チョン・ユミ 「ジェンダーの葛藤を扱ったのではなく休息のような映画」

2019年10月17日

襟が伸びたTシャツ、くたくたのトレーナー、ルーズに束ねた髪。一生懸命子育てをしながら、一日一日を生きているが、日が暮れる頃、ふと窓の外を見ると、なぜだか分からない虚しさに打ちひしがれる。そんな“ジヨン”を見て、誰かしら今の自分の姿を、あるいは未来の自分の姿を投影するかもしれない。母親、姉、妹、または友人の姿が浮かんで胸が痛むこともあるだろう。
映画『82年生まれ、キム・ジヨン(原題:82년생 김지영)』(キム・ドヨン監督)は、この時代を生きていく様々な人々の顔を盛り込んだ。映画の反響が大きいのは、現実に足を踏み入れたストーリー自体の力もあるが、女優チョン・ユミのリアルでちょうどいい塩梅の演技が後押ししたおかげでもある。
16日鍾路区(チョンノグ)昭格洞(ソギョクドン)のカフェで会ったチョン・ユミは、「これまで単独主演の映画はプレッシャーで、ダブル主演などの作品を主に選択してきたが、この映画は、シナリオを見るやいなや“やらなければならない”と思った」と話した。チョン・ユミは、『サイコキネシス 念力(原題:염력)』(2018)、「The Table(原題:더 테이블)」(2017)、『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)などに出演した。
「私が自然に演技できる話だと思った。また、俳優としても“なぜあの子が主演なの?”と言われない程のキャリアは積んだと思った」
チョン・ユミと“キム・ジヨン”、歳は近いが、出産や育児、OL生活などは、すべてチョン・ユミが経験したことのないことである。彼女は「経験したことのないことを経験したかのように見せるのが私の仕事。シナリオはしっかりしていたが、私が演じにくいシーンは、原作小説の該当シーンを探して、祈るような気持ちでじっくりと読んでみた」と振り返った。
チョン・ユミは、「完成された映画を見ながら、母、祖母がたくさん思い浮かんだ。胸が温まる感じがした」と感想を明かした。「私がこれまで母に対してとても無関心だったからか、この映画を母と一緒に見る勇気が出ない」
彼女は、映画の中で共感したシーンとして、ジヨンが“ママ虫”(しつけがされていない子どもの母親を指す言葉)だと言われ、“何もしらないくせに勝手な事言わないで”と反論するシーンを挙げた。
実際にチョン・ユミは、同作品出演決定のニュースが伝えられた際、SNSなどであらゆる悪質な書き込みに苦しめられた。原作がフェミニズム小説とされたせいで、主に男性メインのコミュニティなどから非難を受け悩まされたりもした。
チョン・ユミは、悪質な書き込みについて「ひどくでたらめで驚いた。芸能人であるがために甘受しなければならない現実がとてもやるせなくて、むしろ笑いが出た」と述べた。
原作小説と映画をめぐる「ジェンダー問題」については慎重に語った。 「そこまでの問題になるとは予想もできなかった。あまりにも議論が大きくなるので、むしろ現実感がなくなってきた。それでも、この映画で(ジェンダー)の葛藤が大きくなるのは、悲しいことだと思う。小説も、映画も葛藤を話そうとしているわけではないので」
チョン・ユミはそうしながらも「この映画は、私と私の周りを見回し、私はどこで生きていて、どのように生きているのかを振り返ることができる作品。心休まる映画」と強調した。
チョン・ユミは今回の作品で、「親友」コンユと3回目の共演となる。彼女は「映画の中で夫婦として登場するが、実際に一緒に撮影したシーンは多くない。(コンユとは)お互いに性格も知っていて、言葉をたくさん交わさなくても、お互いを感じられる部分がある。作品の話を気楽にすることができる仲間がいて有り難い」と述べた。

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