン監督が『グリーンフィッシュ』を見て、ファンとして私に会いたいとおっしゃり、当時、麻浦にある映画会社の事務所に少しの間、立ち寄りました。そのとき、のちに巨匠になるポン・ジュノ、チャン・ジュンファン監督は2人とも丸坊主で、大学生のような姿で座っていました。2人が『モーテルカクタス』の演出をされたという事は、後で聞きました。その時、お茶をして別れたのですが、ポン監督が後日、ポケベルにメッセージを残してくれました。今度いい作品があれば、一緒に制作したいという内容だったのですが、丁寧で、心がこもっており、礼儀正しさを感じました。その録音されたメッセージを公衆電話で聞き、とても感動しました。人に対する真剣な態度に「後に大物になるな」と思いました。
ソン・ガンホの予想通り、ポン監督は20年余り後、カンヌ映画祭でパルムドール賞を受けた巨匠になり、彼は巨匠のペルソナ(分身)になった。
ソン・ガンホはポン監督と映画『殺人の追憶』(2003)から『グエムル-漢江の怪物-』(2006)、『スノーピアサー(原題:설국열차)』(2013)に続いて『寄生虫(原題:기생충)』まで4作品を共にした。
誰よりもポン監督作品の世界をよく知る彼は、『寄生虫(原題:기생충)』が“ポンガンホ(ポン・ジュノ+ソン・ガンホ)ワールド”の最頂点に上り詰めた映画であると自信たっぷりに言った。
ポン・ジュノのペルソナという修飾語に対しては、「過分な賞賛」だと謙遜した。
「信じて見る俳優」ソン・ガンホは『寄生虫』でも立体的な演技を披露した。彼が担った役は、生活苦の中でも厚い家族愛をもった4人家族の家長“キテク”だ。仕事も当てもなく、妻“チュンスク”(チャン・へジン)にいつも文句を言われるが、至ってポジティブだ。息子の“ギウ”(チェ・ウシク)が金持ちの家庭教師になり、生活の希望を見出すが、すべてが計画通りにいかない。序盤は平凡な家長役を寓話のように演じるが、クライマックスでは、感情を爆発させた。
ソン・ガンホは「この作品は、この作品はジャンル映画の枠を持っているが、多様なジャンルがブレンドされているので、でこぼこにならないように柔軟に演技することが重要だった。」としながら、「一生懸命生きてきたが、その結果にこだわらず、どんな状況でも適応する“キテク”を軟体動物のように柔軟に掘り下げようとした」と振り返った。
彼は「世の中に絶対の善悪がないように、“キテク”もやはり善人でも悪人でもない、周りによくいる平凡な人」とし「序盤と中盤以降の感情の流れも変化も、覚醒というより、置かれた環境がそのようにさせたもの」だと説明した。
『タクシー運転手(原題:택시운전사)』『麻薬王(原題:마약왕)』などでは、単独で物語をけん引したソン・ガンホだが、『寄生虫』ではイ・ソンギュ、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク、パク・ソダム、チャン・へジンなど後輩俳優とアンサンブルを成した。全員が主人公だと感じるほど誰一人として劣る俳優がいない。
ソン・ガンホは「ポン・ジュノという巨大な山が影を落としているのだから、どんな演技をしてもすべて受け入れてくれるだろうと思った。他の俳優と共演したこともまた違う楽しさがあった」と振り返った。
彼は、今回のカンヌ映画祭で「有力な主演男優賞候補だった」というアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ審査委員長の言葉をポン・ジュノ監督から聞いたという。
「自分が賞を受賞しなくて、本当によかった。賞は1つしかもらえないのに、当然パルムドール賞をもらわなければならないのでは」と述べた。
ソン・ガンホには「受賞妖精」というニックネームもついた。2007年の『シークレットサンシャイン(原題:밀양)』(主演女優賞)、2009年の『渇き(原題:박쥐)』(審査委員賞)に続き、『寄生虫』(パルムドール賞)まで彼がカンヌ映画祭のレッドカーペットを踏むたびに、すべて賞を受賞したからだ。彼は「千万妖精(その俳優のおかげで観客動員数が1000万名を超えるという意味)」という言葉は聞いた事があるが、「受賞妖精」は初めて聞いたと笑った。
ソン・ガンホ主演映画は7月にも公開を控えている。『ナランマルサミ(原題:나랏말싸미)』がその新作で、訓民正音を創製した世宗大王と彼と共にいた人々の話を描いた時代劇である。
