ラッパーCheetah主演映画『焦眉の関心事』、梨泰院を舞台に似て非なる母と娘の物語

2020年05月19日

ソウル市龍山区(ヨンサンク) 梨泰院洞(イテウォンドン)とその一帯。我々が"梨泰院"と呼んでいる地域だ。
外国人や外国の商品、文化の集結地であり、あらゆる若者たちを呼び集める"話題のスポット"。
最近ではこの地域のクラブを訪れた新型コロナウイルス感染者により、大きな困難に直面している。
名前だけでも象徴的だが、まとめてひとつに定義することができない梨泰院で、お互い異なる一方でそっくりな母と娘が一日中、愉快な追撃戦を繰り広げる。
ラッパーCheetahが主演を務め、彼女の恋人である俳優兼監督のナム・ヨヌが演出を担当し話題となった映画『焦眉の関心事(原題:초미의 관심사)』の話だ。
梨泰院で歌手"ブルー"として活動し、株を上げているスンドク(Cheetah)はある朝、招かれざる客がやってくる。10年間、別々に暮らしていた母(チョ・ミンス)が不意に訪れたのだ。
スンドクとともに暮らしていた高校生の末娘のユリが、母が店を貸して得た金とスンドクのへそくりを持ち逃げしたことを知り、2人はたった一日だけ手を組みユリを追う。
性格が正反対の2人の共同作戦が順調なわけがなく、ユリの行方はますますつかめない一方。この過程で2人の心の中のしこりも水面上に浮かび上がる。
この作品は、基本的に2人の女性のバディものでありロードムービーだ。
しかも2人の女性は愛憎で団結した母と娘の関係。結末がどうなるか予想は難しくない。
映画のタイトルの意味は、結末に向かって明らかになる。
しかしこの作品は決まりきった母と娘の和解の話にならないのは、梨泰院という地域の特性がこの作品のアイデンティティの相当部分を占めているからだ。
梨泰院の街の姿で始まって終わる形式の本作は、地域のさまざまな姿を最大限に描いている。
容姿は外国人のようだが、韓国人だったり外国人観光客、性的少数者、トランスジェンダー、そしてジェントリフィケーション都市の富裕化)まで。
母は自分が"梨泰院で生まれ育った"ことを強調する。
ナム・ヨヌ監督は最近、マスコミ試写会の後に開かれた記者懇談会で作品の背景を梨泰院に決めたことについて、「偏見の対象になりうる人物たちを偏見なく見つめる視線を描くのに適した場所が梨泰院だと思った」と述べた。
結局、本作品は家族の話という皮を被った多文化社会に対する物語であると同時に、反対に社会を通じてその根本になる家族を垣間見る話だ。
正反対に見える母と娘が和解したように、お互いあまりにも違って見える他人を理解し受け入れることができるというメッセージと読み解くことができる。
チョ・ミンスとCheetahの親子のタッグも悪くない。
チョ・ミンスは分別のないおせっかいだが憎めない母を演じながら、作品の流れを主導的に導いている。
反対にCheetahはぶっきらぼうな娘を演じながら、初めての演技挑戦にもかかわらず比較的安定した姿を見せている。
さらに適材適所で活躍する助演たちは、作品に欠かせないスパイスとなった。
俳優のチョン・マンシクは派出所長ジュンベ役で友情出演し、梨泰院の路地を知り尽くしている配達員のジョンボクはアメリカ人俳優のテリス・ブラウンが演じた。
母の昔の友人であるサラン役はトランスジェンダー俳優のアン・アジュ、母と娘がタトゥーの施術所で会ったシングルマザーはタトゥーイストのアン・リナ。
さらにドラァグクイーン(女装をする男性の性的少数者)クラブのシュシュは、ドラァグアーティストグループ「NEON MILK」のメンバー ナナ・ヨンロン・キムが演じた。
作品が描き出す梨泰院のアイデンティティがキャスティングにもそのまま反映された。
コンテンツはかなりもっともらしいが、それを盛り込んだ器が精巧で華やかではない。
多少滑らかではない演出が目立ち、観客の爆笑を誘おうと入れたセリフの数々だが笑いの打率は高くない。
新型コロナウイルス感染症の再拡大によりさまざまな韓国映画が公開延期を選択した中、本作品は今月27日に予定通り公開する。

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