映画『天文』に出演のチェ・ミンシク 「純粋なチャン・ヨンシルをお見せしたかった」
2019年12月19日

朝鮮王朝の科学者チャン・ヨンシル(蒋英実)。その名とその業績を知らない人はほとんどいないが、記録が不足しているため、彼の人間的な姿を推測することは容易ではない。
俳優チェ・ミンシクは、映画『天文:天に問う(原題:천문:하늘에 묻는다)』でチャン・ヨンシルを自分だけの解釈で作り上げた。チェ・ミンシクの考えるチャン・ヨンシルは、こどものように純真で、純粋で、時には可愛いらしくもある「世宗(セジョン)崇拝」だった。
18日、ソウル鍾路区(チョンノグ)三清洞(サムチョンドン)で会ったチェ・ミンシクは、"(チャン・ヨンシルの姿を)空想し、夢の中に住んでいるような、そんな純粋さを見せようとした」と述べた。
これまで彼が行ってきた“どっしりとした演技”とは一味違うという言葉に「常に新しい挑戦をするのはおもしろい。ぽっちゃりとしているのでアンパンマンみたいだとみんな言う」と大きく笑った。
映画の中でのチャン・ヨンシルは、一人では存在しない。彼の世界は世宗と、世宗が果たそうとする意志に合わせて回っていく。そのため世宗とチャン・ヨンシルの関係が「ブロマンス」を越えて「メロ」とまでとれる瞬間がある。
チェ・ミンシクは「大きな志を抱いている世宗に、セミのようにひっ付いて助けるチャン・ヨンシルの様々な感情が、より細かく表現されることを望んだ」と振り返った。
「私たちがすでに知っている歴史が(映画の中で)繰り返されたところで、あまり興味をそそられない。二人は、一つのテーマについて激論を交わし、冗談を飛ばし合い、意見の対立もしたことだろう。様々な感情の変化を描きながら、二人の関係を見せることが、今までの時代劇と差別化された部分であると思った。曖昧で、激しく、やるせなく、弱々しいそんな感情を見せたかった」
「チャン・ヨンシルが監督した“安輿(王が乗る輿)”が丈夫でなく壊れ、義禁府(大罪人の取り調べを行う官庁)に下ろして鞫問した」という世宗実録の歴史以降、チャン・ヨンシルについての記録はない。監督と俳優が想像力を駆使してその後のチャン・ヨンシルを作りあげた。
チェ・ミンシクは「歴史の中の人物を聖域化することは、私のスタイルではない」と強調した。
「個人的な感情があっても、それを克服し、大きな志を成し遂げた時、より人間らしく見えると思う。私は『バトル・オーシャン 海上決戦』(2014)のため、李舜臣(イ・スンシン)将軍が書いた「乱中日記」を読んだ。感動したのは、忠武公の記録で、彼が悪口をよく言っていたなどの人間的な部分を見た時だった。私が考えたチャン・ヨンシルは、政治的な事を全く考慮せず、ただ創作者としてのプライドだけがある人だった。自分を認めてくれる君主と、その人の横で自分の能力をどのように発揮するかだけを考えていた人」
映画の最大の魅力は、共演するだけでも「ブロマンス」が完成するチェ・ミンシクとハン・ソッキュの阿吽の呼吸だ。二人は同じ大学の先輩と後輩の間柄で30年来の親友だ。『シュリ』以来20年ぶりに1つの作品で共演することになった。ハン・ソッキュについて話す時、チェ・ミンシクの口元には笑みが浮かぶ。
「ソッキュは本当に学生時代から全く変わってない。
私たちが共演した『ナンバー・スリー』や『シュリ』は、韓国映画ルネサンスの始まりと言われていて、当時、様々な色の監督と作品が出た。しかし思い出に浸りながら過ごしてはいない、私たちはまだ若いから」
チェ・ミンシクは、『天文』を演出したホ・ジノ監督が二人(チェ・ミンシクとハン・ソッキュ)に「勝手に配役を決めて」と言ったという裏話も明かした。
チェ・ミンシクは 「ハン・ソッキュが“僕が世宗をやるよ”と言ったので、私がチャン・ヨンシルをやることになった。私は『天文』でなくてもハン・ソッキュと共演していただろう。一緒にやるということに意味があった」と述べた。
チェ・ミンシクは2014年の『バトル・オーシャン 海上決戦』で大成功を収めた。同映画が打ち立てた最高観客動員数1761万人という記録は、未だ破られてはいない。しかし、その後出演した3作品『隻眼の虎』(2015)、『ザ・メイヤー 特別市民』(2017)、『沈黙、愛』(2017)は、不振に終わった。
チェ・ミンシクは 「映画の興行成績は気にしない」と豪快に笑った。
「『バトル・オーシャン 海上決戦』の成功は、すべて忘れた。その後の3作品がヒットしなくて...(笑)映画の興行成績を気にしていたら生きていけない。ヒットして嬉しくないはずはないが、それにこだわってはいけないと思う。もちろんヒットしてほしいという気持ちはあるが、なるべく考えず、作品だけに集中しようとしている」
最近の映画市場にも苦言を呈しながら、願いも明かした。
「ソッキュとも話したのだが、私たちが主導となって様々なジャンルに飛び込んでいかないといけないのかなと思う。いくつかの投資配給会社が(映画市場を)主導しているが、この方たちの立場もあるので、私たちが多様性という部分で、この方たちからの信頼を得なければならない。ブロックバスターよりは、小さくてもしっかりとしたストーリーで信頼を得て、共存できる作業をしていかなければならないのではと思う」
その一方で彼は「私は年を取る前にコテコテのメロやハン・ソッキュとのコメディを必ずやってみたい」と切実な願いを明かした。
