米NYT紙、ポン・ジュノ監督『パラサイト』を「今年の映画」に選定、「我々は彼のディストピアに住んでいる」
2019年11月01日

「胸を切り裂く映画『パラサイト 半地下の家族』がなぜ今年の映画なのかを知りたければ、堕落した人間性を深く、人間的な視線で照らしてきたポン・ジュノ監督のこれまでの作品を観てほしい」
アメリカの新聞メディア「ニューヨーク・タイムズ(NYT)」が30日(現地時間)ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』を「今年の映画」に選び、ポン・ジュノ監督の作品世界に集中的にスポットを当てた。
同紙は「韓国で7000万ドルを稼いだ『パラサイト 半地下の家族』によって韓国社会が経済的な不平等に対する論争を続けることになった」とし「同じような論争が広がるアメリカでもこの作品でポン・ジュノ監督は少数のマニアが熱狂していた監督から世界的な一流の監督に跳躍した」と評価した。
そして「ポン・ジュノ監督は、今はだいぶ薄れたが、それでも映画で依然として命脈を保っている“平等な社会に向けた約束(democratic promise of movies)”に再び火を付ける方式で社会的な意識と娯楽性を結び付けた」と加えた。
同紙は今年5月にカンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得したこの作品が来年アカデミー映画祭で外国語映画賞を飛び越え、作品賞の候補としても言及されているとしながら、この作品はホラーと風刺、悲劇が入り混じる現代版のおとぎ話で、韓国のみならずどの国でも起きている階級闘争に対する鋭い教訓を伝えている」と明らかにした。
また「ポン・ジュノ監督はリアルではない追跡やケンカのシーンを演出するのを楽しんでいるが、人の心理や映画的な空間においてはごまかそうとはしない」としながら「彼の映画の中にいるキャラクターたちのアクションとリアクションは度々驚かされるが、決してありえないことではない。彼のキャラクターたちは重力と密度、優雅さとある程度の愚鈍さを兼ね備えている」と説明した。
そして同紙はポン・ジュノ監督が演出した7本の映画を取り上げながらこの『パラサイト 半地下の家族』は、『グエムル-漢江の怪物-』、『スノーピアサー』、『オクジャ/okja』に比べると若干現実的で、彼の初期作品である『ほえる犬は噛まない』や『殺人の追憶』に近いと評価した。
しかし同紙は「ポン・ジュノ監督の作品をジャンルやスタイルで区分するのは彼が堅持してきた独創性と一貫性の両方を失うことになる」と一線を画した。
また「ポン・ジュノ監督の映画は大胆で明るく豊富な色と明確な演技、演出で満たされる」とし「面白くてサスペンスあふれ、随所にアクションシーンが入り込み、劇場で退屈していた観客さえ姿勢をあらため、息を凝らしている」と絶賛した。
この『パラサイト 半地下の家族』にはそのような場面が少なくとも6度は登場しており、その中で最も戦慄させたシーンはきっと主人の家の人々が裏庭のテントでキャンプをした時、リビングのコーヒーテーブルの下で3人が身を隠していた場面だっただろうと付け加えた。
同紙は「ポン・ジュノ監督がブロックバスター的な技法を用いて芸術映画を作ると述べることも、あるいはその逆だと述べることもできる」とし「しかしポン監督の真の成就はそのような安易な区分をごちゃごちゃにしたことだ」と評価した。
そして同紙は「ポン監督の作品で最も衝撃的なのは“本気度”だろう」とし「悪意と怠惰、自己欺瞞の年代記の中で瞬きをする温かい人間愛がそれだ」お明かした。
また「この『パラサイト 半地下の家族』を今年の映画にし、ポン・ジュノ監督を世紀の監督にしたのは人生をファンタジーであると同時にリアルに描き、非常に隠喩的ながら痛烈にリアルに描写することに成功したおかげだ」と称賛を送った。
