1本あたり200~300億ウォン!? 高騰する韓国映画の制作費
2019年12月09日

今月19日公開される映画『白頭山(原題:백두산』は、純制作費260億ウォンが投入された高予算映画だ。広告・マーケティング費用まで合わせると、投入されるお金は実に300億ウォンを超えると見られる。
火山爆発という素材を韓国で初めて扱っただけに、視覚特殊効果(VFX)に相当な力を入れ、さらにはイ・ビョンホン、ハ・ジョンウ、マ・ドンソクなどスター俳優を起用した。また、白頭山の火山爆発で荒廃する北朝鮮の姿をおさめようと春川(チュンチョン)に大規模なオープンセットを作り、多くのお金を注ぎ込んだ。制作費を回収するには、少なくとも730万人を動員しなければならない。
蓋を開けてみなければわからないが、今のところヒットの兆しはありそうだ。今冬公開の作品の中で観客の選好度が最も高く、観客動員数1千万人も夢ではない。
海外でも版権購入が相次いでいる。配給会社CJE&Mの関係者は「普遍的な話を盛り込んだ災難ブロックバスターなので、海外で十分に通用する素材。少なくとも100カ国以上に売れるだろう」と述べた。
過去韓国映画は、制作費100億ウォンを超えるだけでも「韓国型ブロックバスター」と呼ばれ、大作映画とされた。最近では、制作費200億〜300億ウォン前後の作品も珍しくない。『軍艦島(原題:군함도)』、『安市城 グレート・バトル』は、200億ウォン以上の制作費がかかっており、『神と共に』シリーズは、1編当たり170億ウォンの制作費がかった。
今年公開された『スピード・スクワッド ひき逃げ専門捜査班』、『パラサイト 半地下の家族』、『使者(原題:사자)』、『わが国の語音(原題:나랏말싸미)』、『タチャ:ワンアイド・ジャック(原題:타짜:원아이드 잭)』、『自転車王 オム・ボクドン(原題:자전차왕 엄복동)』、『EXIT イグジット』、『始動(原題:시동)』、『天文:空に問う』なども制作費100億ウォン以上の巨額が投入された。
制作費の上昇要因は様々だ。映画界の関係者は「技術的な限界が要因で挑戦しにくかった新しいジャンルが誕生し、VFX作業が大幅に増えたのも要因の一つ」だと語った。スタッフの待遇改善に伴う人件費の上昇、マルチキャストによる俳優の出演料上昇も主な要因として挙げられる。
来年も高予算の映画は相次ぐ見通しで、海外で撮影される作品が多いのが特徴だ。
1月に公開される『南山の部長たち(原題:남산의 부장들)』の純制作費は170億ウォン。マーケティング費用を合わせると200億ウォンを超えるものと見られる。 1979年、第2の権力者と呼ばれた中央情報部長(イ・ビョンホン)が、大統領暗殺事件を起こす前の40日間を描いた映画だ。アメリカ、フランスなど海外ロケを行い、1970年代の時代相を具現するのに、相当な制作費がかかった。
『私のオオカミ少年』(2012年)のチョ・ソンヒ監督とソン・ジュンギが再タッグを組んだ『勝利号(原題:승리호)』も純制作費が200億ウォンで策定された。韓国映画初のSFブロックバスターであるだけに、広大な宇宙と宇宙船を具現するのに巨額をかけるものと見られる。
リュ・スンワン監督の次期作『脱出:モガディシュ(原題:탈출: 모가디슈)』の純制作費も200億ウォン前後だ。 1990年代のソマリア内戦で孤立した南北大使館公館員たちが命をかけて脱出する物語を描いた作品でチョ・インソン、キム・ユンソク、ホ・ジュノらがキャスティングされ、先月からモロッコで撮影を行っている。
制作費100億ウォン台の作品も一挙公開される。クローン人間を扱ったコンユ、パク・ボゴム主演の『徐福(原題:서복)』、ユン・ジェギュン監督が『国際市場で逢いましょう』(2014)以来、6年ぶりにメガホンをとるミュージカル映画『英雄(原題:영웅)』、ファン・ジョンミン、イ・ジョンジェ、パク・ジョンミン主演の『ただ悪から救いたまえ(原題:다만 악에서 구하소서)』、『鋼鉄の雨(原題:강철비)』のヤン・ウソク監督の新作『首脳会談(原題:정상회담)』、『新感染 ファイナル・エクスプレス』のヨン・サンホ監督の新作『半島(原題:반도)』などが制作費150億ウォン前後とされる。
MEGABOXが投資・配給するファン・ジョンミン、ヒョンビン主演の映画『交渉(原題:교섭)』(イム・スンレ監督)とソン・ジュンギ主演『ボゴタ(原題:보고타)』(キム・ソンジェ)もやはり相当な制作費だと見られる。 『交渉』は、中東地域で拉致された韓国人を救う国家情報院要員と外交官の物語で、『ボゴタ』は、1990年代にコロンビアへ移民した青年たちを扱った映画だ。両作品とも海外で撮影される。
映画界の関係者は「映画が単なる観覧ではなく、体験するイベントとして認識されるようになった。それと共に新しい一面を見せようとしたところ、制作費も乗じて上がっていった」とし、制作費の高騰は不可避との見方を示した。
制作費の上昇はそのぶん危険を伴う。映画がヒットしなかった場合、打撃が大きくならざるをえないからだ。制作会社、投資配給会社だけでなく、映画市場全体にも悪影響を及ぼし、損益分岐点を超えようと、ピーク市場で我先に公開しようと血眼の競走になるという悪循環も生まれる。昨年の秋夕(チュソク:韓国のお盆)時『安市城 グレート・バトル』、『風水師 王の運命を決めた男』、『物の怪』、『ザ・ネゴシエーション』など高予算映画が一挙に公開され、4作品すべてヒットしなかったのが代表的な例だ。昨年冬にも『麻薬王』、『スウイング・キッズ』、『PMC:ザ・バンカー』など大作が一挙公開され、苦戦を強いられた。
ある制作会社代表は「大金をかけた映画が失敗した場合、映画の投資自体が萎縮されてしまう。フランチャイズや検証されたシナリオではない、単発のオリジナル映画に高予算を投資するのは危険な選択」だと語った。続いて「高予算を投資して、多くの観客を集めたとしても損益分岐点が高いため、収益率は低くなるしかない」とした。
これに対してある配給会社関係者は「海外先行販売や付加市場などを通してリスクは減らしている。ただ、韓国国内の映画市場は停滞した状況で、観客数に対するプレッシャーは、依然として大きい」と打ち明けた。
映画界は『エクストリーム・ジョブ』の成功事例に注目している。今年、同作品は総制作費95億ウォンを投入し、その14倍にもなる売上を上げた。スター監督と俳優、視覚的な快感に依存するのではなく、斬新な素材と企画が重要だということだ。
