シム・ウンギョン出演映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』、大人と子どもの間で経験する感情を描く
2020年07月22日

日が昇る前、日が暮れる前、空がブルーに変わる時間。その時間は言葉では説明できない奥深い感情を引き出す。暗くなる直前や、明るくなる前、ほんの少ししか続かないその時間は、成長するために誰もが経験しなければならない過渡期と同じだ。
22日に韓国で公開される日本映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』のタイトルは、まさにこの時間を指している。
夫とのぎこちない関係、他の男性との不適切な関係、仕事とプライベート、その全てによって完全に荒みきったCMディレクターの砂田(夏帆)は、知り合いの自由な友人清浦(シム・ウンギョン)に会う。その時、ちょうど母親から電話がかかってきて、砂田は清浦の中古車に乗り、故郷の茨城県に向かう。そこで砂田は母親、父親、祖母などに会い、自分の幼少時代を顧みるようになる。
作品はあまりにも早い明け方、眠りから覚めてしまった子供だったが、自分でも知らないうちに大人になってしまった砂田の感情を中心にストーリーが進む。大人になったが、幼少時代の感情と傷、そして記憶をそのまま持っている砂田の状態は、まるで大人と子ども、昼と夜、そのどれにも属さない“ブルーアワー”のようだ。
作品には目立った葛藤もなく、砂田の幼少時代のトラウマも何なのかはっきりしない。そのため映画自体が平凡に感じられる。
しかし映画は大きな事件を経験しない、誰にでもありそうな感情や記憶を引き出しながら、観客が砂田の成長痛に共感できる地点の範囲を広げる。
ポスターなどから期待される、日本映画特有のゆっくりと穏やかな展開が続くが、ユーモアのある青春成長ストーリーを期待すると失望するかもしれない。それでもシム・ウンギョンが演じた清浦は作品の雰囲気を爽やかにする立役者だ。シム・ウンギョンは完ぺきに近い日本語の演技で、作品に明るいエネルギーを吹き込む。
『ブルーアワーにぶっ飛ばす』は日本での活動に邁進しているシム・ウンギョンが出演した作品としては、『新聞記者』(2019)に続き2作目で、韓国でも公開される。ただ撮影時期としては『ブルーアワーにぶっ飛ばす』が先だ。
シム・ウンギョンは『新聞記者』で演じた役柄とは異なる自然な演技を繰り広げる。自由な雰囲気を作品にそのまま盛り込むため、セリフの多くはアドリブだったという。
演出を務める箱田優子監督の長編デビュー作だ。砂田と同じくCMディレクターだった監督の自伝的な物語が盛り込まれている。
CMディレクター出身らしく感覚的な演出が目立つ。特に作品の始まりと終わりの車のドライブシーンはMVを1本見ているような印象だ。
