イ・ハクジュ主演映画『ようこそゲストハウス』、サーフィンを素材に夢と現実に挫折する若者の姿を映し出す
2020年08月12日

大学の卒業も就職も思い通りにならず、自分が望むことが何なのかもよく分からないことから来るもどかしさ。いつの間にかこのような姿が現代の若者のシンボルのひとつになった。
今月13日に公開される映画『ようこそゲストハウス(原題:어서오시게스트하우스)』のジュングン(イ・ハクジュ)も同じだ。
夢も卒業も先送りにしたまま大学5年生になったジュングン。冬の季節学期(ウインタースクール、休みの間に開講される授業)の受講申請の争奪戦に敗れ、寮から追い出され、江原道(カンウォンド)の襄陽(ヤンヤン)の海辺をうろついていたところ、成り行きでサーフィンゲストハウス「ようこそゲストハウス」で泊まり込みのアルバイトを始める。
客もほとんどいない冬の海で生まれて初めてサーフィンに挑戦するが、何日経ってもジュングンの体は一向にボードの上で立ち上がる気配すら見えない。弱り目に祟り目で、偶然海辺で金持ちのサーファーと言い争いになり、腹立ちまぎれに襄陽の海をかけて、1か月後にサーフィン対決を繰り広げることになる。ジュングンのためゲストハウスのベテランサーファー3人組、ユナ(パク・ソニョン)、テウ(シン・ミンジェ)、ウォンジョン(シン・ジェフン)が乗り出す。
現実の壁にぶち当たった若者の姿は、映画の中でも特に独立映画によく登場するテーマだ。『ようこそゲストハウス』はサーフィンを素材に引っさげ、これを愉快に描き出した。シム・ヨハン監督の長編デビュー作で、新人監督の才気が感じられる。
サーフィンはジュングンのような最近の若者の状況を隠喩する。波に逆らいパドリング(腹ばいになりクロールのように腕でボードを漕ぐ動作)をし、海に出て重心を取り立ち上がった後、波に乗り再び浜辺に戻って来なければならない。パドリングをするだけでも体力消耗が激しい上に、サーフボードの上で立ち上がるのは決して容易ではない。見事に波に乗ることは夢のようなことだ。またどんな波にでも乗れるわけではない。適度な波を上手に選び乗るのも難しいことだ。
思い通りに波に乗れないジュングンの姿は心のどこかに夢はあるが、体を支えるのが難しい現実の中で、何度もサーフボードから落ちるように挫折する青春そのものだ。
最近出演したドラマで、苛立ちと怒りを誘発する悪役で視聴者たちの目に留まった俳優のイ・ハクジュが“若者の顔”を演じた。彼の悪役演技を覚えているなら、純粋なジュングン役が合うか不安に思うだろうが、何に対しても一生懸命だが上手くいくことはなく、若干愛らしくもあるジュングンに完ぺきに変身した。
サーフィンを知らなくても映画を観る時に支障はないが、サーフィンの専門用語が多く登場し、多少理解しにくいシーンがある。
30歳でサーフィンに入門したというシム監督はサーフィンを素材にした理由について「どこに行っても30代以下には会うことができなかった」とし、「『20代のサーファーはなぜいないのか?』と気になったが、『就職難が深刻なのでキャリアを積むことに必死で余力がないのではないだろうか?』と思った」と伝えた。
映画『ようこそゲストハウス』は「第23回富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭」で観客賞を受賞した。
