『変身』のぺ・ソンウ「イケメン司祭ではなく、叔父司祭だ」
2019年08月15日

一時は「多作妖精」(多くの作品に出演し、その演技によって強烈な印象を残したことによりつけられた修飾語)と言われた。2015年には『ベテラン』、『The Phone(原題:더 폰)』、「インサイダーズ/内部者たち』など、一年でなんと8本の映画に様々な役で出演した。
彼自ら「豊作」と呼んだ時期だ。出演時間に関係なく、個性の強い演技で映画界最高の名脇役に数えられたりもしたが、今は違う。
映画のエンディングクレジットに一番初めに名前を上げる主役に飛躍した。
今月21日公開される映画『変身(原題:변신)』で初主演を担うぺ・ソンウ。
14日、鍾路区三清洞で会ったぺ・ソンウは「数年前までは、出演時間が短かったため、一年で撮影できる作品本数が多かったが、今は二本をいっぺんに撮影すると批判されるようになった」と笑った。
スクリーンへのカムバックは、2018年秋夕(チュソク)に公開された『安市城 グレートバトル』以降ほぼ1年ぶりだ。
『変身』(キム・ホンソン監督)は、“カング”(ソン・ドンイル)の家族に悪霊が宿りながら繰り広げられる奇異で不気味な出来事を描いたホラー映画だ。
憑依を扱った既存のエクソシズム映画とは違って、悪魔が人の姿で自由自在に変身するという設定でスタートする。
ぺ・ソンウは“ガング”の弟であり、三兄妹の叔父である悪魔祓いの司祭“ジュンス”役を担った。
これまで数々の作品でふてぶてしくも人間味とユーモアが溢れた役であったり、それとは180度違う鋭い姿を見せてくれたとしたなら、今回は笑いをぱっと取り除いた。
悪霊が宿った少女を助けることができず、とうとう死に至らせてしまった事で、人間的苦悩を抱えて生きて行くなか、家族を助けようと悪魔祓いの儀式を行う。
最近ドラマや映画の中でイケメン俳優たちが演じている悪魔祓いの司祭とも少し違う。
彼は「最近、清純な司祭がたくさん出てきたが、私の役は、司祭の名前を借りた叔父の役。キャラクターの悩みや情緒に合わせてアプローチしようと努力した」と語った。
ぺ・ソンウは実際、ホラー映画を好んで見ないという。30代の時、映画『エクソシスト/ディレクターズカット版』を見て、大きな後遺症を患った後からだ。
「制作されて、数十年たつ作品だが、本当に怖かった。映画を一緒に見た人も“今日はお母さんと一緒に寝ないと”と言うほどだった。その当時、“私はなぜお金を払って、このようなストレスを受けなければならないのか”と思った」
しかし、いざホラー映画にキャスティングされると変わった。職業精神から立ち返った。
「台本を見ながら、このシーンは、よりおぞましく、恐ろしく表現しなければならないのではという気がした(笑)」
ぺ・ソンウは悪霊を追う悪魔祓いの司祭を演じながら、生まれて初めてラテン語も学んだ。
暗記に自信があるという彼は "ラテン語はどうにかこうにか覚えることができたが、後半で出てくる、ラテン語の祈りを反対にしたセリフは一文字ずつ覚えなければならないほど難しかった」と振り返った。
ソン・ドンイル、キム・ヨンナムなど共演した俳優が、本当の家族のように和気あいあいと現場で和んでいるときも、彼一人だけ撮影現場の片隅でセリフを覚えなければならなかったほどだ。
ぺ・ソンウは“変身”で司祭と悪魔を行き来し、さまざまな顔を見せてくれる。
彼は「悪魔の演技をする時がさらにおもしろかった。このようなインパクトある演技の方がむしろプレッシャーが少ない。楽しく遊ぼうという気持ちで演じた」と振り返った。
ぺ・ソンウは最後のエンディングシーンで強力な姿を披露する。
「演じながらかっこつけるのは嫌いな方だ。笑わせようとすると面白くなくなるし、悲しく見せようとすると途端にメロドラマになる。俳優の意図が表れた瞬間、魅力は落ちる。観客が頭でなく、情緒で受け取れるようにしなければならない。最後のシーンもやはり、もしかしたら意図が表れるのではないかと苦労しながら撮った」
20代後半に演劇俳優としてスタートし、40代半ばから映画やドラマを行き来する主演俳優として定着したぺ・ソンウにとって演技は、「仕事であり趣味」だ。
現在は、映画『出張捜査(原題:출장수사)』を撮影中であり、また、映画『藁にもすがる獣たち(原題:지푸라기라도 잡고 싶은 짐승들)』の公開も控えている。
「私が好きな仕事を続けることができて感謝している。これからも作品ごとに洗練された差別性を打ち出していきたい。俳優は、台本の中のキャラクターと個人的な魅力、両方を表現しなければならない。これからも私の中の魅力をキャラクターにうまく融和させたい」
