映画『焼肉ドラゴン』など、新型肺炎の影響にも屈することなく公開される作品2本
2020年03月10日

新型コロナウイルスの影響で映画館の観客が急減し、公開予定の作品の数々が相次ぎ公開を延期しているが、それに屈することなく公開し観客を待っている作品がある。
在日韓国人の家族の物語を描いた『焼肉ドラゴン』や、娘を失った父親の悲しくて恐ろしい夢物語の『悪夢(原題:악몽)』が今月12日に公開される。
◇在日韓国人の家族の物語・・・『焼肉ドラゴン』
『焼肉ドラゴン』は1969年から1970年の高度成長期の日本を背景に在日韓国人の家族の物語を描いた作品。演劇演出家の鄭義信監督の同名戯曲を演劇ではない、映画に舞台を移した。
1969年の大阪・関西空港の近くの集落。そこには「焼肉ドラゴン」という焼肉屋を運営し、生きている家族が存在する。店名は父親の龍吉(ヨンギル)の“龍”にちなんで付けられた。
家族は父親の龍吉と母親の英順(ヨンスン)、そして3人の娘である静花、梨花、美花と末っ子の時生の6人。静花と梨花は龍吉の前妻の子どもで美花は英順の連れ子、そして時生は龍吉と英順の間に生まれた。再婚家庭だが、彼らがお互いを大切にし愛する気持ちは血筋で結ばれた家族に劣らない。
長女の静花は幼い頃の事故で足が不自由になり、梨花は静花の幼なじみの哲夫と結婚するが、哲夫は静花を愛している。三女の美花は既婚男性の長谷川と恋愛中だ。
時生は名門私立中学校に通い、在日朝鮮人だという理由で嫌がらせに悩むが、父親は転校に強く反対する。
こうした中で、日本政府がこの集落が国有地だとして龍吉家族に退去命令を下し、お互いを大事に思っていた家族内でも葛藤が発生する。
「我々は帰る故郷がない。故郷は近いが遠い」と繰り返す龍吉の言葉のように在日韓国人として経験する悲しさと哀歓が強調される。
厳しい現実は変わらず、奇跡が起こるわけでもないが家族は結局、お互いを大事に思う気持ちを通じて和解する。
キムチを漬けたり、韓国民謡を歌うなど韓国人としてのアイデンティティを忘れずに生きていく姿も描かれた。
演劇が原作のため、1本の芝居を観ているようだ。大部分のシーンが小さな集落の中で進行される。
この作品は、日韓の俳優たちがタッグを組んだ。
龍吉と英順はキム・サンホとイ・ジョンウンが演じ、静花は真木よう子、梨花は井上真央、美花は桜庭ななみ、長谷川は大谷亮平、哲夫は大泉洋など韓国の観客たちにも馴染みのある俳優たちが大勢出演する。
◇娘を失う父親の奇妙な夢・・・『悪夢』
同じ日に公開される『悪夢』は、娘を失った父親が映画を作りながら夢見る現実、現実のような夢に関する物語だ。
映画監督のヨヌ(オ・ジホ)はある日、交通事故で愛する娘(シン・リナ)を失う。耐えられない悲しみの中で不眠症に悩まされるが、同時に映画の撮影を続けなければならないというプレッシャーを受ける。
そんな中オーディション会場で女優のス(チャ・ジホン)に出会うが、その女優はヨヌが見た悪夢に登場した背中に蛇の入れ墨をした女性とそっくりだった。
スをキャスティングして映画の撮影が始まり、ヨヌはある日異世界で目覚める。そこでヨヌは、娘を失った父親の悲しみをテーマに映画を作る。
この世界でスは、ヨヌの実の妻だ。双方の世界を行き来しながら、ヨヌはますます何が夢で何が現実か分からない混乱に陥ってしまう。
娘を亡くした父親の悲しみを夢と現実が入り乱れる混乱と表現した点は新鮮だが、話のつじつまが合わないため緊迫感はやや落ちる。
結末も何が夢で現実なのか紛らわしくもあり、これは眠っても抜け出せない悲しみを意味する。
なお本作品は、今年4月に開催される「第38回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭」のコンペティション部門に招待された。
